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梅の季節が近づくと、梅を漬けるための準備を始めます。
実際に梅干しを初めて漬けるときには、
「梅干しの作り方」などを見ると思います。
しかし作り方の手法だけを見ても、よくわからないことが出てきますよね。
梅干しを作る工程は段階がいくつもあるし、方法もいろいろ。
初めての場合は迷いやすい。
次は何だっけ…
ここから先どうすればいいんだっけ…
これってあってる?
などと迷い出すと不安になり、途中から別の方法を見たりして違うことをやってしまい、失敗してしまうということも。
そんなことにならないように、梅干しを作るときには事前に次のことをひととおり把握しておくといいでしょう。
・全体の流れ
・作業工程
・その作業をやる意味
こうするとこうなる、ということを把握しておけば、
なにか違うなと感じたときにも、早い対処ができる。
それから改めて調べるということをしたとしても、
大きくはずれてしまうようなことは少ないでしょう。
ということで今回は、梅干しを作る工程について書いていきます。
それではいってみましょ~。
梅干しを作る工程
まずここでは始めに、全体の流れを見てみましょう。
(目次とほぼ同じになりましたけど…)
梅干しを作るためには、どのくらいの工程を通るのか。
ひととおり書き出してみると、けっこう多く見えますね。
「◇」は、大項目
「・・」は、小項目
「※」は、状況により実施しなくてもいい工程です。
◇前準備
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◇梅の準備
・・梅を選別
・・梅を追熟※
・・梅を洗う
・・アク抜き※
・・梅を乾かす
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◇漬け込み
・・容器を消毒
・・梅を漬け込む
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◇漬け込み~干すまで
・・梅酢を確認
・・赤紫蘇を入れる※(先に入れる場合)
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◇梅を干す
|
◇保存する(あるいは二度漬け)
・・赤紫蘇を入れる※(後で入れる場合)
こうして並べてみると、工程は沢山あります。
ですがこれを短時間で一気にやるわけではないので、あまり気負わなくても大丈夫。
ただ、準備から保存まで期間がかかるので、長丁場になることは確かですね。だいたい二ヶ月くらいでしょうか。
しかし一度仕込んでしまえば、あとは干すまでの様子見や、好みによって赤紫蘇を入れるかどうかというだけ。
慣れてしまえば、一つ一つの作業についての要領がわかってくるし、判断も早くなります。
初めて漬けるときには大変でしょうけど、ぜひ実践してみてほしいものです。
では次の項目から、各工程の概要、何をどうする作業なのか、ということをまとめて書いていきます。
前準備
まずは梅をどの容器で漬けるかを決めて、準備しておきます。
梅を漬ける容器の準備は、梅を漬け込む前までにできていればいい。容器によっては下準備が必要なため、早めに用意しておきましょう。
容器は梅を漬ける容量に合ったものを使います。
また、容器の材質に合った用法で消毒をしておきます。
・熱に強い容器 (瓶や琺瑯など)
事前に洗い、熱湯消毒して乾かしておく
・熱に弱い容器 (プラスチック樽など)
きれいに洗い、乾かしておく
・ビニール袋
用意だけしておく
(関連記事:梅を漬ける容器はどれがいいの)
(関連記事:容器の消毒)
梅の準備
梅の準備は、梅を漬け込むまでの下ごしらえ。
梅を選別
(1) サイズ
梅のサイズがバラバラであれば、同じ大きさごとに分けてもいいし、一緒でも構わない。
(2) 熟度
梅の熟度がバラバラで気になるならば、同じ熟度のもので分けてみる。
黄色っぽく熟しているものは先に漬け、まだ青いものは追熟してから追い漬けをすればいい。
・黄梅…即漬ける
→次は「梅を洗う」
・薄い緑…あと少し追熟したい
→次は「追熟する」
・青梅…数日間追熟
→次は「追熟する」もしくは青梅を使う用途へまわす。
なお、梅干しを作るには黄色く熟した梅でないといけない、というわけではないのです。
追熟させずに青梅のままでも梅干しは作れます。
ただ、黄色く熟した梅は梅酢が出やすく、青梅は少し出にくい。
作りやすさからいえば、追熟したほうがいいでしょう。
また、黄色く熟した梅と青梅で漬けたと場合では、仕上がりの柔らかさが違うかな。
