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梅の実が出回る時期。
スーパーなどで梅が並んでいるのを見て、
今年こそはと、つい買ってしまうことも
あるでしょう。
梅干し、梅漬け、梅酒に梅シロップ…
作れるものはいろいろあります。
しかし梅を買ってしまってから
「どうしたらいいんだっけ…」と
悩んだり慌ててしまわないように。
まずは何を作りたいのかを決めて、
何が必要なのかを調べておきます。
道具もそのひとつ。
梅を加工するための道具は、
何が必要で、何を使ってはいけないのか。
事前に知っておくと、
- 作業を始めてから慌てなくてすむ
- 道具を買いに行ってから悩まない
- 知らずに失敗することを防ぐ
たとえば梅干しを作る場合には、
ある程度必要な道具もありますが
全て揃える必要もなく。
家にあるもので代用できるものは
それを使えばいいでしょう。
梅で何を作るにしても
だいたい同じ道具を使うことができますが、
工程が多く、道具もそれなりに多く使うので
ここでは主に梅干しを例にあげて書いていく
ことにします。
そしてどのように使うのかイメージできる
よう、梅干し作りの工程に沿って
6つに分けて説明していくことにします。
梅を加工する前に使う道具たち
梅干しに限らず、他の梅の加工や保存食を
作るときにはまず、やることがあります。
それは、道具を洗って消毒するということ。
道具に付いているゴミやホコリ、雑菌などを
取り除くために必ず行います。
道具を洗う作業は食器を洗うのと同様なので
ここに書くまでもないですね^^
消毒には、熱による消毒と
消毒液などを使う方法とがあります。
熱による消毒をする場合
熱による消毒には2つの方法があります。
【熱による消毒】
a. 煮沸(しゃふつ)消毒
b. 熱湯(ねっとう)消毒
これはどちらか一方を実施すればいいし、
熱に弱い道具を使う場合には、実施しない。
a. 煮沸消毒に使う道具
・道具が入る大きさの鍋
b. 熱湯消毒に使う道具
・鍋やヤカンなど、湯が沸かせるもの
家にあるものを使えばいいので、
とくにそろえる必要はないでしょう。
消毒液などを使う消毒の場合
消毒液として使えるものには
いろいろな種類があります。
大きく分けると次の2種類。
【消毒液などを使う消毒】
a. 度数35%以上のアルコール
b. 食品に使える消毒液など
a. 度数35%以上のアルコールを使う場合
・35度以上の焼酎(ホワイトリカー)
・ブランデーやウォッカなどの強いお酒
アルコール度数の高いお酒ならばよし。
b. 食品に使える消毒液を使う場合
・ドーバー パストリーゼ77 など
・食品に使ってもよいとされる消毒液
どれでもいいので1種類はあると便利。
強いお酒が家にあればそれで代用できます。
道具の消毒について
どの消毒方法を用いてもいいのですが、
基本は熱による煮沸消毒や熱湯消毒が
いいでしょう。
しかし熱に弱い道具にはできないので、
35度以上のアルコールや消毒液を使います。
なお、いちばん良いのは二重にすること。
熱による消毒をして乾かしたあと、
使う直前にアルコールや消毒液を用いて
消毒します。
これはカビを出して腐らせたりする雑菌を
排除するため、失敗をしないためにも大切な
工程のひとつなのです。
梅を下処理するときに使う道具
梅干しを作るとき、梅を加工する際には、
まず梅の重さを量り、材料を量ります。
それから梅を洗い水を切って乾かし、
梅のヘタを取るなどして漬け込みます。
梅などの重さを量る道具
【計量器】
・アナログ式のはかり(ばねはかり)
・デジタル式のはかり(電子はかり)
重さがわかれば何でもいい。
キッチンスケール、クッキングスケール
とか呼ばれているもので充分。
重さがわかればいいのでお好みで。
ウチでは2kgまで量れるものを使っています。
あとは計量カップや計量スプーンなどが
あれば便利ですね。
梅や塩以外の材料を量るときに使うことが
あります。
梅を洗って水に浸けておく道具
・桶(おけ)やボウルなど
梅を水洗いできて、アク抜きのために
水に浸けておくことができる道具。
ボウルなどがなければ大きめの鍋でもいい。
代用できる入れ物があればいいでしょう。
材質については、琺瑯(ほうろう)製、
ガラス製、陶器製、プラスチック製など
何でもいい。
梅は金気を嫌うが、一時的な作業の場合は
ステンレス製品でも大丈夫。
梅を乾かす道具
・風通しのよいザルやカゴなど
竹製品、プラスチック製品など。
プラスチック製品の場合は、
網目の粗いものが乾きやすく使いやすい。
ザルは梅干しを干すときにも使えるので、
あればなにかと便利です。
金属製の網の場合、
梅をそのまま乾かす程度なら大丈夫かと
思いますが、長い間置きっぱなしにしたり、
梅を切って干すなどの使用は避けたほうが
いいでしょう。
梅のヘタを取る道具
・竹串、爪楊枝など
爪楊枝よりも、竹串のほうが
先が潰れにくいので使いやすい。
梅のヘタを取るかどうかは好みなので
どちらでもいいのですが、手間を惜しまない
なら取るほうがオススメです。
また、ヘタを取る以外にも、
梅シロップなどで梅の実に穴を開ける場合
にも使います。
梅の水気を拭き取る道具
・清潔な布巾(ふきん)、
キッチンペーパーなど
梅を漬けるときには基本的に水気厳禁。
梅が完全に乾いていないときには、
水気を拭き取るものが必要です。
梅を漬けておくための道具
梅干しなど梅を加工するときには、
どの容器を使って漬けるのかを決めておき、
事前に用意しておきます。
使う容器によっては、付属として他に必要
となる道具がある場合もあります。
梅を漬けておくための容器
【梅を漬けておくための容器】
a. 果実酒用の瓶(ビン)
b. 漬物容器(琺瑯・陶器・プラスチック製等)
c. 漬物用ビニール袋
d. ジッパー付きビニール袋
梅干しを漬けるための容器は種類も多く、
大きさもさまざま。
どれを使えばいいのかは、
漬けたい梅の量にもよるし好みによります。
※注意事項※
梅を漬けるのは約ひと月以上の長期間。
金属製の容器は、腐食する恐れがあるので
絶対に使わないこと。
初心者さんなら、手間のかからない
ビニール袋で漬けるのがおすすめ。
容器選びについては、関連記事をどうぞ
→ 梅の容器はどれがいい?
