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梅で何かを作ろうとするとき、
梅の傷が気になることがありますよね。
傷にはいろいろな状態のものが
あるのですが、その原因はさまざま。
どんな傷ならよくて、
どんな傷はよくないのか。
はじめて梅を使う場合には、
なかなかこの判断がつけられずに
困ってしまうこともあるでしょう。
そのため少しでも、梅の状態から見る
傷の正体と原因を知っておくといいのです。
その梅の傷がどういうものなのか。
わかっていると、
傷ついた梅を利用するときにも
不安や心配をせずに安心して梅を漬ける
ことができる。
その傷梅が使えるかどうかの判断が
つきやすくなるし、なにより
むやみに梅を廃棄してしまうような無駄も
減らすことができるのです。
梅の傷の種類はいろいろ
梅の傷にはいろいろな種類があります。
- 外からの傷
- 自然現象による傷
- 環境による傷
- 生理的な傷
- 病気による傷
- 虫による傷
それぞれの傷には特徴があります。
見た目の状態で、どんな傷なのか
わかるものが多くあります。
一見して傷が多いなと感じる梅。
これはよくない傷じゃないかと思える梅。
そんな傷梅でも、
まったく気にする必要のない梅、
加工して食べるのにまったく支障のない梅
というのがよくあるものです。
それなのに見た目がよくないからといって
処分されてしまうこともままあるのですが
しかしそれはとても勿体ないこと。
是非、梅の傷を観察して
梅の傷について知っていきましょう。
外からの傷
梅の実は木に成ります。
当たり前だし知ってるよ~!
と突っ込まれそうですが…^^;
花が咲き、受粉して実が付いて成熟し、
そうして収穫される梅の実。
その間、およそ約120日前後といいます。
この間、梅の実は野外で風雨にさらされ、
葉や枝が擦れたり当たったりするなかで
日々育っていく。
自然現象なので仕方がないとはいえ、
多少の擦り傷や切り傷はあたりまえ。
中には深い傷を負い、修復するために
硬いカサブタが出来ているものもありますが
それは梅の実が生きて育ってきた証。
そのなかで無傷でいられる梅の実は
とても強運なのかも知れないですね。
【傷の状態】
- 切り傷
- 擦り傷
- かさぶた
- 割れ
- 打ち身
などなど。
梅の傷は樹上にあるときに
受けたものばかりではなく、
梅が収穫された後の傷も当然あります。
運搬中などに擦れたり落ちたり、
圧迫されたりして出来たような傷や割れ。
浅い傷、深い傷、新しい傷、古い傷など。
【対処】
[よい傷の場合]
- 傷口がふさがっている
- カサブタができている
- 比較的新しい傷
→そのまま使える。
少々の傷やカサブタは気にしなくていいし、
大きなカサブタのある梅を
そのまま漬けたとしても、
表面に少し硬い部分が残るというくらいで
ほかに問題はないです。
ただ気をつけることがあるとすれば、
梅が収穫された後の傷。
木からもがれた後は、
傷口の修復がされないため
そこから傷んでしまいます。
傷口が新しく、変色も浅ければ
早めに使ってしまいましょう。
できたばかりのような新しい傷であれば、
そのまま使ってもいいし
傷口を取り除いて漬け込んでもいい。
ただ、漬込みに使うときには
柔らかくなっている梅は注意。
溶け出した果肉によって漬け汁が濁ると、
傷んだときの濁りと見分けがつきにくい。
[よくない場合]
- 傷口が色濃く変色している
- ブヨブヨしている
- 古い傷
→傷んでいるかもしれないので外す。
古い傷というのはたいてい変色しています。
色濃く変色している梅、
ブヨブヨしている梅は傷んでいる可能性が
あるので、使用せずに省きます。
一部分だけが濃く変色しているような梅は、
古い打ち身などの場合がある。
これはその一部分を取り除けば使えます。
生理的な傷
梅の生理的な傷とは。
梅の実の成長過程に起きる出来事や、
環境などによって傷が出ることがあります。
ヤニ果
【名称】
ヤニふき果
ヤニ果、あるいは樹脂障害果
などとも呼ばれるもの。
養分のホウ素が足りなくて起きる
梅の生理障害。
【状態】
梅の表面にヤニが付く。
もしくは梅の果肉にヤニが溜まり
空洞になる。
ヤニは透明のゼリー状のもの。
ベトベトして乾くと褐色になり、
ひどいものは梅の形も損ないます。
品種によって出やすいもの、
出にくいものがある。
【対処】
人が加工して食べるには害のないもの。
