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梅干しを作るには、さまざまな漬け方があります。
そのなかで今回は、
瓶(ビン)容器を使って梅干しを漬ける方法をご紹介します。
瓶容器を使うメリットは、
フタを開けなくても中の様子がわかるので安心、という点です。
使う容器が違えば、多少の漬け方の要領も変わってくる。
しかし基本的なことは同じです。
梅を漬ける感覚がわかれば、どの容器を使っても漬けられるようになるでしょう。
それでは、ひとつずついってみましょ~。
使う材料と道具
まず始めに、ここで必要な材料と道具を書いておきます。
材料で迷うのは、塩の量。
減塩思考の世の中ですが、実際は梅干しの塩だけ減らしても意味がないものです。
なので、ここでは初めて梅干しを漬ける場合でも失敗しにくいよう、塩分18%で書くことにします。
また、赤紫蘇についてと干す工程は別記事にて記載します。
使う材料
〔梅干しの材料〕
・梅 2kg (黄熟した梅)
・塩 360g (梅の重量の18%)
・焼酎 50cc (アルコール度数35以上のホワイトリカーなど)
※アルコール度数の低い焼酎は意味がないので、35度以上のものを使いましょう。
梅の量を増減する場合には、他の材料も割合に合わせること。
多少の誤差は気にしなくても大丈夫です。
使う道具
【容器】
・4L(リットル)瓶
※食品用の瓶容器であること。
梅が2kgだと4L(リットル)容量の瓶容器がちょうどいい。
ただし、梅のサイズが4L(エル)以上の大きいものの場合は入り切らないことも。
漬けやすいのは、M~2Lサイズくらいでしょうか。
【使う道具】
◇ 梅を洗うときに使うもの
・洗い桶 (またはボウル)
・水切りザルなど
◇ 梅を漬け込むときに使うもの
・キッチンペーパー(または清潔な布巾など)
・爪楊枝 (または竹串)
・ボウル2個
・菜箸 (きれいに洗った手を使ってもいい)
・食品用の消毒アルコール少々 (またはホワイトリカーでOK)
瓶の準備
瓶の準備は、梅を漬け込む前までに完了しておくと楽です。
【ビンの準備】
・ 瓶を洗う
・ 瓶を熱湯消毒する
・ 瓶を乾かす
この手順で準備していきます。
瓶を洗う
食器を洗うのと同じように、瓶を食器用洗剤でよく洗う。
そして洗剤が残らないように、水できれいに洗い流す。
瓶を熱湯消毒する
さきほどきれいに洗った瓶を、熱で消毒します。
◇ 注意点
瓶にいきなり沸騰した湯をかけないこと。
瓶は温度差で割れることがあるので、必ず先に、熱めの温度の湯で瓶を温めること。
◇ 熱消毒の手順
・瓶の中に熱め(50~60度くらい)の湯を注ぎ入れ、瓶を温める
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・瓶の中の湯を捨てる
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・沸騰した湯を瓶の中に注ぎ入れ、全体に行き渡るようにする
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・瓶の中の湯を捨てる
熱湯消毒完了。
蓋も一緒に消毒しておくのですが、耐熱性でない場合はやらないこと。
瓶を乾かす
瓶に水滴が残らないよう、しっかりと乾かす。
ザルなどに瓶をひっくり返して乾かします。
ザルがなければ、乾いた清潔なタオルや布巾の上などに伏せておく。
陽の当たるところへ置き、干しておくのもいいでしょう。
瓶が完全に乾いたら、瓶のフタを締めるか、瓶の口にラップなどでフタをしておくといいでしょう。
瓶の準備はここまでやっておくと、いつでも使えて便利です。
梅の下ごしらえ
次は、梅の準備。
ここでは梅の下ごしらえの手順を、簡単に説明していきます。
・ 梅の選別
・ 追熟※
・ 梅を洗う
・ アク抜き※