→ 梅の容器の大きさは?
どの容器を選択するのかで、
漬け方や注意点などが少々変わってきます。
使いたい容器での梅干しの作り方を
あらかじめ調べておくといいでしょう。
梅を漬けるときの重石
使う容器によって必要なものは異なります。
【果実酒用の瓶・漬物容器の場合】
・落し蓋(おとしぶた)
・重石(おもし)
果実酒用の瓶で漬ける場合には、
基本的には落し蓋・重石は不要。
ですが、あったほうが確実ではあります。
漬物容器を使う場合には必須かな。
【ビニール袋の場合】
・重石
重石を使わない漬け方の場合には不要です。
また、重石が必要な場合でも、
家にあるもので代用すればOK~と思います。
◇ 落し蓋・重石の代用品 ◇
重量があるものなら何でも重石になります。
手っ取り早くて便利なのはペットボトル。
水を入れて重石にします。
重さの量がわかりやすいし、
水が漏れ出すこともない。
落し蓋の代用は平らな皿でもいいでしょう。
梅に直接触れないように、ビニール袋で
カバーして使うとなおよいです。
※ 注意事項 ※
金属製の落し蓋や重石は絶対にダメ。
木製であっても、金属の金具が使われている
ものがあるので気をつけましょう。
梅を干すときに使う道具
梅干し作りの終盤。
梅を塩漬けにして1ヶ月くらい経てば、
いよいよ梅を天日に干します。
【梅を干すときに使う道具】
・ザルやカゴなど
竹製品で底が平らなものがおすすめ。
プラスチック製品などもありますが、
風通しのよい網目状の道具なら
けっこうなんでも使える。
※ 金属製品は要注意 ※
短時間なら大丈夫かも?とか思うけど、
少なくとも私は使わないです。
干すための道具は、干す時期までに
用意すればいいと思うのですが…
ホームセンターなどの量販店では、
季節物の商品を先行して売るため
早い時期から出回ることが多く、
ちょうど梅を干す土用の時期(7月下旬~)には
すでに売り切れていることもありますので
用意はお早めに。
竹製のザルは干し野菜を作ったりなど
他にも使えるので、あると便利です。
完成した梅干しを入れておく道具
梅が干し上がれば、
保存容器に梅干しを保管します。
梅干しを入れておく容器
梅干しは、塩分濃度や保存方法にも
よりますが、長期間の保存が可能。
そのため長期間保存をする前提で
保存容器を選びます。
【梅干しを入れておく容器】
・食品用の密閉できる容器
長い間、梅干しを保存するのに使う容器は、
劣化したりニオイ移りのしない素材のものが
いいでしょう。
短期間でも、色や匂いが付きにくい
瓶(ビン)や陶器が好ましいです。
おすすめは、瓶で密閉できる容器。
減塩で作った梅干しの場合など、
数ヶ月間で食べきってしまう前提ならば、
食品用のビニール袋やプラスチック容器でも
いいでしょう。
どちらにしても保存容器はあらかじめ消毒
するので、前述の消毒道具はここでも使います。
※ 金属製品はダメ ※
金属製の容器はもちろんのこと、
蓋が金属製というのもよくないです。
容器は瓶でも蓋(ふた)が金属というものが
よくありますが、金属製の蓋は錆びます。
金属製の蓋しかない場合、うちではラップを
した上から金属の蓋をしています。
それでも年数が経つと蓋は錆びます。
直接梅に触れていなくても錆びるのです。
うちでは金属製の蓋がダメになった場合、
ラップしてゴムをかけ、その上から密着する
シリコン蓋をかぶせて使っています。
ラップも空気を通したりするので、
これでいいのかどうかは…厳密には謎ですが
まぁ、家で食べるものなので、どうするかは
自己責任ですよ^^
梅酢の処理に使う道具
塩漬けした梅を抜いたあとに残った梅酢に
ついては、処理の方法はいろいろあります。
・そのままで別の容器に移して保存
・天日に晒して冷まして保存
・火にかけて冷まして保存
どのようにするかは好みでいいのですが、
火にかける場合には梅酢の酸や塩分に注意。
つまり、梅の酸や塩分に強い鍋を使うように
しましょう。
【梅酢を火にかける場合の道具】
・琺瑯(ほうろう)、ステンレス製の鍋など
土鍋でもいいでしょう。
金属製品は基本的に不可ですが、
ステンレス製の鍋は可。
