この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。
梅を加工する前にはまず
梅をきれいに洗います。
ただ梅を洗えばいいだけなのですけど、
これが意外といろいろとあるのです。
きれいに洗いたいからと
ついガシガシ洗ってしまいがちですが…
強く洗うと傷んでしまいます。
それならいっそ洗わなくても…
いえいえ、そうもいかないのです。
梅は一見きれいに見えても、
木になってから大きくなるまでに
たくさんの風雨にさらされています。
梅の実の表面には産毛があり、
水を弾くようにはなっていますが、
沢山のチリやホコリなどに触れているのです。
それなりに汚れがついているので
しっかりと、しかし優しく洗いましょう。
そして梅を洗うときには、
いくつかの注意点もあるので
知っておくといいですよね。
ということで今回は、
梅の洗い方について書いていきますよ~。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
梅を洗うタイミング
梅を手にして、さぁ洗おう!といきたいところですが…
まずは、その梅はすぐに洗って使っていいものかを考えます。
何に使いたいのか、今の梅の状態でいいのか。
それによって、すぐに梅を洗うかどうかが違ってくるからです。
すぐに使える状態の梅ならば、洗ってしまいます。
まだ使えない梅ならば、すぐには洗わずしばらく置いておく必要があります。
※この意味がわかる場合には「2. 梅の洗い方」に進みましょう。
すぐ使える状態の梅って何?
と思ったら、次のことを確認してみます。
・梅で何を作るのか
・今の梅の状態はどうか
梅で何を作るのか
梅で何を作るのかによって、適した梅の状態が違います。
梅の状態が適しているかどうかというのは、
梅が一般的に「この状態がいいよ」と推奨されている状態かどうかということ。
梅が適した状態ではないからといって、失敗につながるとか、駄目だとかいうことではないのです。
ただ、適した状態のほうが好まれるし、作りやすいよ~、みたいなことだと思いましょう。
(1) 梅干しに使う場合
梅干しにする場合、黄色く熟した梅を使います。
柔らかい仕上がりの梅干しを好むなら、熟した梅が適しているからです。
そして、梅干しを作りやすいのもまた、熟した梅。
しかし青梅でも普通に梅干しを作ることはできるので、これは好みですね。
(2) 梅干し以外に使う場合
梅干し以外の梅酒、梅シロップ、梅味噌などを作る場合には、青い梅が向いています。
熟した梅でも作ることは可能ですが、これも好みによりけり。
そして作りやすさにおいても、青梅のほうがラクにきれいに仕上がります。
今の梅の状態はどうか
梅で何を作りたいのかが決まれば、今、手にしている梅の状態を見てみましょう。
(1) 青い(緑色っぽい)
梅干しに使いたい場合には追熟が必要。
追熟をしてから梅を洗います。
(追熟の方法はこちら → 追熟の方法)
梅干し以外の用途に使うのなら、すぐに使える状態なので洗って使いましょう。
(2) 黄色っぽい(熟している)
黄色っぽく熟している梅は、梅干しに適しています。
すぐに洗って使いましょう。
梅干し以外にも、熟した梅を使うことはできます。
たとえば梅酒や梅シロップなど。
熟した梅を使うことで、青梅とはまた違った風味のあるものができます。
しかし熟度には注意が必要です。
まだ梅に硬さが残っているのならば、作ることは難しくない。
ですが熟しすぎた梅を使うと、皮が柔らかく破れやすい。
皮が破れると果肉が出てしまい、液体がにごる。
液体がにごると、傷んだ時にわかりづらい。
そのため、初心者には向かないとされています。
熟しすぎて柔らかすぎる梅は、梅干しを漬けるときでも皮が破れないように気をつけて漬けます。
あまりに柔らかすぎる梅の場合、ジャムなどにするといいでしょう。
梅の洗い方
梅をすぐ使うことが決まれば、さっそく梅を洗いましょう。
梅の洗い方でむずかしいこと、というのは特にないです。
ただ、少々注意点などがあります。
梅の洗い方の手順を簡単に書くと次のとおり。
(1) 洗い桶にたっぷりの水を張り、梅を入れる。
(2) 流水でジャボジャボとかき回すように洗う。
(3) 桶の水を捨て、(1)~(2)を2~3回繰り返す。
梅の実はサイズや量によってはたいへんな数になります。
一つ一つ洗うのもたいへん。
効率的に洗うためにも、たっぷりの水でジャバジャバと洗い流します。
これを繰り返すことで、大抵の汚れや砂などは落ちてくれます。
しかし気になる汚れは一つずつ、優しく手でぬぐって洗うといいでしょう。
たっぷりの水でかき回して洗うので、梅をごろごろ転がしても衝撃が少ない。
