本サイトは広告を利用しています。

梅の下ごしらえは、その後の漬け具合を決める大事な下準備。

この記事を読むのに必要な時間は約 19 分です。

梅干しづくりは下ごしらえで決まる。

梅干しや梅シロップ・梅酒などを作るときにはまず、梅の下ごしらえをします。

梅の下ごしらえは、梅を漬ける直前までの準備をするわけですが、ここは案外重要なところ。
ここでやり方を間違ってしまうと、梅を傷ませてしまったり台無しにしてしまうことも。

台無しにしてしまったらもう泣くしかないので…^^;
そんなことにならないよう、注意する点などを交えて詳しく書いていくことにします。

 

それでは順番に説明していきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

梅の下ごしらえについて

梅を漬ける前には準備があります。
その準備の工程や判断基準は、漬ける用途によって多少の違いが出てきます。

そこが梅のややこしい(?)ところで。
失敗したー!というときには、どこかの段階で間違えてしまっているのです。

漬ける用途によって、何が違ってどうすればいいのか。
その整理が出来ていないと、準備段階で失敗していたり、漬けた後にうまく行かなかったり。

梅で何を作るにしても、梅の下ごしらえがとても大事だということをよく覚えておきましょう。

目的に合う準備をする

まずは梅で何を作りたいのかを決めてから、梅の準備作業に入ります。
この時点でまだ決めていないなら、しっかり決めておきましょう。
行き当たりばったりでやってしまうと、失敗の元になってしまいますよ。

〔梅を使う目的〕

ここで全てのレシピを網羅して分けることは無理なので、代表的なもので分けてみると次の二種類となります。

・梅干し
・梅干し以外

この二種類で分ける理由は梅の品種などではなく、使う梅の熟度の違い。
梅干しを作るには熟した梅、それ以外は主に青梅を用いる方がいいとされています。

それは基本的にということなので、例外はあるし好みもあるので、実際は自由。
ですが梅を扱う上で基本的に分けるとしたら、熟した梅(黄梅)と青梅に分けられそうです。

〔基本的な使い分け〕
・梅干し   …黄梅(黄熟した梅、完熟梅)
・梅干し以外 …青梅

基本的な使い分けで、単に熟度が違うというだけなら話は簡単なのですが。
梅の熟度によって、梅の準備をするときの工程や、気をつけることが少々違ってきます。

そのことを知っているかどうかで、失敗と成功が別れたりするのです。
特に初めて梅を漬ける場合や、扱いに慣れていない場合にトラブルが出やすいのはそのためもあります。

では、梅の熟度によって何が違うのか?
それは、水との関係が変わってくることです。

〔梅の熟度と水の関係〕
・黄梅 …熟すほどに水に弱くなる。
・青梅 …新鮮なほど水に強い。

つまりこんな感じ?

水弾きもピチピチの新鮮な青梅〔水に強め〕> 中間的な熟度の梅は防水も中間的 > すぐ吸水して変色しちゃう黄梅〔水に弱い〕

梅の準備をする上で、水との関係を知っておくことは重要なのです。

ちょっと前置きが長くなりましたが…
「目的に合う準備をする」というのは、つまりこういうこと。

・目的によって梅の熟度が違う
・梅の熟度によって水に強かったり弱かったりと性質に違いがある
・梅の熟度によって、準備の工程や注意点が少々変わってくる

これらを踏まえて、梅の準備をしていきましょう。

用途に合わせて準備する

先程書いたように、梅の用途に合わせて梅の下準備をします。

事前に梅で何を作るのかを考えて、その用途に合った梅を買ってくると準備は楽ですね。
特に梅干しの場合は、始めから黄梅を買ってしまえば、追熟の工程は不要ですぐに漬けられるし。

しかし梅を衝動買いしちゃったり、いきなり人から頂いたりした場合には、その時の梅の状態から何を作ろうかなと考えます。
そして、何を作るのかに合わせて下ごしらえをしていく必要があります。

ですからここからは、次のように分けて書いていくことにします。

・黄梅の準備 …(主に梅干し用)
・青梅の準備 …(主に梅干し以外用)

