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梅干しを作りたい!
梅シロップを作りたい!
梅を使って作れるものはいろいろあります。
梅の加工に使う容器は大きく分けて2つ。
- 梅を漬けるときに使う容器
- できあがり後に移す保存容器
とくに梅を漬けるときに使う容器には
いろいろな種類があります。
昔ながらの樽(たる)や甕(かめ)、
琺瑯(ほうろう)製の容器など。
そして近年多く使われているのは、
中身が見えやすい瓶(ビン)や
お手軽なビニール袋、
軽くて扱いやすいプラスチック容器など。
調べれば調べるほどに目移りしてしまい、
どれがいいのか迷い尽くして決まらない…
そうこうしているうちに
梅の季節が終わっちゃいます。
そうならないために今回は、
梅を漬けるときに使う容器について
容器の種類ごとに、特徴やサイズ感、
選び方などを5つの項目に分けて
書いていくことにします。
梅干しなどを漬ける容器の選び方
さて本題に行く前に。
容器を選ぶにあたって迷わないために、
前もって自身の目的を決めておくといいでしょう。
梅を漬ける目的
- 梅を使って何を作りたいのか
- どのくらいの量を作りたいのか
たとえば、
梅干しを作りたい。
試しに少しでいいかな~。
あるいは、
初めてだけどちょっと多めに…とかね。
また、新たにモノを増やすのですから、
場所についても考えます。
- 梅を漬けるときの置き場所
- 使っていないときの収納場所の有無
- 他の用途での使いみちはあるのか
梅干しなどを漬ける容器は、
どのくらいの量を漬けたいかにもよって
大きさは変わるけれど、案外場所を取る
ものです。
勢いで買っちゃった~、みたいなことを
してしまうと後悔することになるので、
事前に先ほどの条件を頭に置きつつ
容器の特徴を見ていきましょう。
瓶(ビン)容器の特徴
瓶は酸や塩分に強いので、
梅の酸でも梅干しの塩分でも大丈夫。
梅干し以外にも、梅酒や梅シロップなど
液状の加工ものにも使いやすい。
気密性があり、雑菌が侵入しにくいため
長期間の保存にも向いている。
透明で中の様子を確認しやすい。
反面、外からの光の影響を受けやすい。
少量漬けるにはちょうどよく、
一般的によく使われています。
(1) 瓶容器のサイズ感
有名メーカーの果実酒用の瓶の場合、
サイズは1L~8Lくらい。(メーカーによる)
梅干しの場合、梅の量で500g~4kg程度は
漬けられる。(梅のサイズにもよります)
梅酒を漬ける場合には、
梅に酒の量が入るため、梅干しの場合の
半分量として考えます。
(2) 瓶容器の作業と管理
瓶はガラス製で透明なので、
蓋を開けずに中の様子が見えるので安心。
そのため蓋を開ける必要がないので、
確認の度に外気に触れさせずにすむ。
樽や甕と比較すると口は狭いが、
液体の量を多く含む加工の場合には
蓋が閉められるので扱いやすい。
近年では広口の製品も出ているので、
なるべく広いのものを選んでおくと
材料の出し入れや重石が必要なときにも
対応しやすい。
比較的少量向きなので、持ち運びしやすい。
(3) 瓶容器の選び方
広口のものが使いやすい。
密閉できる蓋が付いているとなおよい。
手頃なサイズは4L~5L瓶あたり。
(梅干しなら2~2.5Kgくらいが漬けられる)
大きいサイズの瓶になると、
中身を入れた場合にかなり重く感じる。
近くのホームセンターなどに置いてあれば、
実際に持ってみるといいでしょう。
ちなみに私の場合、8L瓶は重くてむり…。
瓶容器は食品用であること。
(ガラスの透明度を上げるために
鉛を含ませるものがあるため)
日本では食品衛生法にて、食品に使うガラス
容器は、鉛の溶出制限が定められている。
(4) 瓶容器の収納
瓶容器は梅干しの場合でも、
500g~4kgの少量を漬ける場合に向いている。
さらに多くの量を漬ける場合には
瓶の個数を増やすしかない。
使っておらず中身が空の場合でも、
瓶の大きさと個数分の収納場所を確保する
必要がある。
(5) 瓶容器の取扱い
透明なので外からの光の影響を受けやすい。
光が当たるなど置き場所によっては
布を掛けるなどして光を遮るとよい。
ガラスなので極端な温度差や衝撃に弱い。
琺瑯(ほうろう)容器の特徴
下地は金属で、表面にガラス質の釉薬を
焼き付けてコーティング加工されたもの。
表面はガラス質で酸や塩分に強いため、
梅を漬けるのにも向いているとされる。
雑菌が繁殖しにくく、におい移りもしない
