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市販の”梅干し”にはさまざまな種類があるが、大きく分けて二種類。
・梅干し(本来のもの)
・調味梅干し
本来の梅干しは、塩(と赤紫蘇)だけで作られた、塩っぱい酸っぱい梅干し。
これに対して調味梅干しとは、それ以外の材料も使って作られたもの。
調味梅干しには、塩以外の味付けをされたものも多くある。
「かつお梅」「はちみつ梅」などが代表的なものでしょう。
時々見かける言葉に、次のような表現があります。
・本物の梅干し
・偽物(ニセモノ)の梅干し
これは何を意味するのか。
おそらくは次のようなことを差しているのかなと思います。
・本物の梅干し…梅干し(本来の)
・偽物の梅干し…調味梅干し
はっきりとこのように分けられるのならば簡単ですが…。
近年はいろいろなタイプの調味梅干しが作られています。
全ての調味梅干しがニセモノだと決めつけてしまえば、本当のところが見えなくなります。
「ニセモノ」と呼ばれる調味梅干しが問題とされるのは、その作り方から。
では、他の「調味梅干し」とはどんなものがあるのでしょう。
今回はそんな、梅干しの見分け方について書いていきます。
本物の梅干し・偽物の梅干し?
梅干しの好みは人それぞれ。
人の好みを基準にすると、何が本物かという話は簡単にひっくり返ります。
本物か偽物か、というのは何を基準にするかで変わってくるのです。
たとえば…
塩だけで漬けた梅干しを本物だとすれば、
それ以外のものは全て偽物。
梅を塩漬けにして干し、さらに漬け込む「本漬け」をした梅干しだけが本物だとすれば、
それ以外は全て偽物?
どこに基準を置くかで話はずいぶん変わってきますよね。
調味梅干しに関しても、昔と比べて今ではいろいろなタイプのものが出ているのです。
これが全て偽物で、駄目なものだと決めつけてしまうまえに、どんなものがあるのかを確認してみましょう。
市販の食品には、その名称や原材料名を表示する義務があります。
その食品がどういうものなのか、どんな材料を使って作られているのか。
市販の”梅干し”についても同様です。
たとえばパッケージに書いてあるような売り文句を読んだところで、鵜呑みにしていいものか怪しい表示があるものです。
本物か偽物か、それは自分の目で見て確認し、判断することが大事。
まずは知ることから初めて、その上で自分が許容できるものか否かを判断してもいいのではないでしょうか。
昔ながらの「梅干し」の見分け方
昔ながらの梅干しというと、酸っぱくて塩っぱい、甘くない梅干し。
まさに梅と塩(と赤紫蘇)のみで作られた本来の梅干し。
これを選ぶためには、次のような表示のものを選びましょう。
【名称】梅干し
【原材料名】梅、塩、(赤紫蘇)
梅干しの表示はこれが基本。
名称欄には商品名が書かれていることもありますが、その場合には、原材料表示を見れば梅干しかどうかがわかります。
「梅干し」の定義は、
梅を塩だけで漬けて、干したもの。
もちろん赤紫蘇が入っていれば、赤紫蘇も記載があります。
塩以外の調味料が使われていれば、
それは「調味梅干し」になるわけです。
他の表示があるとするならば、梅の産地や品種、塩や赤紫蘇の産地や種類などが書かれていたりすることもあるでしょう。
スーパーなどは「調味梅干し」が多く、「梅干し」をあまり置いていないかもしれない。
ネット通販では近年は数も多くなり、比較的簡単に見つけることができるようになりました。
どの方法で購入するにしても、原材料表示は確認しておくほうがいいでしょう。
そうでなければ、思った梅干しと違う!ということになりかねないのです。
減塩「梅干し」の見分け方
減塩と書かれた梅干しは、すべて「調味梅干し」のように思えるかもしれません。
しかし最近ではそうでもないようです。
減塩でも、調味梅干しではない梅干しがあるのです。
減塩というと、その製法の多くは「脱塩」するのですが、そうではなくて始めから塩を減らして漬けられている梅干しもあります。
それも塩だけで他の何も使わない、ちゃんと「梅干し」と呼べるもの。
減塩といえども、それなりの塩分があるだろうと思っていたのですが、驚くほど低い塩分のものもありました。
おそらく塩を無駄なく擦り込んだり、空気を遮断したり冷蔵を利用するなど…さまざまな工夫がされ作られているのでしょう。
