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梅を漬けたいなと思うとき。
多くの方はスーパーや通販などで梅を購入します。
そこで目にするのは、産地と品種。
各地域では、地元産の梅が何かしらあるでしょう。
地元で作っていなければ、近隣の梅が入荷されるでしょう。
梅の品種というのは、何処にでもあるというものではなく。
ある地域で限定的に生産されている品種というのも多いため、地元で手に入らないという場合も多いのです。
どうしても品種にこだわりたい場合は、通販で購入するのがいいでしょう。
それにしても梅の場合はあまりに品種が多いので、何を選べばいいのかよくわからないものです。
基本的にはどんな品種も、どう加工してもいいものなのですが、特にある加工に適している品種というものがあるようです。
ということで今回は、実梅の品種と用途について調べ、書いていくことにします。
ではひとつずついってみましょ~。
梅の品種で何が違う
梅は昔から各地で植栽されていた歴史もあり、その土地にあったものが自生していたり、あるいは品種改良などによって新しい品種が作られたりすることで、実梅だけで百種類はあると言われているのです。
梅の品種は沢山あっても、実際何がどう違うのか。
それはいろいろあるようですが、一般的には次のようなものです。
・梅の色(青いとき、熟したとき)
・実の大きさ、種の大きさ(果肉の厚み)
・果肉の質(硬さ・質感など)
・果汁の量(水分量)
・味の違い(成分の違い)
青梅の時期には少々わかりにくいが、色の差があるようです。
そして梅は熟すと黄色くなるものが多く、赤くなるものが少ない。
そのなかで赤色が差したり、全体に赤くなるのは特定の品種のみ。
また、杏系では果肉が橙色のものもある。
実の大きさや種の大きさの違いで、果肉の厚みなどが違う。
実の質は、品種によって硬いものや柔軟なもの、繊維質のものなどがある。
果汁の量が多いと、梅のエキスが豊富に使える利点がある。
味の違いは、酸味や熟したときの甘みなどの違い、渋味の有無などがあるようです。
こうした品種の質の違いによって、特定の加工に向いているとされる品種がある。
ただしスーパーなどの店頭で、梅干し用・梅酒用とするのは、単に熟しているか青梅かという違いで用途を表示していることもあるので、気になる場合はお店の人に確認してみるのもいいかもしれない。
品種が生まれるとき
梅の品種は、どうやって生まれているのか。
自然発生的に生まれたものもあれば、人の手を介して作られたものもある。
・偶発実生(ぐうはつみしょう)
・掛け合わせ(交雑あるいは交配)
・枝変わり(突然変異)
偶発実生というのは、人為的ではなく偶然に自然発生した実。
掛け合わせは、梅の花に別の花粉を合わせることで生み出すもの。
梅と別品種の梅の花粉や、杏やスモモなどを合わせた交雑品種などもある。
梅の場合、自家受精(自分の花粉で受精すること)ができない品種も多く、他家受精(別の木の花粉で受精すること)が殆どのため、自然に品種が混ざることもあるようです。
そして枝変わりとは、突然変異で別の特性を持つ枝が出たもの。
増やす方法としては、種からであったり挿し木や接ぎ木など。
品種に適した梅の加工
梅の実は品種ごとにそれぞれ特長がある。
その特長が生かされる加工を推奨されている品種もある。
たとえば「梅干し用優良品種」とか「梅酒に最適」だとか。
梅の加工というといろいろあるが、代表されるのは梅干しと梅酒。
それとカリカリ梅でしょうか。
あとはだいたい「梅漬け」とひとくくりにされることが多い。
そもそも梅で何を作るのか、品種であまり限定して考えなくてもいいとは思います。
品種にこだわらず好きなように加工すればいいのだけど、推奨されるもので作ってみるのもまた一興。
ということで、加工に対して推奨される品種をまとめました。
ついでに主な産地も加えておきます。
少々偏りがあるかもしれないですが、参考にどうぞ。
なお、梅の実の旬は、5月中旬~6月下旬頃が目安。
小梅は早く、青梅は中間、熟した梅は遅い時期と思っておきましょう。
ただし、品種により時期が早い~遅いものがあり、地域によっても前後するので注意しておきましょう。
カリカリ梅
カリカリ梅に使われるのは、小梅や小ぶりの梅が多い。
実が厚く硬めのものが適しており、収獲は未熟なうちが望ましいとされる。
・前沢小梅/ 宮城・大分
・甲州最小/ 熊本・島根ほか1府11県
・甲州小梅/ 山梨ほか11県
・竜峡(りゅうきょう)小梅/ 長野ほか14県
・吉村小梅(飯田小梅)/ 長野
・鶯宿(おうしゅく)/ 徳島・奈良・大分ほか1都1府16県
・紅養老(べにようろう)/ 群馬
などなど。
梅酒