そのくらいの違いはあるけれど、細かいことを気にしないのなら、梅の熟度がバラバラでも一度に一緒に漬けてしまってもいい。
(関連記事:熟度の違う梅を追い漬けする)
(3) 傷(キズ)
傷にはいろいろあるが、大きな傷とそうでない傷のものがある。
大きな傷のものは別にし、軽いものは気にせず梅干しとして使える。
・酷い傷… 種まで達する →外す
・深い傷… 内部まで達する傷 →外す
・浅い傷… 表面だけの傷 →使える
ある程度の傷は大丈夫ですが、心配なら外しておきます。
(4) 傷み(イタミ)
傷と違って傷みは、腐っているかいないか。
変色していたり、明らかに異常があるものは外す。
・大きい傷み… 廃棄
・小さい傷み… 外す
ここで外した梅は、難がある場所を包丁などで部分的に削ってみる。
内部がきれいな果肉なら別の用途で使えれば使う。ダメなら廃棄。
(関連記事:梅の傷)
追熟
梅干しを漬けるときには、熟した梅を使うのがいいとされる。
そこで、まだ青い(緑色の強い)梅は、追熟を行います。
・黄梅…追熟の必要なく、即漬ける
→「梅を洗う」へ
以下のような梅は、追熟する。
・薄い緑… 1~2日程度追熟。
・青梅… 数日変化を見ながら追熟。
注意するのは、梅を追熟したからといって、全体が完全に黄色くなるわけではない、ということ。
あまりに日を置きすぎると、梅は傷んでしまいます。
梅が緑色から、薄い黄色みを帯びて弾力(柔らかさ)が出てきたなら、完了としていいのです。
(関連記事:梅の追熟方法)
梅を洗う
梅を漬け込むことを決めたら、梅を洗う。
桶や大きめのボウルに水を張り、梅を入れてザブザブと優しく洗う。
むやみに擦ったりしないこと。
梅を傷つけると、あとから色が変色してきたりします。
(関連記事:梅を洗う)
アク抜き
青い梅はアクが強いので長時間水に漬けておく。
黄熟した梅は長く水に漬けないこと。
長く水に浸けてしまうと茶色く変色してしまう。
・黄梅で柔らかいもの
…アク抜きの必要はない。
・黄梅で硬さのあるもの
…30分程度。それ以上は置かない。
・薄い緑色の梅
…1~2時間程度
・青梅
…4時間~一晩くらい
どの状態であっても、ときおり様子を見ておくほうがいい。
(関連記事:梅のアク抜きは要注意)
梅を乾かす
梅の表面の水気を取りたいので、ザルに上げてそのまましばらく乾かす。
特に減塩で漬ける場合には、なるべく水が残っていないほうがいいでしょう。
漬込み
いよいよ梅を漬け込み。
漬ける容器を消毒してから、梅を漬け込みます。
漬ける容器を消毒
始めに準備いておいた容器が乾いているかを確認。
水滴が残っていなければ、容器を消毒する。
ここでいう消毒とは、容器内をアルコール等で消毒します。
(関連記事:容器のアルコール消毒)
梅を漬け込む
容器を消毒して準備ができたら、梅の漬け込み。
漬ける手順は、どの容器を使うのかによっても多少違います。
また、ホワイトリカー(アルコールや酢など)を添加するかどうかも、レシピによって異なります。
例として、ホワイトリカーを使う場合で、
梅を漬け込む作業の流れを書いておきます。
・ヘタ(なり口)を取る
梅に水気が残っていれば拭き取る
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・梅にホワイトリカーを付ける
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・塩を付ける
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・漬ける容器に入れる
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・余った塩も全て入れる
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・重石をする
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・蓋をする
漬込み完了。
重石を使うかどうかも、漬け方や状況によって異なります。
実際には参考にするレシピを元に従うといいでしょう。
漬込み~干す前
漬け込んでしまうと、干すまではあまり手をかけることもないのですが、時々様子を見て異常がないかを確認します。
異常が見られれば、なんらかの対処が必要となるのがこの時期なので、注意する。
また、赤紫蘇を入れたい場合に時期を見て追加します。
梅酢を確認
梅酢の上がりを気にしておく。
梅酢が上がらないなら重石をして梅酢の抽出を促すか、容器を傾けて梅が梅酢にふれるようにするなどの作業が必要。
梅酢が梅の頭が浸かるほど上がればひとまず安心。