名称はもちろん「梅干し」
原材料についても、使うのはもちろん「塩」のみです。
脱塩して作る減塩梅干しと差別化するためか、「低塩」梅干しと表現されている業者さんもあります。
調味梅干しの見分け方
調味梅干しの見分け方もやはり、表示を見ることから。
【名称】調味梅干し
【原材料名】梅、塩、(赤紫蘇)の他に、これら以外の物質が入る
調味梅干しの原材料表示には、梅干しに使われる材料以外のものが記載されています。
それは一般的な調味料から、食品添加物や食品扱いの物質などさまざまです。
そもそも調味梅干しがニセモノと言われるのは、脱塩しているものが多いため。
脱塩したものは、自ずと使う物質が増えるのです。
脱塩している調味梅干し
脱塩…塩漬けした梅から塩を抜くこと。
梅は、まずはじめに塩漬けをします。
減塩梅干しであっても、その多くはまず、多めの塩分で梅を漬けるところから始めます。
そうしなければ、梅はすぐに傷んでしまうからです。
高い塩分で塩漬けしておきさえすれば、梅を一年以上保存することが可能です。
そして調味梅干しを製造するときに、必要な量を脱塩して使います。
脱塩は、塩漬けの梅を水やお湯につけて行います。
塩を抜けば保存性を失いますが、それとともに
梅の成分なども一緒に抜け出てしまうのです。
抜け出た成分を補うためには、梅の味を濃くするための味付け、酸味づけ、色や香り付け、保存性を上げるための保存料など…つまりは、脱塩時に失った成分を、食品添加物や、それに準ずる食品類などの物質で代替しなければならないのです。
それらの物質を調合したものが、調味液。
脱塩したあとの梅は、この調味液に漬け込みをされるのです。
これが、梅の栄養などがあまり残っていない、ニセモノの梅干しと言われる所以でしょう。
脱塩しない調味梅干し
調味梅干しはそのほとんどが、減塩目的であったり味付けが目的であったりするので、そもそも塩分が少ないものが多い。
なので全ての調味梅干しが一度塩漬けして脱塩しているのかと思いきや、そうではないようです。
はじめから塩を減らし、別の調味料とともに漬けて保存性を上げるという工夫をされて作られているものもあるのです。
その調味料も、食品添加物などではなく、昔から使われている一般的な調味料ならばなおよいでしょう。
この方法でなら、脱塩処理をしなくていいので、梅の成分が抜け出ることはなく、梅の味を充分味わうことができます。
この場合は、ニセモノだとまで言われなくてもいいのではと思います。
(他の調味料を使うことで「梅干し」の定義からは外れますけどね。)
脱塩しているもの・脱塩していないものの見分け方は、材料からある程度わかるものもあれば、わかりにくいものもあります。
気になるならば、まずは製造方法などを記載されている業者さんのサイトを見てみるといいでしょう。
売り文句を鵜呑みにしないこと
売り文句にはいろいろなものがありますね。
まさにあの手この手で売り込みがされています。
まずはパッケージの表示に惑わされないこと。
昔と変わらない、というイメージ
市販の梅干しのパッケージに、こんな文言が書いてあるのを見かけます。
・昔ながらの〇〇
・おばあちゃんの〇〇
梅干しに限らずですが、けっこうありますよね。
イメージ的に「なんかよさそう」に感じる文言。
しかしうっかり鵜呑みにしてはいけません。
例を挙げてみましょう。
◇「昔ながらの〇〇にこだわった…」
さも良さそうな売り文句…しかし材料を見ると違います。
原材料名:梅、しそ、漬け原材料〔食塩、しそ〕、酒精、野菜色素、シソ抽出物
酒精は保存性を上げるため。
野菜色素は色付をするため。
シソ抽出物は?具体的に何者かは不明。
なお、酒精以下は食品添加物です。
◇「昔ながらのすっぱい梅干し」
本来の梅干しかと思いきや、減塩モノの調味梅干しです。
原材料名:梅、漬け原材料(食塩、食酢)/ビタミンB1
ずいぶんシンプルでよさそうではありますが、
ビタミンB1は保存性を上げるための食品添加物。
◇「昔ながらのしそ漬け」
「香料や着色料は一切使用せず、天然着色だから安心…」とも書いてありましたが、野菜色素は着色目的で使っているわけです。
材料:南高梅、水飴、食塩、しそ葉、醸造酢、酒精、野菜色素、クエン酸、甘味料、ビタミンB1
酒精以下、食品添加物です。