梅酒に向くとされるのは、肉厚で種が小さいもの。
梅のエキス(果汁)が豊富に含まれており、実がしっかりとしていることなど。
新鮮な青梅で漬けるのがいいとされる。
梅酒もどんな品種でも作れるが、あえて梅酒にといわれるものを記載。
また、梅酒に向いている梅というのは、梅シロップ(ジュース)にも向いている。
・鶯宿(おうしゅく)/ 徳島・奈良・大分ほか1都1府16県
・剣先(けんさき)/ 福井
・古城(ごじろ)/ 和歌山ほか7県
・藤五郎(とうごろう)/ 新潟・秋田・宮城ほか5県
・梅郷(ばいごう)/ 群馬ほか1都5県
・白加賀(しろかが)/ 群馬・埼玉・宮城ほか1都1府32県
などなど。
他に変わり種としては、次の品種。
紅い(ピンク)色の梅酒ができあがる。
・パープルクイーン(小梅)/ 和歌山
・露茜(つゆあかね)/ 和歌山・大分・茨城・熊本
これらは記載している産地でしか栽培されていないが、通販もあるようです。
梅干し
梅干しに向いているとされるのは、果肉が厚く種が小さいもの。
そして皮が薄くて柔らかいなどが挙げられる。
梅干し向きといわれる梅は沢山ある。
そのなかでも、特にといわれるものを記載。
梅干しを柔らかく漬けるためには、熟した梅が推奨される。
・白王(小梅)/ 和歌山・高知
・信濃小梅/ 大分・徳島・長野
・新平太夫(しんへいだゆう)/ 福井
・越の梅/ 新潟・宮城・秋田
・改良内田/ 和歌山・静岡・鹿児島・愛知ほか3県
・紅映(べにさし)/ 福井ほか3県
・十郎(じゅうろう)/ 神奈川・埼玉
・節田(せつだ)/ 山形・青森
・谷沢梅(やさわうめ)/ 山形
・南高(なんこう)/ 和歌山ほか1都2府33県
以上、いくつか挙げてみました。
実際はもっと多くの種類があり、それぞれの加工に適したものもあるでしょう。
そしてそれぞれ好みというものもあるので、これらに限らずお好みで試してみるといいでしょう。
品種の差
梅の品種によって、どのくらい違いがあるのか。
というと、やはり多くの差があるものです。
同じように梅干しを作ってみても、品種が違えば結果は違うものになります。
たとえば梅干し。
〔向いている梅〕
・皮も果肉も柔らかく、肉厚でしっとり仕上がる。
〔向いていないであろう梅〕
・皮は厚く硬く、種が大きく実は少ない。
ちょっとあまりに極端な例ですけどね。
やはりどちらかというと、果肉は厚めがいいし柔らかいほうがいい。
実際食べてみて、種でかいな!と思ってしまうものもありますしね。
しかしまぁ、滅多にそんな極端なことにはならないので、品種を選ばなくてもたいがい、いい感じの梅干しは出来上がりますよ。
あとは、渋味の有無などもあります。
渋味が強めの梅で作る場合と、そうでない梅で作る場合。
通常は3ヶ月漬ければおいしく食べられるような加工でも、渋めの梅で作ると渋味が強いために、倍の期間漬けておかなければ食べられなかったというものもありました。
しかしこれも面白いもの。
梅のいいところは、時間が経てばそれなりに味が丸くなり、食べやすくなるというところ。
味見をして、渋いと思ったら寝かせておけばいいのですよ。
これも極端な話なんですけどね。
この渋めの梅は、人の手があまり入っていない梅をいただいたものだったので、通常は市場には出回らないもの。
市販の梅ならば、極端なものはあまりないと思うので、こだわりが強くないならば、品種を選ぼうとしなくてもいい気もします。
特定の品種を選ぶかどうかは好きずき。
梅の品種にこだわって漬けるもよし、あまり気にせず漬けるもよし。
品種によって味わいもそれぞれ違ってくるので、いろいろと試してみましょう。
後記
さて今回は、梅の品種と、適している加工について調べて書いてみました。
私のおすすめはやはり、地元で流通しているもの。
なぜ地元のものがいいのかといえば、やはり鮮度の問題。
梅酒や梅シロップなど、新鮮な青梅で漬けるものはやはり早いうちがいい。
遠方の梅は運送に時間がかかってしまうので、地元の梅があればそれに越したことはないでしょう。
地元の梅で目的の品種があれば一番いいですね。
うちの地元の場合、特に品種の記載なく売られているものが多いので、あまり品種を気にしていないのです。
品種の特定ができない雑種なのかなぁ~なんて思いながら漬けていて、こんな感じでも梅干しは普通に柔らかく仕上がります。
それでも南高梅は入荷されるので、お手頃価格のときには南高梅で梅干しを作ることもあります。
しかし肉厚の南高梅は、青いうちに梅酒にする方が好きですね。
好みはいろいろ。
基本的には、好きなものを好きな加工方法で楽しんでいきましょう。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
あなたの好みの品種が見つかるといいですねヽ(´ー`)ノ