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梅のことわざは幾つもあるが、花は称賛、木は少々頼りない。

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

「花といえば桜」

現在ではそのように言われていますが、

「花といえば梅」

という時代がありました。

春一番に咲く梅の花は
厳しい寒さの中でも可憐な花を咲かせ、
その香りは素晴らしく芳しい。

そんな梅の花はとても好まれたのです。

梅は日本の在来種である、
という説もあるようですが

いまのところは中国から、
奈良時代の頃に遣唐使によってもたらされた
という説が有力のようです。

梅はしばらくの間、
貴族階級の人々のものであったのですが

江戸時代の頃には、庶民が梅の花見をする
ほどに、広く親しまれるのです。

 

梅についてのことわざは沢山あるため、
今回は梅の花と木にまつわるものを
集めました。

(関連記事→梅干しにまつわることわざ)

それでは、いってみましょ~^^

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ことわざとは

伝えられてきた言葉はことわざに限らず、
他に慣用句や故事成語などがあります。

それぞれ言葉の意味合いは違うものの、
昔から人々に役立ち、使われてきたからこそ
伝わってきた言葉。

ことわざ

古くから広く言い伝えられてきた言葉。
生活する上で得られた知恵や知識、教訓。
皮肉めいたものや批判などを含んだ言葉。
これらを短い言葉であらわしたもの。

慣用句

昔から習慣で使われてきた文句や言い回し。
簡潔な文で表された言葉。

梅の文字を含んだ言葉は多々ありますが、
今回はその中から「梅」を指す意味を含む
ことわざ・慣用句を紹介していきます。

梅の花

まずは梅の花についての言葉から。

梅の花

梅の花は褒め讃えられる”たとえ”に使われる
ことが多いですね。

  • 梅は百花の魁
  • 炎天の梅花
  • 桜梅桃李
  • 梅は蕾より香あり
  • 梅花は莟めるに香あり

「梅は百花の魁」
うめはひゃっかのさきがけ

優れた人は誰よりも先に秀でるもの、
ということ。

早春の寒さが厳しい中で、梅はどの花よりも
先に咲き、春を告げることから。

「炎天の梅花」
えんてんのばいか

めずらしいもののたとえ。

中国(宋)の詩人、簡斎(かんさい)の詩に
『炎天梅蘂(花)』(1688年)というものがある。

ありえないものだが、悟りの境地により
心の目で見えるというもの。

『奥の細道』に「炎天の梅花爰(ここ)に
かほるがごとし」(1693-1694年)という句もある。

「桜梅桃李」
おうばいとうり

他人と比べることなく、それぞれが自分の
個性を発揮しよう、ということ。

桜・梅・桃・李、それぞれが異なる独自の
美しい花を咲かせることから。

1254年(鎌倉時代)の説話集、
『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』(※)の
『草木』の項にある漢文より。

「春は桜梅桃李の花あり
秋は紅蘭紫菊(こうらんしぎく)の花あり
皆これ錦繍(きんしゅう)の色
酷烈(こくれつ)の匂なり」

※橘成季(たちばなのなりすえ)が編纂。
日本三大逸話集のひとつ。
(ほかに、今昔物語集・宇治拾遺物語)

「梅は蕾より香あり」
うめはつぼみよりかあり

「梅花は莟めるに香あり」
ばいかはつぼめるにかあり

これらは表現は違うが、どちらも同じもの。

才能のある人、大成する人は、早い頃から
その素質があらわれるということ。

梅の花は、つぼみの頃からよい香りがすると
いうことから。

花と実

「花も実もある」
はなもみもある

外見の美しさだけではなく、
中身も充実していることをいう。
また、人情も道理も兼ね備えていること。

この言葉は一見すると梅とは関係なさそう
なのですが、この「花」とは梅を差している
と思われる。

梅花と桜

次は「梅花と桜」の言葉。
昔から両者は、なにかと比べられています。

  • 梅と桜
  • 梅と桜の婀娜くらべ
  • 梅と桜を両手に持つ
  • 梅は香りに桜は花
  • 散るは桜、薫は梅
  • 梅が香を 桜の花に匂わせて 柳の枝に咲かせたい