売り文句、謳い文句はイメージ作りで人の目を引こうとします。
しかしその言葉と中身が合っているのかどうかが問題。
それは原材料を確認することで、ある程度はわかるのです。
使われている物質名の意味がわからないとしても、一見してわからない物質というものは、何かしら人工的に手が加えられた物質だということもいえます。
昔の人がこんなもん使うかいな!とか、
つっこみ入れたくなる表示もありますよね。
優良そうなイメージ
他にもざっと調べて目についた文言の商品について確認してみました。
◇「本格派」
何を基準に本格派と書いてあるのか不明。
材料を見る限り至って普通。
塩分は15%。何がどう本格派なのか。
◇「上級品」
何がどの基準で上級品なのか不明。
◇「こだわりの」
こだわりと書いてあっても、何にこだわっているのかによります。
例を上げようと思いましたが、書いてあることが支離滅裂で多すぎる…
どうやら食品添加物を使うことにこだわりはないようです。
◇「からだにやさしい塩分○%」
からだにやさしいのは低塩分だからなのでしょう。
材料:梅、しそ葉、漬け原材料(果糖ぶどう糖液糖、しそ液、食塩、醸造酢)、クエン酸、調味料(アミノ酸等)、酒精、砂糖、野菜色素、ビタミンB1、甘味料(スクラロース)、ユッカ抽出物、香料
「おいしさそのまま」とも書いてありましたが、食品添加物で味付けされています。
クエン酸以下は食品添加物(砂糖を除く)。
以上のような「優良」そうなイメージをもたせたい、けどおかしな表示は時折見かけます。
数年前よりはずいぶんマシにはなりましたが、まだあるのが現状。
食品表示は今後変わっていくので、そのうち正されていくでしょう。
しかし目立つところに記載されている言葉やパッケージのイメージに惑わされないように、しっかりと確認していきましょう。
「無添加」などの表示に惑わされない
「無添加」の記載は全てが無添加ではない。
何が無添加なのか、具体的な記載がされているかを確認すること。
「〇〇不使用」の表示にも注意。
〇〇を使用していないと書いてありながら、似たよう代替えの添加物を使っていることもあるのです。
たとえば次の調味梅干し。
添加物の表示欄に「合成保存料不使用」という記載がありました。
そして原材料の表示欄には、以下の記載が。
原材料:梅、漬け原材料(食塩、還元水飴、醸造酢、発酵調味料、砂糖)、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア:植物抽出天然甘味料)、ビタミンB1 (原材料の一部に小麦を含む) アレルゲン/小麦
「調味料(アミノ酸等)」以下は全て食品添加物。
ビタミンB1は保存料としても使われる食品添加物で合成物質です。
後記
今回は、市販の”梅干し”の見分け方について書いてみました。
「梅干し」と一口に言っても
類似商品はたくさんある。
食品表示上は「調味梅干し」であっても、
売り文句には「梅干し」と書いてある。
本来の塩っぱくて酸っぱい梅干しも、
低塩で脱塩しない製法の梅干しも、
一般的な調味料だけで漬けられた
甘酸っぱい調味梅干しも、
脱塩して食品添加物などの調味液で
漬けられた調味梅干しも
すべてまとめて「梅干し」と表現される。
だから表向きの文言だけでは中身はわからないもの。
やはり表示を見てからどういうものかの判断になるでしょう。
商品をアピールしたい、よりよく見せたい。
売り手側にはそんな思いがあるのでしょう。
それが真実の言葉ならいいのですが、
間違ったイメージを抱かせるような表示は控えてほしいものです。
また、そんなイメージの誘導に
引っかからないようにするためにも、
私たち消費者側もしっかり情報を見て
判断していくことが求められます。
梅干しに限らずですが、
情報のイメージ操作に気をつけましょう。
つい「本物の梅干しです!」みたいな文言が書いてあれば、そのサイトが取り扱う梅干しは全て本物だという誤認をしてしまいかねないですからね。
それは単に言葉足らずの説明不足なのかもしれない。
勝手に勘違いしたといわれればそうなるのでしょうけれど…
それでいいはずはないですからね。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
“梅干し”製品をしっかり見分けていきましょ~ね~ヽ(´ー`)ノ