ため保存にも適している。
下地が金属なので熱にも強く、
直火使用も可能。
耐久性に優れている。
下地が金属で表面はガラス質のため、
それなりの重量がある。
(1) 琺瑯容器のサイズ感
サイズの種類は豊富なので、
少量から大容量まで対応できる。
有名メーカーの琺瑯容器の場合、
サイズは1L~60Lくらい。(メーカーによる)
梅干しの場合、梅の量は500g~30kg程度は
漬けられそう。(計算上の目安)
(2) 琺瑯容器の作業と管理
梅干しをはじめ、深い容器なら
梅シロップや梅味噌作りなどにも使える。
梅シロップなどを最終的に火にかける場合、
容器を移さずそのまま使えるのは便利。
広口なので材料の出し入れがしやすく、
重石も乗せやすい。
大きいものは重さがあるうえ、
さらに梅を入れたときの重さを踏まえると
所定の場所に置いたまま漬けるほうがいい。
(3) 琺瑯容器の選び方
浅いものより高さがある深いものを選ぶ。
取っ手が付いているものを選ぶと扱いやすい。
琺瑯容器の性質上、重量があるので
重さと梅が入ることを想定してして
大きさを選ぶとよい。
食品用であること。
日本では食品衛生法にて、
食品に使う琺瑯容器は、カドミウム、鉛の
溶出制限が定められている。
(4) 琺瑯容器の収納
空の場合、琺瑯容器の大きさが違えば
重ねて収納できるものもある。
重ねる際には傷がつかないように
布を挟むなどして注意する。
同じサイズの場合は重ねられないので、
個数分の場所を確保する必要がある。
(5) 琺瑯容器の取扱い
表面がガラス質なので、
極端な温度変化や衝撃に弱い。
ガラスコーティングに傷がつきやすいので、
取扱いには充分気をつける必要がある。
ガラスコーティングに傷が入ったり欠けたり
すると、そこから錆びやすい。
甕(かめ)の特徴
陶器なので厚みがあり、
暑さや寒さなどの外気の影響を受けにくく
温度を一定に保つ性質がある。
また、傷もつきにくく耐水性に優れている。
梅の酸や塩分にも強く、外からの光を遮断し
保存熟成させることにも向いている。
昔から梅干しづくりに甕が使われており、
保存食の貯蔵に用いられている。
(1) 甕のサイズ感
有名メーカーの甕の場合サイズは1.8L~18L。
(メーカーによってサイズは違う)
梅干しの場合、梅の量は1kg~10kg程度が
漬けられる(だいたいの目安です)
(2) 甕の作業と管理
甕の容器は陶器なので重い。
所定の場所に置いたまま漬けるのに向く。
広口なので材料の出し入れがしやすく、
重石を乗せやすい。
形は丸いものと寸胴型があり、
丸いものは中で対流しやすい。
また、寸胴型は重石を乗せる場合に
安定感がある。
(3) 甕の選び方
「塩こし」が起きない製品を選ぶこと。
塩こしとは、梅干しなどを漬けた際に
塩分や水分が外へ染み出てしまい、
白くヒビが浮き出るもの。
これは焼き上がりに不備があり、
釉薬にヒビが入ってしまう
「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる現象。
ひどい場合には甕自体にまでヒビが入り
割れてしまうことも。
食品用の甕であること。
日本では食品衛生法にて、食品に使う甕は
カドミウム、鉛の溶出制限が定められている。
また、重いので持ち運びに支障ない程度の
大きさ・重さのものを選ぶこと。
(4) 甕の収納
空の場合、甕のサイズが大きく違うものなら
重ねて収納は可能。
ほぼ同サイズなら、大きさと個数分が
収納できる場所が必要。
(5) 甕の取扱い
厚みがあり傷はつきにくいものの、
陶器なので割れることもある。
陶器であり重いため、大きいサイズのものは
その場に置いて漬けるのに向いています。
漬物用プラスチック樽の特徴
プラスチック樽の素材はポリエチレン製。
色付きのものが多く中身は見えない。
ポリエチレン製なので軽くて扱いやすい。
漬物用の樽で梅干しを漬けるのは、
個人から業者まで幅広く使われている。
サイズが豊富にあり、少量からでも
大量に漬けたい場合でも対応できる。
(1) 漬物用プラスチック樽のサイズ感
有名メーカーの漬物樽の場合、
サイズは5L~100L (メーカーによる)
梅干しの場合、梅の量は2kg~60kgくらいでも
漬けられる(※だいたいの目安。
あまりに多いと下の梅が潰れます…)
大きすぎるサイズは置き場所も困るし、
プラ容器は軽いとはいえ梅の量も多いと
当たり前ですがそれなりに重くなる。
サイズ選びの目安としては、
自分であるていど抱えられる程度の