「梅と桜」
うめとさくら

「梅と桜の婀娜くらべ」
うめとさくらのあだくらべ

これもどちらも同じ意味。

美しいものや素晴らしいものが並んでいる
ことのたとえ。

「梅と桜を両手に持つ」
うめとさくらをりょうてにもつ

美しいもの、よいものを両手に持っている。
よいことの上に、よいことがあること。

「両手に花」に同じ。
「花」というのは、梅と桜のこと。
2つのよいものを同時に手にすること。
また、男性が二人の女性を連れていること。

「梅は香りに 桜は花」
うめはかおりに さくらははな
梅は香りがよく、桜は花がいい。

「散るは桜 薫は梅」
ちるはさくら かおるはうめ

桜は散るのがいいのであり、
梅は薫るのがいい。

それぞれの優れているところを表している。

「梅が香を 桜の花に匂わせて 柳の枝に咲かせたい」
うめがかを さくらのはなににおわせて やなぎのえだにさかせたい

それぞれのいちばんよいところだけを集めて、
理想のものにしたいものだということ。

芳しい梅の香りを、美しい桜の花に匂わせて、
しなやかな柳の枝に咲かせたいものだ、
という願望の話。

元は『後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)』
(1086年)の中原宗時(むねとき)の歌。
「梅が香を さくらの花に 匂はせて 柳の枝に 咲かせてしがな」

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梅の花と木

梅の花咲く木についての言葉。

  • 梅に鴬
  • 梅に鴬 柳に燕
  • 梅に鶯 紅葉に鹿 牡丹に唐獅子 竹に虎
  • 歳寒三友
  • 松竹梅

次は3つともに同じ意味をもつもの。

「梅に鴬」
うめにうぐいす

「梅に鴬 柳に燕」
うめにうぐいす やなぎにつばめ

「梅に鶯 紅葉に鹿 牡丹に唐獅子 竹に虎」
うめにうぐいす もみじにしか ぼたんにからじし たけにとら

取り合わせのよいもの。
並べると様になるもののたとえ。
絵画などの画題として用いられる。

それぞれ「梅に鶯」「紅葉に鹿」などと個別に
使われたり、言葉を繋げて使われたりする。

「梅に鶯」については別記事にしています。
よろしければどうぞ~。
「梅に鶯」の記事へ。

「歳寒三友」
さいかんのさんゆう

冬の寒い季節に、友となるべき三つの植物。
松・竹・梅、あるいは梅・水仙・竹を指す。
中国で好まれる画題のひとつ。

「松竹梅」
しょうちくばい

縁起のよい、目出度いものの象徴とされる。

元は中国の歳寒三友から伝わったとされるが、
日本での意味あいと違い、中国では清廉潔白、
節操の象徴とされる。

日本での松・竹・梅は、何れもめでたいことの
象徴であり、それぞれにも意味がある。

「松」は冬でも常に緑の葉であることから
長寿を。

「竹」は真っ直ぐに伸び、成長の早さから
生命力を。

「梅」は冬も明けきらない春先に咲くこと
から、逆境に耐える強さや謙虚さを象徴。

松竹梅の順にも理由があり、めでたいものと
もてはやされた時代の古い順になっている。

松は平安時代、竹は室町時代、梅は江戸時代
から吉祥の象徴とされるようになった。

格付けの意味を持って使われることもあるが、本来、優劣はないもの。

梅の木

次は梅の木の性質にまつわる言葉。
梅の花は讃えられるけど、本体の木は…?

  • 梅根性に柿根性
  • 梅木学問
  • 楠の木分限 梅の木分限
  • 桃栗三年、柿八年…梅は酸い酸い十三年
  • 桜伐る馬鹿 梅伐らぬ馬鹿
  • 桃を切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿

「梅根性に柿根性」
うめこんじょうにかきこんじょう

梅根性とは、何をしても本質や性質が変わら
ないこと。
梅は煮ても焼いても何をしても、酸っぱく
変わらないことから。

柿根性とは、すぐに変わりやすい性質のこと。
柿は焼いたり干したりすれば甘くなり、変わりやすいことから。

梅と柿とは、反対の性質を表わしている。

「梅木学問」
うめのきがくもん

にわか仕込みの、不確実な学問であること。

梅の木は生長が早いが、大木にならないことから。

反対の言葉に「楠(くすのき)学問」がある。

「楠の木分限 梅の木分限」
くすのきぶげん うめのきぶげん

堅実な金持ちと、にわか成金のたとえ。

「分限」とは金持ちのこと。
楠は生長は遅くとも、しっかりと根を張り
大木になることに対し、梅の木は、生長が早く
すぐに実をつけるものの、大木にはならないことから。

