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「梅の実」というと、
どんなものを想像するでしょうか。
- 傷ひとつない、きれいな梅
それとも…
- 斑点やそばかすが付いた梅
今想像した「梅の実」は、
あなたが普段から目にしているもの。
スーパーなどに出回る梅を見慣れていると、
前者の、傷のひとつもない
きれいな梅の実を想像してしまいます。
それに対して後者の梅は?
斑点やそばかすが付いた梅はどうでしょう。
スーパーでも少々の斑点が付いた梅を
見かけることはありますが、
あまりに斑点やそばかすだらけの梅は
そんなに見ないように思います。
それは規格外として
ほぼ店頭には並ばないから。
しかしじつは、
梅の実には斑点が付きものなのです。
自然に斑点のない梅というのもあるけれど、
なかなかそうもいかないようですね。
今回は、そんな梅の実の斑点について
調べてみましたよ。
梅の実の斑点
梅の実の表面につく斑点。
これには主に2種類があります。
- 黒星病
- かいよう病
これらはともに梅の病気といわれるもの。
病気というと聞こえはよくないけれど、
表面に出て、見た目がよくないというだけ。
安全性などに問題があるわけでもなく、
特に気にしなくていいもののようです。
では梅の斑点とは
具体的にどのようなものなのか。
詳しく見ていきましょう。
斑点の正体
梅の斑点の正体は、カビや細菌。
- 黒星病:糸状菌(カビ)
- かいよう病:細菌
カビも細菌も、一般的には
あまりイメージはよくないですよね。
カビと細菌、似ているようでいて違う生物。
カビは多細胞生物で
細菌は単細胞生物。
どちらも梅に感染すると
斑点を発生させます。
しかしこの斑点。
人間が食べても問題はないのです。
斑点の原因
ではなぜ斑点ができるのでしょうか。
原因と症状について書いておきます。
◇ 黒星病
原因:糸状菌(カビ)
症状:黒い斑点
表面に小さな円形の黒(ススのような)色の
斑点を生じる。
発生の要因:
日当たり・風通しが悪い、多湿
病原菌は、感染した枝の内部で越冬する。
雨水により胞子が飛散し、果実に感染する。
品種:
豊後・紅サシ・南高など、
発病しやすい品種がある。
◇ かいよう病
原因:細菌
症状:赤紫色と黒く水浸し状に凹んだ病斑
発生の要因:
湿地、多肥栽培
病斑は越冬する。
強風と雨が多いと実に感染、病斑が生じる。
斑点の予防と対策
梅の斑点を予防するには
いくつか方法があるようです。
- 感染源を取り除く
梅の斑点の原因であるカビや細菌は、
一度感染すれば枝の中で越冬をし、
暖かくなる頃に出てきて雨水などから
感染を広めます。
そのため、冬に感染した枝の剪定をし、
伝染源を除去することが重要。
- 環境を整える
カビや細菌は湿度が高い場所を好むため、
日光や風が通りやすいように整備をする
のも大切。
また、かいよう病には
防風対策が有効ということです。
- 薬剤
農薬などですね。
黒星病には相応の薬剤があるようですが、
かいよう病には有効薬剤が少ない。
薬剤使用の是非は、
梅農家さんによってさまざま。
できるだけ使わないように
されているところもあります。
消費者があまりに斑点を嫌うために、
薬品を使わざるを得ないという面がある
ということを忘れてはいけないでしょう。
斑点の梅は食べられる
何度もしつこいようですが、
梅に少々の斑点があっても大丈夫です。
普通に使えるし、
食べても全く問題はないのです。
単に見た目が…!