大きさを選ぶといいでしょう。
(2) 漬物用プラスチック樽の作業と管理
広口なので、材料の出し入れや
重石を乗せるなどの作業がしやすい。
樽の中に漬物用ビニール袋を入れて
密封して使うことが多い。
ビニール袋で密閉しておくと、
雑菌が入りにくく匂いもあるていど防げる。
(梅の加工については嫌な匂いではなく
いい香りがします)
初心者でも扱いやすいので管理がしやすい。
大容量の大きいサイズの樽で漬ける場合、
置き場所の確保が必要。
(3) 漬物用プラスチック樽の選び方
漬物用プラスチック樽は、
基本的に漬物を漬けるための容器。
酸の強い梅干しは大丈夫かな~と思いますが
基本的な使い方であれば全く問題ないようです。
心配ならば、梅漬け・梅干しにも使えると
記載してあるものを選ぶといいでしょう。
なお、他のプラスチック容器を使う場合には
必ず食品用として作られたものを使うこと。
食品用でないプラスチック容器の場合、
食品を入れることで何かしらの科学反応が
起きることもあるかもしれないので、
使わないように注意しましょう。
また、樽の中にビニール袋を入れて使う
場合も、食品用と明記してあるものを
使いましょう。
漬物用のビニール袋のなかには、梅干しにも
使えると記載してあるものもあります。
(4) 漬物用プラスチック樽の収納
空なら重ねて収納できる形状の製品が多く、
複数個所持していても他の容器ほど嵩張る
ことはない。
そして何より軽くて扱いやすい。
(5) 漬物用プラスチック樽の取扱い
プラスチックの寿命については、
瓶や甕よりは経年により劣化しやすい。
ただし製品にもよるので、
日本製の漬物用樽であれば、極端な環境に
置かない限りは長く使える。
また、プラスチック製品は意外にも
水による劣化が起こるということ。
長期間使うとやはり劣化はするため、内側に
ポリ袋を入れて使うことで長持ちする。
(もちろんポリ袋は一度切りの使用に限る)
漬物用ビニール袋の特徴
漬物用ビニール袋はポリエチレン製で透明。
袋なのでとても軽く、安価です。
通常の形状の決まった容器と比べると、
保管場所を気にする必要がない。
梅を漬けておくときには、適当な箱に
このビニール袋を収めて漬ければいい。
(漬物容器の存在意義が…^^;)
箱は樽でも鍋でも何でもよく、
少量ならダンボールなどでもいいので便利。
重石をする際も、ビニール袋で密閉した
上から乗せられるので、とても手軽です。
(1) 漬物用ビニール袋のサイズ感
有名メーカーの漬物用ビニール袋の場合、
サイズは5L~100L。(メーカーによる)
梅干しの場合、梅の量は約2kg~60kgくらい
でも漬けられる。(※だいたいの目安。
あまりに多いと下の梅が潰れるよ…)
(2) 漬物用ビニール袋の作業と管理
ビニール袋自体の重さを考えなくていいので
他の容器で漬けるよりだんぜん軽い。
透明なので外から様子を伺うこともできる。
ビニール袋のみだと形を安定させておくこと
が難しく管理しづらいが、箱などに入れて
使えば液体が多いものを作ることも可能。
多すぎない量を漬ける場合には、
ビニール袋の特性上、形が自由になる。
袋の外から梅に触れられるため、
材料の混ぜ合わせなども袋の中で
一度にできるので作業が簡単。
(3) 漬物用ビニール袋の選び方
「漬物用ビニール袋」という名目でも、
ものにより品質はさまざまなようです。
「梅干しなどでも変質しない」
と記載されているものもあれば、
「梅干し作りには使用しないで」
と書かれているものもあります。
漬物用ビニール袋と書いてある製品は
だいたい大丈夫かと思いますが、
よく表示を確認して選びましょう。
また、サイズの幅が広いので、
用途や容量に合わせて選ぶことができる。
(4) 漬物用ビニール袋の収納
ビニール袋なので、容量の大きな袋でも
畳んで収納できるため、置き場に困らない。
漬けるときの置き場所のみを考えればいい。
(5) 漬物用ビニール袋の取扱い
大容量になる場合、とくに形が不安定に
なるので、何かしら丈夫な箱に入れて使う
ほうがいい。
一番いいのはやはり、同容量の漬物用樽。
この組み合わせが楽でしょう。
箱に入れてしまうと存在を忘れそうになる
ので、しっかり覚えておきましょう^^;
食品用ジッパー付きビニール袋の特徴
食品用ジッパー付きビニール袋は
ポリエチレン製で透明。
袋なのでとても軽く、口をジッパーで閉じる
ことができるので使いやすい。
(1) ジッパー付きビニール袋のサイズ感
有名メーカーのジッパー付き袋の場合、
