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梅干しは酸っぱいのか、塩っぱいのか。
どちらでもよさそうですが、
一般的な表現として書くときには
少々迷うようです。
私としては、
どちらもありかな~と思います。
なぜなら梅干しの味というものは、
作り方で変わるもの。
酸っぱい、塩っぱい。
どちらでも、いかようにもなるものなので、
好みで言い切ってしまっていいのではないでしょうか。
ということで今回は、梅干しの味の表現。
「梅干しは酸っぱいのか、塩っぱいのか」
ということを書いていきますよ。
それでは、いってみましょ~。
梅干しは酸っぱいか塩っぱいか
梅干しについて
「酸っぱい」と「塩っぱい」の
どちらの表現が正しいのか。
先程も書きましたが、
どちらも正解でしょう。
昔と今
梅干しの味は作り方によって変わります。
また、昔の梅干しと現代の梅干しでも
違います。
昔と今とで違うものと言えば、
塩の量と梅の質ではないでしょうか。
塩はもちろん、塩の量。
昔よりはかなり塩の量は減りましたが、
さらに減塩ブームから引き続いて
梅を漬けるための塩の量が減っています。
そして塩の質なんかでも違うです。
梅にしたって、昔と今とでは梅の質が違う。
品種も違えば、育て方も収穫なども
変わってきているのではないでしょうか。
しかしこのあたりのことを考えたとしても、
私のような素人にはわからないこと。
ならばわかりやすいところでは、
塩の量とか作り方が違うから味も違うよ~
というところでしょう。
酸味と塩味のバランス
梅干しがすっぱい原因は、
梅の成分であるクエン酸。
しょっぱい原因は、塩の量。
塩分が減れば、
塩味よりも酸味を感じやすくなるのです。
実際に、減塩で漬けた梅干しは
酸っぱく感じます。
これは好みにもよるので、
どのくらいの塩の量で塩辛いのか
どのくらい塩を減らせば酸っぱいのか
ということは言い切れないものの、
経験としてそう感じます。
個人的に思う塩分割合などの詳細ついては
後述します。
味覚を表現する言葉
梅干しの味について書く前に、
まず味の表現について書いておきます。
塩っぱいとか、酸っぱい。
これらの言葉を普通に使っていたのですが、
どうやら方言でもあるようです
すっぱい
「すっぱい」は「すい」とも言います。
酸っぱい。酸い。
・すっぱい…主に日本の東側
・すい…主に日本の西側
現代では昔ほど言葉に地域差はないでしょう
から、どちらもほぼ一般的で聞き慣れている
言葉かと思います。
私は「すっぱい」を使います。
ちなみにウチの祖母は、
「すいー」って言いますね。
ばあちゃんは酸っぱいものが嫌いなようで、
梅干し完成後に白砂糖を入れて漬けていた
記憶があります。
しょっぱい
「しょっぱい」は「しおからい」とも言う。
塩っぱい。塩辛い。
・しょっぱい…東日本
・しおからい…西日本
私は両方使います。
「しょっぱい」「しょっからい」とかね。
引っ越し経験もあるけど、ずっと西日本。
しかしテレビやネットの影響もあり、
今や日本全国の言葉が入り混じっていて、
ある程度は普通に耳に入って馴染みます。
だからときどき、自分で使っていても
どこの言葉かわからないものがある。
ただ、「しょっぱい」には他の意味も
あるようで…。
時代劇なんかで「しょっぱいねぇ…」とか
言ってるのを聞きますが、
味ではないんですよね、あれ。
ケチとかイヤだとか…つまらないとかの
意味があるようです。
やり取りや雰囲気でなんとなくわかるのです
けど、とつぜん目の前の人が言い出したら
わからないかも。
少々脱線しましたが、味の表現として
「酸っぱい」「塩っぱい」「塩辛い」という
言葉を使います~!ということでした^^
塩だけで作る梅干し
本来の梅干しは、多めの塩だけで漬けて
干したもの。
酸っぱくて塩っぱいのですが、
どちらかといえば、塩っぱいのかな。