というだけなのです。
ただ、かいよう病のひどいものは、
病変部分が硬いという面はあるので、
あまりにひどいものは外しましょう。
斑点があっても梅干し作り
よく梅干し作りの指南書などに
書かれている文言があります。
「傷など傷んだ梅は
カビの原因になるので取り除く」
→ 斑点は傷ではないですよ。
「傷や斑点のあるものは
カビの原因になるので除く」
→ これは誰しもが、梅干しをうまく
漬けられるようにとの配慮から
慎重に書いてあるのでしょう。
失敗要因をなるべく取り除いておくことで
成功してほしいのです。
少々強引な解釈でしょうか(笑)
実際は斑点のある梅を漬けたからといって、
必ずしもカビが出るというものではない
のです。
あくまでも原因のひとつに成り得るかも
しれないということでしょう。
減塩せず通常の塩の量で漬けたり、
密閉して空気を通さないような漬け方で
あれば、それほど心配はいらないかと
思います。
心配なら、あまりに斑点のひどい梅は外す、
というくらいでいいのではないでしょうか。
個人的には斑点の梅を取り除くよりも、
梅を洗ったらよく水を切ることや
容器の消毒を怠らないことなど、
基本的な部分を丁寧にするほうが
失敗が少ないのかなと思います。
斑点があっても加工はできる
梅に斑点があるからといって、
コレには使えてアレには使えない、
ということはないでしょう。
もちろん見た目を重視したい場合には
別ですけどね。
梅酒でも梅シロップでも、
その他の漬物にでも
なんでも普通に使っていいのです。
梅に斑点ができるのは
むしろ自然なことなのですから。
カビも細菌もそのへんに沢山います。
カビも細菌も悪いものばかりではなく
人にとって有害なものもあれば、
無害なものや有益なものもいる。
梅の斑点を作るカビや細菌は、
人にとっては無害なものです。
いろいろ調べてはみたけれど、
人に有害だとする説は見当たらなかった。
もちろん梅の木にとっては、
カビや細菌の繁殖が活発になりすぎると、
梅の木自身の生命活動が阻害されるために
有害だ、ということになるのですけどね。
同じものでも、相手が違えば結果は違う
ということですね。
梅の斑点は見慣れてしまうと
どうってこともないものです。
気にせず使ってみてください。
ただ、斑点が生理的に無理だと感じるなら
無理はしないで。
自分の許容範囲で判断していきましょう。
斑点梅の使い方
斑点がどうしても嫌だという場合には、
皮をむいて使うという方法もあります。
◇ 黒星病の場合
黒星病の場合は、斑点は表面の皮だけ。
皮をむいてしまえばきれいなものです。
◇ かいよう病の場合
かいよう病の場合は、斑点が硬い。
皮だけはなく、斑点部分の実の表面が
硬いのです。
食べても影響はないのですけど
食感には少々影響があります。
そのため、この場合も
斑点部分を包丁で取って加工します。
◇ 皮をむいた斑点梅の利用
皮をむいた梅は、炊いたりジャムなどに
加工するといいでしょう。
皮を一部分むくだけなら、
梅干しだって作れます。
しかし皮を一部むいての梅干し作りは
少し慣れてからがいいかな。
初めて梅干しに挑戦する場合だと、
梅酢が濁ったときに、傷んでいるのか
果肉が流れただけなのかが判断できない。
それなら皮をむいた梅はジャムにするとか、
青梅なら梅肉エキスを作るなど、
皮をむいてもとくに支障のない加工をすると
いいかなと思いますよ。
市販の加工梅に斑点が
ここまで読んでくださった方は、
もうおわかりですよね。
市販の梅干しや干し梅、あとは…
まぁ梅の加工品はいろいろあるでしょう。
とにかく、市販の梅製品だって
梅であるからには斑点があっても当たり前。
そしてもちろん食べて問題のないものです。
私が梅干しなどの梅製品を
購入していたのはずっと以前。
市販の梅干しなどは
斑点がないイメージがありました。
しかし近年はけっこうあるようなのですね。
昔と比べ近年では、
農薬など薬剤の使用について
様々な面で変わってきたのかと思います。
そして生産者側と消費者側の意識も
近くなり、変わってきている。
インターネットが普及していろいろな情報を
直接発信したり、それを直接受け取ることが
できるようになったお陰なのでしょうか。
お互いが見えることで、今後もいい方向に
向かっていくといいなぁと思います。
後記
さて今回は、梅の斑点について
書いてみました。
以前にも書いたかも知れないですが…
私は以前、毎年スーパーで梅を購入して
いたので、傷も斑点もない、きれいな梅が
当たり前だと思っていました。
そしてある年、知人から梅をいただいた
ときに驚いたのです。
それはもう、
すごい斑点とシミだらけの梅…。
当時は斑点のある梅を見慣れていなかった。
そのため何も知らずに斑点を削いで使ったり
ある程度の量を無駄にしてしまった。
とてもひどいことをしたと、
いまだに引っかかっている痛い思い出です。
ほんとに知らないこととはいえ…というか、
知らなくて申し訳なかったなと。
自分の常識は非常識。
自分が見知っていることだけがすべてだと
思ってしまってはいけないなと。
今でも反省しています。
話が逸れましたが…
梅の斑点は大丈夫だよと。
今回はそれだけの話しでした(笑)
斑点のある梅ちゃん。
皮をむいて使うこともできるので、
梅ちゃんをうまく使ってあげてくださいな。
では今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。
梅の斑点も、
見慣れるとかわいいもんよぉ~ヽ(´ー`)ノ
…ひどくなければねっ(^^;