「桃栗三年、柿八年…梅は酸い酸い十三年」
ももくりさんねんかきはちねん
…うめはすいすいじゅうさんねん

何事にも時間がかかるということ。
ものごとは短い期間では成し遂げられない
ということ。

ほかに「梅の十三年待ち遠い」など、
この言葉にはいろいろな形がある。

詳細は別記事にて書いてます。
よろしければどうぞ~
「桃栗三年」の記事へ。

「桜伐る馬鹿 梅伐らぬ馬鹿」
さくらきるばか、うめきらぬばか

木の剪定についての言葉。
木の性質に合わせた対処が必要であること。

桜の枝を切ると傷みやすく弱ってしまう。
梅の枝は切らないと花がつかないことから。

他にも同様の言葉がある。
「梅は伐れ桜は伐るな」
「桜折る馬鹿 梅折らぬ馬鹿」
「桃を切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿」

何にしても、折ることはいけませんね。
どの木にしても、それぞれの育ち方に合わせた
方法で手入れをしないと、いい具合にはなら
ないものです。

自然

自然によく触れていることからわかる言葉。

豊作

豊作になるよ~という言葉。

  • 梅田椎麦
  • 梅田枇杷麦

「梅田椎麦」
うめだしいむぎ

梅が多く実る年は、水田の稲が豊作。
椎の実が多い年は、麦が豊作。

「梅田枇杷麦」
うめだびわむぎ

梅が多く実る年は、水田の稲が豊作。
枇杷が多い年は、麦が豊作。

自然の理

古から続く、自然のことわり。

  • 梅一輪一輪ほどの暖かさ
  • 梅の花、上向きに咲く年は晩霜あり
  • 時節の梅花春風を待たず

「梅一輪 一輪ほどの 暖かさ」
うめいちりん いちりんほどの あたたかさ

梅の花が一つずつ咲くに連れ、少しずつ
暖かさが感じられるようだ。

江戸時代の俳諧師で、松尾芭蕉の弟子。
服部嵐雪(はっとりらんせつ)の句。
「玄峰集(げんぽうしゅう)」庭の巻。

「梅の花、上向きに咲く年は晩霜あり」
うめのはな、うえむきにさくとしはばんそうあり

梅の花が上向きに咲けば、遅い霜が降りるよ
ということ。

晩霜(ばんそう)とは、遅霜(おそじも)。
春先の4月頃になって降りる霜のこと。

「時節の梅花春風を待たず」
じせつのばいかしゅんぷうをまたず

天の理は、人の力では変更することができない
というたとえ。自然の摂理。

梅は暖かな春風が吹くのを待たず、
時節が来れば咲いて散ってしまうことから。

人の力では自然に抗うことはできない。
人の存在は、自然の中の一部にすぎないもの
ですよね。

後記

さて今回は、梅のことわざ。
その中でも、梅の花・梅の木を取り上げて
みました。

梅が人々に愛され広まったのは、

・平安時代の貴族社会

・鎌倉時代の武家

・江戸時代の庶民

…ということですが、庶民としては歴史が
長いような短いような?という感じですが、
しかし梅の花と木だけでも、多くの言葉が
あるものですね。

このような言葉を調べているといつも思うの
ですが、昔の人の感性って繊細で洗練されて
いるんだなぁ~ということ。
もちろん皆が皆というわけではないですけど。

現代の私達のように、何でも同じ言葉でまとめ
てしまったり、言葉を端折ってしまったり、
そういう…なんというか、言葉に対しての
姿勢が違うという気がします。

現代より、ずっと機微な表現の言葉を知って
いたり、使っていたのだろうなぁ…とか、
勝手にそんなことを思います。

それでは今回はこのへんで。
ここまでおつきあいくださいまして
ありがとうございます。

あなたのお好きな言葉、お気に入りの言葉は
ありましたか~ヽ(´ー`)ノ

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