・ 梅を乾かす
・ 梅のヘタを取る
※の工程は、必要な場合に行います。
梅の選別
梅を買ってきたらまず、袋から出してあげましょう。
そして梅干しにする目的で梅を選びます。
梅干しに向いているとされる梅の条件
・傷のないもの
・熟しているもの※
※この時点で梅が熟していなくても、追熟させるので大丈夫です。
では、梅の選別について見ていきます。
【梅の選別】
(1)傷や傷みがあるか
・傷の有無を見る →表面だけの軽いものはOK
・傷んでいるか →変色などの傷みがあれば外す
深い傷のある梅は別の用途で使うようにします。
(傷を取って漬けたり、ジャムにしたりできます)
(関連記事:梅の選び方)
(2)梅の熟度はどうか
・梅の色 →黄色みを帯びているもの
・梅の硬さ →柔らかさがあり弾力のある硬さのもの
梅の熟度は、梅の色と硬さを見て判断します。
弾力があるというのは、表面は柔らかいけど芯はまだ硬さが残っている状態。
そのくらいが漬けやすく、丁度いい状態です。
熟度が進みすぎているものは皮が破れやすかったりするので、取り扱いに気を付けます。
追熟
まだ熟度が充分でないと感じたら、追熟をします。
逆に熟度が進みすぎて柔らかくなっているものは追熟不要、すぐに漬けてしまいましょう。
【追熟方法】
(1) 乾いたダンボール箱に新聞紙を敷く
(2) 梅をなるべく重なりが少ないように平らに入れる
(3) ダンボールの蓋を半開きにしておく
(4) 風通しのよい陽の当たらないところに置く
追熟は梅の状態により、1日~数日を要することもあります。
うっかり傷ませてしまわないよう、毎日様子を見てみましょう。
【追熟を終える目安】
・薄黄色に色づいている
・表面がやわらかめで弾力がある
・桃のように香る
色の変化がわかるよう、時々様子を見ます。
※完全に黄色っぽくはならず、日が経つと劣化していきます。
あまり黄色くなることにこだわらず、上記の「追熟を終える目安」に合った状態になれば漬けてしまいましょう。
(関連記事:梅の追熟)
梅を洗う
梅は擦ったりせず、優しく洗います。
【梅を洗うときに使う道具】
・洗い桶 (またはボウル)
・水切りザルなど
【梅の洗い方】
(1) 桶に水を張り梅を入れる
(2) 水を流しながら梅をざぶざぶ洗う
(3) 桶の水を捨てる
これを2~3回程度くりかえす。
水に浸かっているだけでも軽い汚れは浮いてきます。
それでも気になる場合には、一つずつ優しく洗いましょう。
アク抜き
青い梅にはアクがあるため、水に浸けてアク抜きを行います。
熟している梅は殆どアクが抜けているため、やる必要はありません。水に浸けるのは虫抜きの目的もあるので、やる場合は短時間で行います。
◇アク抜きしても大丈夫な梅
・表面に硬さのある梅
◇アク抜きをしないほうがいい梅
・全体が黄色い梅
・やわらかい梅
→水に浸けすぎると、浸水して茶色く変色してしまう。
【アク抜きの方法】
・梅をたっぷりの水に浸しておく
・時間は30分程度
※ときおり水から出して様子を見ること。
やわらかいと感じたらすぐに水から引き上げます。
そのまま放置してしまうと、変色してしまうので注意。
(関連記事:梅のアク抜き)
梅を乾かす
梅を水から引き上げ、ザルなどに並べて乾かします。
あまり置きすぎてもどんどん柔らかくなっていくので、梅の表面があらかた乾けばいいでしょう。
梅のヘタを取る
梅が乾いたら、梅のヘタ(なり口)を取っていきます。
【使う道具】
・爪楊枝または竹串
・キッチンペーパーや清潔な布巾など
梅を乾かしても、まだ表面に水滴が付いていることがある。
梅に水が残りやすいのは、ヘタの部分。
キッチンペーパーなどで梅に付いている水滴を拭いつつ、梅のヘタ取りをしていきます。
梅のヘタを取るのは、爪楊枝か竹串。
まだ青い梅のヘタは取りづらいのですが、熟した梅のヘタは簡単に取ることができます。
梅を漬け込む
