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桃栗三年柿八年。では梅は?この続きもいろいろあるのです。

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

「桃栗三年 柿八年」

この言葉をご存知でしょうか。
なんとも言いやすい語呂合わせの言葉。

全国共通に使われているのは、
この始めの言葉のみ。

しかしこれには続きがあって、
地方でさまざまな言葉に
変容しているのです。

そして桃、栗や柿のみならず、
他の果実についても語られています。

もちろん、梅についても。

今回はこの、
「桃栗三年 柿八年」という言葉について
調べていきますよ。

それでは、いってみましょ~。

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言葉の意味

「桃栗三年 柿八年」

この言葉は果物が種から発芽し、
育って実がなるまでの年数を数えたもの
だといいます。

文面通りに捉えると、
桃と栗は3年かかり、柿は8年かかるもの。

果物の実がなるまでには
これほどの時間がかかるのだということ。

転じて、
物事を成すためには
それなりの時間がかかるもの。

物事は何事もすぐには結果がでないもの。

一朝一夕に物事を成し遂げることは
できないのだということ。

そういった教えを含んだことわざです。

ちなみに果物が成るまでの年数というのは、
必ずしも正しくはないようです。

種から植えればそのくらいの年数がかかる
ということ。

接ぎ木などの手を加えれば
いくらか期間が短くなるものもあるようで、
果物によって違います。

期間の長いものでは
「蜜柑の間抜けは二十年」
「林檎ニコニコ二十五年」
という節もあります。

実際にこれだけの時間を要するというのなら、
これでは農家さんは大変ですよね。

いつから言われていたのか

ことわざは古くから使われていた言葉。

昔の人の知識や知恵だったり、
教訓や戒めといったものを簡潔に表したもの。

ことわざは、すでに平安時代にはあった
と言われています。

昔からの言葉が人の口から口へと伝えられ、
今現代にことわざとして残されているのです。

すごいことですよね。

「桃栗三年柿八年」

これについて、
いつごろ発生したものなのかというのは
定かではないようですが、少なくとも
江戸時代には使われていたのです。

江戸時代にはあった

「桃栗三年柿八年」という言葉が、
文字として残されているのは江戸時代の書。

役者の評判記

『役者評判蚰蜒(げじげじ)』
1674年。

歌舞伎役者を紹介する評判記。
この本には次のような歌が
掲載されています。

「桃栗三年柿八年
人の命は五十年
夢の浮世にささので遊べ」

「ささので遊べ」とは、
「酒を飲んで遊べ」ということです。

ことわざ集

『譬喩尽(たとえづくし)』
松葉軒東井(しょうようけんとうせい)編。
1787年。ことわざ集。

「桃栗三年柿八年
枇杷は九年で登(なり)兼(かね)る
梅は酸い酸い十三年」

この本にはことわざだけでなく、
和歌や童謡、流行語なども入っている。

随筆

『三養雑記』
随筆家・山崎美成(やまざきよししげ)著。
江戸時代後記。

第4巻の目録に
「桃栗三年柿八年」の項目がある。

「諺に桃栗三年柿八年になりかかるといふ」
と書かれていた。

また「桃三栗四柑六橘七柚八」
(タウサンリツシカンリクキツシチユハチ)
と、口ずさみに言っていたようです。

そのあとに、以下のような記述も。
「桃三李四梅子十二」
(タウサンリシバイシジフニ)

えと…全体で何が書いてあるのかまでは
わかりかねます^^;