ときどき梅や梅酢に異常がないかを確認する。
赤紫蘇を入れる
必要なら赤紫蘇を入れる。
赤紫蘇を入れるタイミングと、入れる・入れないは好みで。
どの段階で赤紫蘇を入れるかは、
赤紫蘇が出回るタイミングや方法にもよります。
・赤紫蘇を洗う
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・水気を切る
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・塩もみする
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・出てきた汁(アク)を捨てる
(塩もみとアク捨てを2~3回くらい)
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・梅酢を入れて発色させる
(梅酢は、梅を漬けている容器から取り出す)
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・梅を塩漬けしている容器の中へ、紫蘇を入れる
(関連記事:赤紫蘇の下ごしらえ)
梅干しを作る手順を書くときにいつも悩むのが、この赤紫蘇を入れるタイミングです。
地域によって梅と赤紫蘇の出回る時期がズレているために、入れるタイミングがずれていると思われるのですが、今は人によっても手法はいろいろ。
[赤紫蘇を入れるタイミングの違い]
(a) 梅を塩漬け→赤紫蘇入れる→干す
(b) 梅を塩漬け→干す→赤紫蘇入れる→干す
(c) 梅と赤紫蘇を同時に漬ける→干す
西日本はもっぱら(a)の順で漬けられるようです。
(a)と(b)と、どちらがいいとか美味しいとかは不明なのですが…
タイミングが合えば、両方試してみるのもいいかも知れないですね。
(c)は少し変則的でしょうか。
失敗した場合、原因が特定しにくい。
初心者さんにはあまりおすすめはしないです。
何度か梅干しを作ったことがあるなら、梅と赤紫蘇の出回るタイミングが合えば、やってもいいでしょう。
(関連記事:赤紫蘇を入れるタイミング)
梅を干す
土用の日は毎年違うが、だいたい7月下旬から8月の中旬あたり。
この期間のよく晴れている日に、塩漬けしている梅を干す。
できれば3日間晴れの日がよいのですが、1日ずつでも構わない。
梅の干し方もいろいろです。
以下には、一例として流れを書いておきます。
・ザルに梅を乗せ、天日に当てる
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・途中で引っくり返す
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・夕方に取り込み、梅酢の中へ戻す
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・2日目も干す
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・2日目は夜も干し続ける
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・3日目までそのまま干し、取り込む
一般的に3日干すということですが、1日でもいいし、大きい梅で水分が多いと思えば、5~6日干したりもします。
これは日当たりによるし、梅の大きさにもよる。
やってみるうちに、自分なりのやり方ができてきます。
(関連記事:梅干しの土用干し)
保存
保存する容器は瓶が望ましい。
梅を干している間に保存容器を洗い、消毒しておく。
梅干しを保存する方法はいくつかあるが、好みでいい。
・そのまま保存容器へ入れる
・一度梅酢へ漬けてから引き上げ、保存容器へ
・梅酢へ戻し入れ、梅酢に漬けたまま保存
梅干しは本来、多めの塩で漬けるので常温保存ができる。
しかし、減塩で漬けた梅干しは冷蔵庫へ入れたほうが無難。
(関連記事:梅干しの保存)
後記
ひととおり梅干しを作る工程と、その工程の内容を書いてみましたが、いかがでしょうか。
工程多い…大変だぁー!(面倒…)
とか思いました?
思いますよね(笑)
初めは工程が多くて「次は… なんだっけ?」みたいになり混乱するかも知れないですが、一度やってしまうとどうってことがないのがわかります。
梅を漬けて毎日少しずつ変化していく梅を見ているうちに、どんどん愛着が湧いてきて、出来上がるととても嬉しくなりますよ。
ま、一度やってみてくださいな。
それでは今回はこのへんで。
梅干しの工程を知ったら、実際に梅干しづくりに挑戦してみてくださいな~ヽ(´ー`)ノ