ここからようやく、梅を漬け込む作業に入ります。
【梅を漬け込む工程】
・ 瓶を消毒
・ 梅に焼酎を付ける
・ 梅に塩を付ける
・ 瓶に入れる
材料と使う道具もここでおさらい。
【梅干しの材料】
・梅 2kg (黄熟した梅)
・塩 360g (梅の重量の18%)
・焼酎 50cc (アルコール度数35以上のもの)
…ホワイトリカーでOK
【使う道具】
・梅が入るボウル2個
なければビニール袋
・菜箸
きれいに洗った手を使ってもいい
・食品用の消毒アルコールを少々
35度以上のアルコール(ホワイトリカー)でOK
では順に説明します。
瓶を消毒
瓶の消毒は始めに一度、熱湯消毒をしていますよね。
しかし漬け込む前にはもう一度、容器内の消毒をしておきます。
このときの消毒には、食品に使っても大丈夫なアルコール消毒液などを使うのですが、アルコール度数35度以上の焼酎(ホワイトリカー)などでもいいのです。
【消毒方法】
・スプレー容器があれば、瓶の中全体にアルコールを噴霧する。
・スプレー容器がない場合は、アルコールを少量瓶に入れて全体に行き渡るように回す。
これで消毒完了です。
梅に焼酎を付ける
梅に焼酎を付けていきます。
ボウルに材料の分量の焼酎を入れて梅を転がし、梅にまんべんなく付ける。
【梅に焼酎を付ける目的】
・梅の表面の雑菌を減らす
・傷みにくくする
・梅酢を引き出しやすくする
・塩を付けやすくする
など。
アルコール臭が苦手という場合でも、ひと月くらい塩漬けし、最終的に天日に干すので、食べるときには全く気にならないですよ。
梅に塩を付ける
焼酎の付いた梅に塩を付けます。
ボウルに塩を入れて梅を転がし、梅全体に塩を付ける。
私はヘタの部分には余計に塩をすり込んでおきます。
ヘタを取るときにうっかり爪楊枝で刺して傷をつけてしまったりするし、ヘタの周辺部分が柔らかい梅などは念入りに。
傷口に塩(笑)ですが、こうしておくと、そこから水分も抜けやすいし変色もしにくく傷みにくい気がしています。
【梅に塩を付ける目的】
・梅酢を早く抽出させるため
瓶に入れる
材料を随時、瓶に入れていきます。
(1) 梅と塩を交互に瓶へ入れる
梅(焼酎と塩をまぶしたもの)を一段入れたら、少し塩を乗せる。
そして梅、塩、梅、塩という順に梅を全て入れるまで交互に繰り返す。
※最後に塩を多めに乗せたいので、間の塩は少なめに。
◇ 余談:梅を瓶に入れるときのコツ
小さめの梅の場合、梅をザラザラと考えなしに入れても、軽く瓶を揺らせば収まりよく入ったりします。
しかし大きめの梅ははじめから並べて入れるようにした方が、無駄な空間が少なくなっていいでしょう。
無駄な空間が空くと、塩が瓶の底へ落ちて溜まりやすく、梅酢が上がりにくくなってしまいます。
梅を詰め詰めに並べて入れる方が、塩が下へ落ちにくく梅の間に留まるので、梅酢の抽出がしやすいのです。
(2) 残りの焼酎をかけ入れる
梅が全て入ったら、残った焼酎を全て入れる。
焼酎を上から入れると梅に付けた塩が下へ流れてしまうので、少しずつ静かに入れます。
(3) 残った塩を入れる
最後に残った全ての塩を入れる。
梅の上に被せるように残りの塩を乗せてしまいます。
(4) 蓋をする
瓶に付属の蓋があれば、それで蓋をする。
蓋が無かったり、ゆるい蓋の場合は、ラップで蓋をして瓶の首あたりに輪ゴムをかけておく。
◇ 余談:蓋はテキトーでもOK
ウチではいつもラップと輪ゴムで蓋をしています。
海苔の空き瓶を使う場合などは、蓋があまい(ゆるい?)ので。
あとは金属製の蓋が付いていたものは、錆びちゃって処分しちゃってるので蓋がない。
そんなこんなで、いつの間にか我が家では全てラップで蓋をするようになりました。
こんな状態でも梅干しは作れるのです…。
話はそれましたが、これでひとまず梅の塩漬けは完了。
だけどここで終わりではないのですよ~。
安心するのは、梅酢が無事に上がってから!