黄梅の準備

黄梅は主に梅干し用ですが、ほかにも用途はあり。
黄梅の準備をするときには、青梅~黄梅の状態の梅を使って準備をしていきます。

〔黄梅の下ごしらえの工程〕

・梅を用意 (青梅~黄梅の状態の梅)
|
・梅の選別
|
※(追熟) …黄梅は不要。青梅は数日を要する。
|
・梅を洗う
|
※(アク抜き) …黄梅は不要。場合によって30分程度。
|
・梅を乾かす
|
・梅のヘタ取り

※()内の工程は必要な場合に行います。

黄梅の準備をすることが目的なので、手元にある梅の熟度が不十分なら、追熟させる必要があります。
そして熟した梅は水に弱いので、水に触れさせるときには注意すること。
黄梅はアクが抜けているので、ほぼアク抜きは必要なし。

青梅の準備

青梅は用途も多く、新鮮さが求められることが多い。
青梅は少し置いておくとすぐに黄色くなってしまうので、すぐに下ごしらえをしてしまいましょう。

〔青梅の下ごしらえの工程〕

・梅を用意 (青梅)
|
・梅の選別
|
×(追熟) …不要
|
・梅を洗う
|
・アク抜き …数時間~一晩
|
・梅を乾かす
|
・梅のヘタ取り

青梅はもちろん、追熟の必要はなし。
青梅はアクが強いのでアク抜きをすること。

黄梅と青梅の「下ごしらえの工程」をみると、少し違うことがわかります。
相違点は「追熟」と「アク抜き」この工程が熟度により判断が変わるところです。

さて、だいたいの違いがはっきりしたところで。
ここから先は工程ごとに、青梅も黄梅も一緒に書いていくことにします。

梅の選別

梅の状態はいろいろです。
熟度の違いはもちろんのこと、大きさが違ったり傷があったり。

スーパーなどで買うと、大きさや熟度をほぼ揃えられているものもあるが、そうでなくバラバラのものもある。
そして梅が家まで運ばれるうちに、傷みが出てきたり潰れちゃったりと、いろいろなことがあります。

ちなみに梅の大きさは揃えたほうがいいといわれることもあります。
が、梅の量が多ければ分けてもいいし、少なければ大きさの違うものを一緒に浸けてしまっても問題ないです。

ここで書いている梅の選別とは、最低限見て分けたほうがいいかなぁ~と思うものです。

〔梅を選別する目的〕
・傷んでいる(カビや腐敗)か否か
・傷の有無
・梅の熟度

一つずつ説明します。

傷んでいるものを外す

傷んでいる梅が混じってしまうと、ほかの梅にも影響が出てしまいます。
初めはわからなくても、時間が経ったり水に浸けた後に傷んだ部分が露出してくることもあります。
傷みについては漬ける寸前まで一つずつよく見ておきましょう。

〔傷んでいるもの〕
・茶色や黒色など変色しているもの
・内部から変質のあるもの
・妙にブヨブヨしているもの
など

傷の有無

傷の状態はいろいろあるが、ざっと見て大きな傷があるものは外しておきます。
また、傷があるように見えて、じつは傷ではないものもあります。
たとえば梅の病気によるものなど。

梅の病気は表皮に黒点があったり、少々ゴツゴツした茶色っぽい点があったりするのですが、これらは人が食べることに問題はないので、外さなくても大丈夫です。
気になって嫌だという場合は、酷いものだけ皮を削り、別の用途に使うということも出来ます。

梅の病気などについては種類がいくつかあるので、また別の記事にて記述することにします。
(関連記事:梅の病気)

〔外すもの〕
・大きく皮が破れているもの
・変色しているもの
など

梅の色

梅の色を見るのは梅の熟度を見るため。

梅干しに適しているのは、黄梅や完熟した梅とされています。
熟した梅で作るほうが柔らかい梅干しになるといわれているし、漬けやすいからという理由もあるのです。
また、青梅は梅干し以外なら何でもたいてい向いています。

梅の色は感覚として伝えづらいのですが、
だいたいの目安として下記に色分けしてみました。

〔梅の色〕
a. 緑色  …(青梅)
b. 薄い緑色
c. 薄い黄緑色
d. 薄い黄色
e. 黄色  …(黄梅、完熟梅)

(1) 黄梅を準備するなら

黄梅や完熟梅と言えば主に梅干し用。
a~bの状態ならば追熟が必要。
cは微妙…余裕があればちょっと追熟。古いなら漬けてしまう。
d~eならもう漬ける。
※あまり悩まなくても大丈夫です。