梅が樽に強く当たったりしにくいので梅を傷つけずに済みます。
流水で洗うのは、梅は意外と砂などが付着しており、けっこう汚れているため。
2~3回水を替えて洗っても、少々の砂が水の底に残ることがあります。
水を変えるタイミングや回数などは、水の濁り方などを見ながら判断しましょう。
そして梅を洗った後は、梅のアク抜きをします。
梅のアク抜きについては、また別の記事にて。
(→ 梅のアク抜き、要注意ポイント)
梅を洗う時の注意点
梅を洗う時の注意点はいくつかあります。
でもあまり神経質にならなくても大丈夫なので、そんなものか~と覚えておきましょう。
梅は傷つきやすい
梅を洗う時、汚れなどが付着していたり黒ずんでいたりすると、つい力を入れてこすってしまいたくなります。
しかし梅はデリケート。
衝撃や摩擦に弱いので、優しく洗いましょう。
うっかり打ち付けたり落としたりすると、あとから打撲した痕が出てきます。
茶色く変色したり、時間差で出てくるのです。
この症状は、強くこすったときにも同じ。
また、梅の皮に傷が入ると、梅の内部に水が侵入して変色したり、カビがつく原因にもなったりします。
梅の防水力
梅にはよく見ると産毛がたくさんあります。
よく水を弾いて実を守るためでしょう。
梅を水の中に浸けてみるとよく分かるのですが、水を弾いて梅の周りに空気の層ができます。
新鮮な青梅は特に水弾きが強いな~と感じます。
梅を洗う時には、この水弾き力は少々お邪魔。
しっかり水に浸して、梅を水になじませるようにして洗います。
熟した梅は手早く
黄色く熟した梅は、実が柔らかく皮も破れやすくなります。
青梅はまだ実も皮も硬いのである程度は大丈夫ですが、黄色く熟した梅の取り扱いは慎重に。
あまり長時間水に浸しておくと、傷のある部分から茶色く変色したりしやすいので、梅を洗うときにも手早く行います。
梅のヘタを取るタイミング
梅のヘタ(なり口、あるいはヘソ)を取るのは梅を洗ったあと。
梅を洗う時にヘタも取れることがありますが、それは放っておいてもかまいません。
しかし、梅を洗う前にわざわざ外すのはやめましょう。
梅のヘタは、梅が熟すほど取れやすくなります。
梅を洗っている時に自然に取れるものはいいのですが、洗う前に外さなくていいのです。
この段階で無理に外したとき、そこに傷を入れてしまうことがあり、傷から水が侵入しやすくなります。
熟した梅は特に水に弱いので、ヘタを取るのは梅を漬け込む直前にしましょう。
梅のヘタ部分のくぼみに、砂などが入り込みやすいために、ヘタを先に取るほうがいいという話もありますが、砂があるのはヘタより外側。
枝の一部分や花の残骸などがくっついている場合には、砂などが取れずに残りやすい。
そういったものは事前に取り外すことで、大抵の砂や汚れは落ちてきれいになります。
もし梅を漬ける前のヘタを取る段階で、砂などが残っていた場合。
その部分をキッチンぺーパーなどでぬぐうか、水洗いしたのちに水気をきれいにふき取るなりすれば、それで大丈夫です。
斑点や黒いシミのようなもの
市販の梅はまれに。
自然の梅だとよく見られる、斑点や黒いシミ。
これらは一見、汚れかなぁ…?
と思ってしまいますよね。
じつはこれ、梅の実の病気の一種だったりします。
病気とはいえ、人間には害のないもの。
普通に洗うだけで大丈夫。
見た目が悪いだけで、梅の質には問題ないもの。
気にしなくてもいいものなのです。
気になるからと擦り洗いをしても、取れるものではないのですよ。
梅はやさしく。
ガシガシこすってはいけませんよ~。
どうしても気になるのなら、ひどいものは外したり、皮を削いてジャムなどにするなどするといいでしょう。
後記
さて今回は、梅の洗い方について書いてみました。
梅の洗い方自体は、何らむずかしくはないものです。
ですが汚れなどが気になってしまうと、強くこすり洗いなどをしてしまいがち。
つい力を入れてしまわないように注意しましょう。
私は以前やっちゃってますからね~^^;
強くこすってしまうと、あとから打ち身みたいに茶色くなって表面に出てきます。
例えて言うなら、桃が茶色く打ち身が出来てしまったような感じでしょうか。
多少茶色くなっても早々に浸けてしまえば問題はないのですが…
作るものによっては、身が柔らかくなって皮も破れやすくなるので、あまりよろしくはないものです。
桃ほど取り扱いに神経質にならなくてもいいのですが、梅を扱う時には丁寧に優しく、と気に留めておきましょう^^
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
梅ちゃんを優しく水に泳がせて、キレイキレイにしてあげましょ~ヽ(´ー`)ノ♪