塩漬けした梅を干すまでの間
梅を無事に傷ませないようにするためには、梅が梅酢に浸っていることが大事。
梅を漬けてしばらくは、梅酢の上がり具合を見ていきます。
(1) しばらく様子を見る
2~3日くらいそのまま置いて様子を見る。
しばらく置いておくと、じわじわと梅酢が出てきます。
あらかじめ梅に塩をまぶし、一番上にも塩を置いているので、しばらくこのまま見守りましょう。
梅酢が上がってくるまでに梅の色が変わってくることがありますが、この時点ではあまり気にしなくても大丈夫です。
(2) 瓶を揺らす
その後、1日数回は優しく瓶を回す。
2~3日経つと塩も溶け出し、かなり梅酢が上がってきます。
しかしまだ全ての梅が梅酢に沈んでいる状態ではないでしょう。
瓶の中には空気もあるので、あまりそのまま放置してしまうと梅が傷んできてしまいます。
そのため、梅が梅酢に浸るように、1日に数回は瓶を優しくまわしてあげましょう。
昼間家に居ないなら、朝晩でもいいので瓶を回し、梅を梅酢に浸します。
するとじわじわと梅酢が上がって、梅は下がってきますよ。
梅が梅酢で濡れている状態にあると、梅は傷みにくいのです。
通常、熟した梅で漬けると早めに梅酢が上がってくるものですが、中にはなかなか上がらない場合もあります。
それは梅の熟度不足だったり、そもそも果肉が薄く(種が大きく)梅酢が少なかったり、理由はさまざま。
梅酢が梅の頭まで完全にかぶらなくても、梅酢に浸かるように時折回してあげていれば大丈夫です。
また、フタがしっかり閉まり、逆さにしてもいい瓶容器を使っているのなら、瓶をひっくり返す「天地返し」をしてもいいでしょう。
これができれば、梅酢の上がりは早いかな。
(3) その後(余談)
だいたい梅を漬けてひと月くらいすれば、もう干してもいいかなと。
通常は土用の日を待ち、梅を干せば梅干しの完成です。
梅の干し方はまた別の記事にて説明します。
(関連記事:梅干しを干す)
梅干しとは、梅を塩漬けにして干したものを指しますが、干さないという選択もあります。
「梅の塩漬け」状態の梅は、「梅漬け」といわれるもの。
保存性を考えると、天日に干したほうがいいのですけどね。
実際、雨が多かったり時間が取れなくて干せなかった年もあり、そんなときには「梅漬け」の状態で置いています。
この「梅漬け」状態のままでも食べてもかまいませんし、翌年干してもいいでしょう。
後記
瓶で梅干しを作るのは、いたって簡単。
少々いろいろ書きすぎたかなとも思いますが、あまりに淡々と書きすぎるとわからないことも出てくるよね、ということで、ところどころ細かめに書きました。
初めはいろいろ戸惑うことも多いでしょうけど、一度やってみると感覚がわかります。
そうすると次の年には、もうちょっと余裕を持ちながら梅を漬けることができるでしょう。
梅は漬けてもすぐには食べられないので、出来上がりが待ち遠しい。
土用が来て梅を干して、そのときにつまみ食いをしてみると、ようやく出来たなぁ~と嬉しいものです。
今回は塩の量が18%ですので少々塩っぱい出来となりますが、これは何年も保存することができる塩分濃度。
梅干しは三年置いてからが美味しいといわれますが、実際三年置くと塩が馴染んで味がまろやかになります。
まず干し上がりに味見をして、また半年後に味見をしてみる。
熟成させるほど、塩っぱさや梅のすっぱさも丸くなっていきますので、その変化も楽しめます。
長く常温保存が効くため、急いで消費する必要もありません。
もし塩がきつくて自分に合わないと感じたら、長く熟成させて時折味を見て、美味しいと感じるようになってから食べるといいでしょう。
そんなに待てない場合は、塩抜きをして食べるということもできます。
他にも料理に使ったりご飯に混ぜて食べるなど、いろいろな用途で使うこともできますよ。
それでは今回はこのへんで。
ここまでおつきあいくださいまして、ありがとうございます。
梅干しがいい具合に漬け上がるといいですね~ヽ(´ー`)ノ