極端な話、青梅でも梅干は作れます^^
しかしおそらく、普通の梅干しのイメージとは少々違うものができるでしょう。
初めて梅干しを作るなら、熟した梅の方が漬けやすい上、普通の梅干しのイメージに近いと思います。

青梅で漬けるのは、慣れてきたら試してみるといいでしょう。

(2) 青梅を準備するなら

用途にもよりますが、青梅を指定してあるレシピなどは、だいたいaくらいの状態で漬けます。
遅くてもbくらいの状態で早めに浸けましょう。

青梅が向いているとされている用途でも、熟した梅で漬けると美味しいというものもあります。
最終的には風味や香り、味や食感などの好みになるので、初めは作りたいもののレシピに従い、慣れれば好きにやってみるのも楽しいでしょう。

スポンサーリンク

梅の追熟

青梅が必要な場合は、この工程を飛ばしましょう。

追熟が必要なのは、黄梅を準備したい場合。
そして追熟が必要な梅は、まだ青さが残っており黄色味を帯びる以前のもの。
つまり、緑色~薄い緑色の梅を追熟させていきます。

梅を追熟させるのは梅の熟度にもよりますが、数日を要します。

〔追熟完了の目安〕

色 : 薄い黄色味を帯びているくらい
硬さ: 表面に柔らかさが出て弾力がある
香り: 桃のようないい香りがする

〔追熟方法〕

(1) 乾いたダンボール箱の底に新聞紙を敷く
(2) 追熟させたい梅を平らに並べて入れる
(3) 蓋を半開きにしておく
(4) 風通しよく陽の当たらない場所に置く

梅は硬すぎると漬けづらく、柔らかすぎると皮が破けたりなどして取扱が難しくなります。
感覚的な部分は伝えづらいのですが、毎年やっているうちに、自分なりに丁度いい具合というのがわかってきます。
初めて漬ける場合には、このくらいでいいかな~?と、だいたいの感じで大丈夫です。

梅の熟度にも個体差があり、なかなか全ての状態が揃わないですが、ある程度のところで漬けてしまいましょう。
追熟で悩んで置きすぎて梅が傷んでしまうよりは、早めに漬けてしまう方が損失が少くて済みます。
それでもかなり熟度に開きがある場合には、熟したものを先に漬けてしまい、その後追加して漬けることもできます。

梅の中には色が赤いものなどがありますが、熟して赤くなるわけではないので、それは気にしなくて大丈夫。
これは品種などによるようです。

梅を洗う

梅は優しく洗います。
熟した梅は柔らかくなっているので、傷を付けないように洗います。
たとえば多少硬さが残ってる梅だとしても、ガシガシ擦ったりすることはやめましょう。

梅はデリケートなので擦ったりしてしまうと、時間が経つにつれて茶色くなってブヨブヨしてきます。
以前やっちゃったことがあるのですよ~^^;

柔らかくなりすぎている梅は、すばやく短時間で洗ってしまいましょう。
あまり長く水に浸けてしまうと、茶色くなってしまいます。
洗い終えたら早めに水から引き上げましょう。

〔梅を洗うときに使う道具〕
・大きい洗い桶、またはボウルなど
・水切りザルなど

〔梅の洗い方〕

(1) 大きめの桶に水を張る
(2) 梅を入れて流水で流しながらザブザブと洗う
(3) 桶の水を変える。
これを二~三回くりかえす。

水に浸けているだけでも軽い汚れは浮き、ザブザブ洗えば大抵の汚れは取れるでしょう。
それでも汚れの気になる部分は、優しく拭うなどして一つずつ洗います。

特にヘタの部分には汚れが溜まりやすいです。
この時点でヘタを取る必要はないのですが、ヘタの部分に時々付いている余計なものは取ってしまってから洗うといいでしょう。

アク抜き

熟した梅はアクが抜けているので、アク抜きをする必要はないです。
ただ、黄熟した梅の中でもまだ硬さの残っている梅なら、短時間水につけておきます。
これは虫抜きの目的もあるからです。