興味のある方、お得意の方は、原文が
公開されているのでぜひご覧くださいな。

データベース:
人文学オープンデータ共同利用センター
三養雑記 /新日本古典籍総合データベース

いろはかるた

江戸時代後記に作られた「いろはかるた」に
「桃栗三年柿八年」が使われていたようです。

ちなみに、かるたで遊んだ経験のある
年代ってどの辺までなのでしょう…。

よもや「カルタってなに?」ということは
ないのでしょうけど。

かるたなので「も」が付く言葉は一つ。

この言葉選びは地域で違いがあるために、
当時「桃栗三年柿八年」が使われていたのは
尾張(名古屋)のいろはかるただけだったようです。

ちなみに江戸のいろはかるたでは
「も」…「門前の小僧習わぬ経を読む」

京都のいろはかるたでは
「も」…「餅は餅屋」

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地方での変化

桃栗三年柿八年。

先程の江戸時代の書にも出ていましたが、
この後にもまだ言葉が続いています。

そのなかにはもちろん、
当サイトのテーマである
「梅」も入っています。

地方での言い回し

「桃栗三年柿八年」
ここまでは全国で同じ。
ですが続く言葉はさまざまなのです。

口伝なのだから仕方がないですよね。
伝言ゲームのようなものなのですから。

それにしてもいろいろ。
言葉の一部が違ったり、
年数や果物が違ったり。

ちなみに例として一つを挙げると、
「桃栗三年 柿八年 柚子は九年の花盛り」
このように組み合わされて伝わっています。

あまりにパターンがいろいろだったので、
各地での違いを年数毎にまとめてみます。

桃栗三年柿八年…

九年 柚子は九年の花盛り
柚子は九年で花盛り
柚子は九年でなりかねる
柚子は九年でなりさがる
枇杷は九年でなりかねる
枇杷は九年でなりさがり
十三年 梅は酸いとて十三年
梅は酸い酸い十三年
柚子は遅くて十三年
十五年 梨はゆるゆる十五年
十八年 梅は酸い酸い十八年
柚子の大馬鹿十八年
柚子は大馬鹿十八年
柚子の馬鹿めは十八年
梨の馬鹿めは十八年
梨の馬鹿めが十八年
二十年 蜜柑の間抜けは二十年
銀杏のバカタレ二十年
二十五年 林檎ニコニコ二十五年
三十年 銀杏粘りの三十年
銀杏のきちがい三十年

長い年月のかかるものはすごいですね。
文句が…^^;
しかしこの顔ぶれは愛情の裏返し、
というところでしょうか。

それと銀杏は30年かかるというのは
あながち冗談でもないようですよ。

その他の言い回し

その他にも、以下のような言葉があります。

「桃栗三年、後家一年」

桃と栗は実がなるまでに三年がかかるが、
主人を亡くした女は一年しかもたない。

…未亡人の節操のなさをしゃれていう
のだそうです^^;

「桃栗三年柿八年
梅は酸い酸い十三年
柚子の大馬鹿十八年
林檎にこにこ二十五年
女房の不作は六十年
亭主の不作はこれまた一生
あ~こりゃこりゃ」

すごいですねぇ。笑。
これもまたしゃれ、ユーモアでしょうか。

ちなみに、こんなことわざもあるようです。
「女房の悪いは六十年の不作」
「悪妻は百年の不作」

これまたすごい言葉…。

しかし夫婦になって60年というと、
現代では二十歳で結婚したとしても80歳…
これまたほぼ一生ということですね^^;

近年使われた言葉

桃栗三年、柿八年…

この言葉はことわざですから、
多くの人が使っています。

その中でいくつか紹介しておきます。

武者小路実篤

武者小路実篤
(1885年5月12日-1976年4月9日)
日本の作家。

「桃栗三年柿八年
だるまは九年
俺は一生」

達磨大師が壁に向かい、
9年間に渡り座禅を続けて悟りを開いた
という故事から、
「面壁九年」という言葉がある。

【面壁九年(めんぺきくねん)】
長い間忍耐強く一つのことに専念し、
やり遂げること。

だるまは九年かかったが、
自分は一生をかけてものごとを成す。

そういった意味でしょうか。

何かを成そうとするならば、
それだけの気概で取り組まねばならない
ということなのですね。

現代は何でもお手軽にできちゃう時代。

何かと簡単に済ませたいと思ってしまう
ものですが、そんな時代であるからこそ、
しっかりと心に留めておきたいものです。

時をかける少女

『時をかける少女』
1983年公開の映画。
原作:筒井康隆
監督:大林宣彦

あまりに有名な映画ですが、劇中歌として
「桃栗三年柿八年」の言葉が使われている。

題名:愛のためいき
作詞:平田穂生

“桃栗三年柿八年
柚子は九年で成り下がる
梨の馬鹿めが十八年”

“愛の実りは海の底
空のため息 星屑が
海星(ひとで)と出会って億万年”

1番はことわざから。
2番は創作ですね。
曲は大林監督のオリジナルだそうです。

ちなみに私は主題歌が好きでした^^

後記

さて今回は、
ことわざ「桃栗三年柿八年」について。

言いやすい語呂合わせの効いた言葉です。
ノリのいい感じで言える言葉って
長生きするのでしょう。

しかし言葉遊びだけではなく、
深い意味がありました。

何事を成すにも、それなりの年月がかかる。
物事を成し結果を出すためには、
それだけの労力を惜しんではならない。

本当にそうですよね。

何かを成し遂げる人は、毎日コツコツと
そこへ向かって歩み続けているのです。

私も何かを成し遂げる人でありたい。

そう思うのは簡単ですが、
これはなかなか出来そうでできないこと。
しかしこれを実行し、続けていかなければ
何も変わらないですよね。

ではさいごに、武者小路実篤の言葉を。
「桃栗三年柿八年 だるまは九年 俺は一生」

…染みる。

それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。

先人の言葉とユーモアを胸に、
日々をつとめて参りましょ~ヽ(´ー`)ノ

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