ただしステンレス製であっても、
梅や梅酢を入れたまま数日間放置するような
ことは避けること。
使い終わったら、すぐにきれいに洗って
しまいましょう。
鍋はそのほかに、梅の状態が疑わしいとき
など、梅の手当にも使うことがあります。
保存容器に移すときの道具
梅干しなど、加工したものを保存容器に
移してしまえば、一連の作業は完了。
【梅干しなどをつまむ道具】
・菜箸
梅を保存容器に移すときなどに使います。
素手を使う場合もありますが…人それぞれ。
【梅酢などの液体を移す道具】
・木杓子、おたま(レードル)など
・漏斗(じょうご)
梅酢などを保存容器に移すときに使います。
おたまやレードルは一時的に使うものなので
ステンレス製でも可。
使い終わったらすぐに洗います。
漏斗はプラスチック製が軽くて使いやすい。
梅酢は料理などいろいろと便利に使えるので
丁度いいサイズの瓶などに移して保管して
おくと便利です。
その他の特殊な道具(必要なら)
特殊な道具は、余裕があれば持っていても
いいでしょう。
ただ、あまり使わないならいらないかな~。
梅を特殊な漬け方をするときに使います。
たとえば、梅の実を割るとか種を抜くとか。
そんなときに使う特殊な道具も、
一応紹介しておきます。
梅の実を割る道具
・梅割り器
ネットで検索すると沢山出てきますが、
手作りで作るなどしても楽しいかも。
滅多に使わないのに買うのもねぇ…
という場合の代用の方法は次のようなもの。
1. 梅の実に包丁で縦に切れめを入れる
2. まな板と木ベラ(木片など)で梅を挟み
3. 金槌で叩く
この手順で梅が割れるようですが…
私では力及ばず、再現できなかったです^^;
必要ならあったほうが楽かも。
種を抜く道具
・種抜き器
これもネット検索すると出てきます。
代わりの方法としては、
包丁やスプーンで地道にえぐる…。
これ、数やるのはけっこうしんどいです^^;
包丁もスプーンも金属ですので、
作業が終わったらすぐにきれいに
洗ってしまいましょう。
※注意事項※ 梅に使ってはいけない道具
梅に使う道具の場合には、
ただただ、金物や金属製品に注意!
度々書いてしつこいようですが…^^;
梅の作業全般を通して、
基本的に梅と金属は合いません。
梅の酸によって金属が腐食してしまうから。
また、梅干しを漬ける際には
大量の塩も使うのでなおさら金属NGです。
梅に直接触れていなくても、
意外と錆びていってしまいます。
うっかりそのまま置いておくとどうなるか…
何より、せっかくの梅ちゃんが、
金気臭くなるわ金属が溶け込むわ…なんて
ことになれば廃棄するしかなくなります。
悲しくなることは避けましょう~(;_;)
まとめ
梅干しなど梅を加工するときに使う道具。
ひとつひとつ紹介していくと
結構たくさんあるものですね。
しかしなんだかんだ言っても、
漬ける容器と乾かすザルさえあれば
あとは家にあるものでなんとかできそう。
基本はこれら3つの道具があればいい!
◇ 梅を漬ける容器
食品用の容器で金属製ではないもの。
空になった大きな海苔瓶でもよし。
食品用のビニール袋なら安くかさばらない。
◇ 消毒用のアルコール(度数35%以上)
梅を漬けるには道具の消毒が大切。
塩分20%以上で漬ける梅干しなら
熱湯による消毒だけでも充分。
◇ 梅を乾かし干すための道具
ザルやカゴなど。
通気性のよい道具があれば代用できる。
いっそ干さない梅漬け状態でよければ、
干すための道具もいらない。
あと、保存容器は何かの空き瓶でもいいし、
家にある保存食器でもいいでしょう。
家にあるもので使えそうなものは
なんでも代用しちゃいましょう。
毎年続けて梅を漬けるのならともかく、
初めての場合は専用のものを揃える必要も
ないのです。
道具を選び使う上で気にしておくことは、
金物注意!これだけは覚えておきましょう。
それでは長くなりましたが
今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださって
ありがとうございます^^
あなたのところに来た梅ちゃん、
ぜひ大事にしてあげましょ~ヽ(´ロ`)ノ~