大・中・小のサイズがある。
梅干しの場合、大きい袋で梅の量が1kg程度
漬けられる。(だいたいの目安)
(2) ジッパー付きビニール袋の作業と管理
梅の出し入れがしやすく、
梅に塩をまぶすなどの作業がとても楽。
中の空気を簡単に抜くことができ、
袋の外から梅に触れることもできる。
少量を漬けるのに向きとても手軽に扱える。
梅の量を増やしすぎると液漏れが心配。
漬ける量を増やしたい場合には袋を増やす。
(3) ジッパー付きビニール袋の選び方
かならず、食品用の袋であること。
ある程度の厚みがあるもののほうが、
破れたり液漏れなどの心配が少なく安心。
(4) ジッパー付きビニール袋の収納
数枚が箱に入っている程度の大きさなので、
収納について心配する必要がほぼない。
(5) ジッパー付きビニール袋の取扱い
梅を漬けているときに、中の液体が
漏れ出ないように気をつけること。
ジッパーの間から液漏れする性質のある
有名メーカーのものもあったので、
時折確認しておくほうがいいでしょう。
梅干しに使ってはいけない容器
梅干しや梅の加工品を作る上で、
使っては行けない材質のものがあります。
他の記事でもしつこく書いていますが、
ここでもしつこく書いておきますよ~^^
金属製の容器は使わない
梅や梅の成分を含んだものを、
金属製の容器に入れることは避けましょう。
梅の成分には有機酸が含まれており、
梅干しを作る際には塩を多く使うからです。
金属は酸と塩分に弱いので、
金属が傷み腐食してしまいます。
食品用以外の容器は使わない
前述しましたが、食品用でない容器は
食品衛生法に基づく規制の対象外となり、
食品に関わるといけない有害物質などが
含まれる場合があるからです。
また、食品用であっても、
長期に保存する場合には注意が必要です。
食品に使う容器は、品質や注意事項などを
よく読んでから使用しましょう。
破損した容器は使わない
容器に傷が入ったものは、
割れたり劣化したりする可能性もあります。
中の食品に影響する場合もあるので、
使わないほうがよいでしょう。
できあがり後に移す保存容器
梅を漬け終わり、できあがった後に
別の容器に移し替えて保存する場合と、
そのまま同じ容器に入れっぱなしにする場合
とがあります。
容器を替えるかどうかは
扱う人の考え方によるのですけど、
替える理由としてはいくつかあります。
- できあがりの容量に合った容器に替える
- 使い勝手のよい別の容器に替える
- 保存性を高めるために替える
などです。
中身の容量が減ってくると、容器中の空気の
層が増えるので、食品のためには丁度よい
大きさの容器に替えるほうが好ましいでしょう。
また、保存容器として適しているのは、
密閉のできる瓶容器。
瓶は食品が変質しにくく、
また匂い移りなどの心配もないため、
長期保存のできる梅干しなどを何年でも
安心して保存しておくことができます。
ただし、透明な瓶は光の影響による劣化は
避けられないので、常時暗い場所に置き、
光が当たる場所なら布を被せたり
色付きの瓶を使うなどするといいでしょう。
梅に使う容器のまとめ
梅を漬けるときに使う容器を選ぶには、
- 何をどのくらい漬けたいか決める
- 目的に合うものを選ぶ
- 梅の酸や塩分に強い性質のものを選ぶ
- 食品用の容器を選ぶ
漬けた後の保存用に使う容器を選ぶなら、
【短期間の場合】
- 匂いや色移りしにくい食品用容器を選ぶ
【長期保存の場合】
- 酸や塩分に強いものを選ぶ
- 劣化しにくい容器を選ぶ
梅製品に使ってはいけない容器は
- 金属製の容器
なんだかんだいっても、梅の保存用に
安心できる容器は、食品用の瓶^^
ちなみに梅を漬けるのが初めてで、
梅干し以外にも梅でいろいろと作ってみたい
という場合なら、果実酒用の瓶容器を
一つ持っておくととても重宝します。
果実酒用の瓶容器があれば
梅酒や梅シロップなども作れるし、
梅以外でもフルーツのアルコール漬けや
砂糖漬けなど、いろいろと使い回せます。
また、ここで紹介した容器以外にも
たくさんの容器があります。
ある程度の大きさがあり、酸や塩分などに
強い容器であれば、梅を漬けることは可能
です。
容器メーカーが自社製品を用いて
梅を漬けることを推奨している製品もある
ので、使ってみるのもいいでしょう。
それでは、長くなりましたが
今回はこのへんで。
じっくり自身の目的と環境、置き場所などを
照らし合わせて、容器を選んでみましょう。
そして一緒に梅を漬ける楽しみに
はまっちゃいましょ~ヽ(´ー`)ノ