ただし、熟した梅はすぐに浸水して変色する場合があるので、この工程は飛ばします。
青梅の場合はアクがあるので、やっておきましょう。

黄梅の場合

〔梅の状態]
・黄色っぽい色~黄色

〔アク抜きの方法〕…というより虫抜き目的
・たっぷりの水に梅を浸しておく
・時間は30分程度

〔注意点〕
・柔らかい梅はやらないこと
・様子を見ながら行うこと

まだ硬めの梅で傷がなければ水に浸けても大丈夫。
しかし無理してやる必要はありません。
時間を置くと傷のある部分から浸水して茶色くなってしまいますので注意。

青梅の場合

〔梅の状態〕
・ 緑色~薄い黄緑色

〔アク抜きの方法〕
・たっぷりの水に梅を浸しておく
・新鮮な青梅で4時間位を目安に
・薄い黄緑色くらいのものは2時間程度で

〔注意点〕
・上記の時間はあくまでも目安
・たびたび様子を見ておきましょう

どのくらい浸けておいていいのか、もしくはどのくらい浸けたらアクが抜けるのか。
このあたりのことは、梅の品種や育つ環境などいろいろなことがありそうなので、一概にこうだ!と言い切れない部分です。

梅を乾かす

水から梅を引き上げ、ザルなどに並べ置いてしばらく乾かす。
あまり置きすぎているとどんどん柔らかくなっていくので、ある程度、梅の表面が乾けばいいでしょう。

梅のヘタを取る

梅のヘタを取っていくのですが、この作業と並行して、梅に残っている水滴をキッチンペーパーなどで拭います。
梅は乾いたと思っていても、特にヘタの部分には水滴が残っていることがよくあるのです。

〔ヘタ取り作業〕
・梅のヘタを取る
・梅に水滴が残っていれば拭き取る

〔使う道具〕
・キッチンペーパー、または清潔な布巾など
・爪楊枝や竹串など

梅のヘタは爪楊枝か竹串で取っていきますが、爪楊枝は先が潰れやすいので竹串のほうがラクかな?
また、梅のヘタは梅が未熟だと取れにくいですが、熟している梅のヘタは割と簡単に取れます。

梅のヘタ取りは、水にふれる作業のあとに行うほうがいいでしょう。

先にヘタを取って水につけてもいいのですが、ヘタを取るときにうっかり梅を傷つけてしまうと、そこから浸水して梅が茶色く変色してしまうことがあるのです。

洗っているときなどに自然にヘタが取れるのは、放っておいて大丈夫。

 

ここまでの下ごしらえを終えれば、いよいよ梅を漬けている作業に入ります。
下ごしらえだけでもけっこう面倒なように思えるかもしれないけれど、慣れてしまえばなんてことはないのです。

むしろ、慣れれば下ごしらえも楽しいものです。

後記

今回は梅の下ごしらえについて細かく書いてみました。
梅仕事の手順や方法などは人それぞれ。

いろいろな情報を見たり聞いたりしますけど、人が違えばやり方も違うもので。
ときどき「え、そうなの?」みたいな記事も見つけたりします。

梅を毎年漬けて楽しいのは、これ!という正解が無いからなんでしょうね。

去年これが美味しかったから、今年も!
そう思って、同じように漬けたつもりが、どうも同じようにいかない…
そういうことがちょいちょいあるんですよね。

去年漬けたあれ、味見したけどキツかった…
そんな状態のものが、三年熟成させるとまるで違って、香り高くてものすごく美味しいものになっていたり。

杓子定規にいかないのは、毎年そもそもの梅の状態が違うからか。
同じところの梅が毎年手に入るとも限らないし、毎年同じ梅が出来上がるわけでもなし。

あちらの木、こちらの木で環境も違えば状況も違う。
それで全く同じものなんて無いんですもんね。
だから毎年いろいろな事が出てくるし、もう慣れたし~と高を括っていると思わぬ失敗をすることも。

まぁ、思い通りにいかないこともひっくるめて、だから面白いのでしょう。

出来上がるまでに日数がかかるし、長けりゃ何年もかかる。
もどかしいような楽しみのような…。

しかし先に楽しみがあるっていいことですよね。

なんか年寄りくさいことを申しましたが。
そんなところで、そろそろこのへんで失礼します。

ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。

それでは、梅ちゃんのご機嫌をとりつつ。うまいこと漬けちゃってくださいね~ヽ(´ー`)ノ

タイトルとURLをコピーしました