しかしひどいものは省いたほうが
よいでしょう。
食味が悪いことなどから、
梅干し作りには向かないとされています。
子供の頃、梅酒に漬かったヤニ果と思われる
梅を食したことがあるのですが、
ヤニの部分の食感はコリコリでした。
見た目や食味に少々違和感があるけれど、
とくべつ変な味や香りなどがするものでも
ないのです。
日焼け
【名称】
日焼け障害
【状態】
実が茶色く変色し、陥没するもの。
見た目が傷んだ感じに見えるため、
わかりやすいと思われる。
【対処】
このような状態の梅は、
使用することなく省きましょう。
単なる日焼けのように思いますが、
木や土壌に問題がある場合に
発生しやすいもののようです。
病気による傷
梅の病気は人には害を成さないものが多い。
これは梅の木周辺の環境によっても
出やすいとか出にくいとかがあるようです。
黒い斑点
【名称】
黒星病
【状態】
実の皮に円状の灰色の点が
いくつも現れるもの。
ひどいものは実の表面に亀裂を生じる。
【対処】
人に害はないので
そのまま使ってもかまわない。
気になるなら、皮だけの問題なので
斑点部分を削いで使います。
赤紫色の斑点
【名称】
潰瘍(かいよう)病
【状態】
黒いような赤っぽいような色の斑点。
皮だけでなく、斑点のある部分が硬い。
【対処】
状態の軽いものなら
気にせず使ってかまわない。
しかし斑点部分は硬く食感はよくないので
ひどいものは外したほうがいいでしょう。
軽度でも気になるのなら、
病斑部分を削いで使います。
表面が白っぽいもの
【名称】
うどんこ病
【状態】
皮表面に円形状に粉が吹いたように
白くなっているもの。
ひどいものは色が茶色くなり、ひび割れる。
【対処】
見た目でわかるものは外します。
まだらに灰色がかったもの
【名称】
スス病
【状態】
ススが付いたように
表面がまだらに灰色になったもの。
梅の内部や質には全く問題がない。
【対処】
ただ外見だけの問題で人に無害。
皮の色がよくないというだけなので
そのまま何に使っても大丈夫。
害虫による傷
梅も果実なので、虫がつくこともあります。
しこり
カメムシが梅に針を刺して果汁を吸う。
こやつは野菜でもなんでも吸い付きます。
【状態】
梅の実の表面に刺したような傷がある。
果肉に硬くしこりが残る。
【対処】
梅を漬けて食すのに支障はない。
果肉にしこりがあるので
その部分に硬さが残る。
このしこりは、
梅干しを作るとよくわかります。
虫が入る
虫の名称は、アカマダラケシキスイ、
あるいはウスモンアカヒラタケシキスイ
という。
【状態】
梅の実に穴があいていれば虫を疑う。
しかしヘタ部分から侵入していると
わからないことも。
梅が完熟して地上に落ちたとき、
地面から出てきて梅に幼虫が入る。
もしくは、梅に傷があるところへ
成虫が入ることもある。
【対処】
虫抜きのため、水に30分ほど浸けておく。
そのうち実の中から虫が出て、
水面に上がってくる。
熟した梅はあまり長く水に漬けないこと。
梅を洗うときに水に浸けながら洗うだけ
でもよい。
後記~梅の傷はあたりまえ
今回は、梅の実にできる傷の状態と対処
について書いてみました。
梅の実は自然に放置されたものだと
けっこう傷だらけのものは多いです。
これは梅の木の状態や収穫の時期、
環境によっても違ってくるようなので、
なかには手入れせずともきれいな梅
というのもあるようです。
市販されている梅は、
農家さんの日頃の手入れであったり
薬による防除などがしてあったりするので、
傷のないものはほんとに傷一つない
きれいな梅が多いですよね。
きれいな梅を見慣れていると、
あまりに傷だらけの梅を見たときには
びっくりして拒否反応が出てしまいます。
実際私がそうでした。
きれいな梅が当然ではないのにね。
スーパーのきれいな梅を見慣れていた私は、
人から頂いた梅が傷だらけで驚いたのです。
そして当時、随分そんな梅を無駄にして
しまったことがありました。
もったいないことをしたものです。
今ではずいぶん見慣れてきたし、
調べて傷の区別もできるようになりましたが
人は未知のものがこわいもの。
知らないからこそ、こわいんですよね。
なので知ることって大事だなと。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。
あなたのところに来た梅ちゃん。
傷をしっかり見極めて、
余すことなく使い切りましょ~ヽ(´ー`)ノ