どちらの味も引き立っているような
塩っぱくて酸っぱい味ですね。
しかしこれはどれもが同じようではなく、
梅の質や塩の質でも変わるし、塩の量や
経年数などでもその味わいは変化します。
塩分の量
梅干しのクエン酸量が同じだとすれば、
加える塩の量で味が変わるのは当然のこと。
昔の梅干しは塩分量が多い。
多すぎるものは塩辛いでしょう。
ウチで漬けた経験があるのは、
梅の重量に対して塩分8~20%のもの。
この範囲内で言えば
減塩の梅干しは明らかに酸っぱく、
塩分量の高い梅干しは酸っぱ塩っぱい。
しかしこれも塩の質で違いが出るので
同じ塩分量であっても味が尖っていたり、
逆にまろやかな味になったりするのです。
だいたいバランスのいいところはというと、
塩分10%よりは15%、15%よりは18%。
(かなり酸っぱい←→酸っぱい塩っぱい)
この塩分の範囲内だとやはり18%がいいかな。
個人的な感想ですけど。
ただし、梅干しの味というものは
時間の経過とともに変わるもの。
出来たばかりの梅干しと
時間を経た梅干しとでは、
雲泥の差が出ることもあるのです。
時間の経過
梅干しの味は、時間の経過によって変わる。
一般的に、梅干しは時間をおけば
味がまろやかになると言われています。
実際に梅干しを長期間寝かしてみると
まさにそうだと実感できます。
・出来たて 味強い
・1年後 ↓
・3年後 味丸くなる
出来たての梅干しは味に角があってきつい。
これが数ヶ月でも置くと、また違う。
1年を置けば、随分味が馴染んで丸くなり、
少々の酸味や塩味も柔らかくなります。
また、梅干し全体も柔らかくなる。
3年を置けば、更にですね。
年数を置いたりすることを熟成させると
いいますが、年数を置くというのは
保存性が高くなければできないこと。
つまり長く置くためには、
塩分量が多いことが大前提。
減塩梅干しは、あまり長く熟成させて
おくわけにもいかないもの。(傷むので)
ウチではほとんど常温で置くために、
減塩梅干しは1年以内に消費するように
しています。
減塩梅干しは1年置いてもやはり酸っぱい。
塩分10%前後の減塩梅干しは
たいがいそのような感じです。
対して、塩分18%の梅干しは
1年以上熟成させることができますが
できれば3年くらいは寝かせておきたいもの。
出来たては塩っぱくて酸っぱくても、
しばらく熟成させてから食べてみると
味が丸くなって食べやすくなっています。
同じ条件で漬けて同じ期間を熟成させても、
同じようにならないこともあるので、
梅の品種や大きさ、質によっても違いが出ます。
そのため一概には言えないところがあるの
ですが、熟成させることで味が変わるのは
確かです。
余談…干し梅の味
余談ですが…
最近おどろいたのは、干し梅。
塩分15%で漬けて干し、
できた梅干しをすぐさま種を抜いて
カラカラになるまで干し上げて
干し梅にしました。
出来たては塩っぱくて酸っぱくて
かなりキツかったのですが、
1年置いてから食べてみると
そのままでもなんだかおいしい。
塩が浮き出てジャリジャリするのですが、
キツさはなく、お茶請けにいいなぁと。
とても食べやすくなっていたのですよ。
そしてこの干し梅と同じ梅・塩分で作った
梅干しがあるのですが…比較してみると、
一年寝かせてみてもまだかなり酸っぱい。
これはやはり、含有している水分量
(梅の成分量)の違いですね…!
このように、ちょっとした違いで
塩っぱさや酸っぱさ、味わいなどは
変わるものなのです。
減塩梅干しの味の違い
減塩梅干しは作り方が幾つかあります。
・塩を減らして作る
・塩抜きして作る
・塩と別の調味料で作る
梅干しは作り方によって味は変わるし、
もちろん他の調味料が入れば
塩っぱいとか酸っぱい、とは違う味に
なってしまいますよね。
減塩梅干し…特に市販のものについては、
酸っぱいとか塩っぱいとかでない味のものが
多くあるようです。
塩を減らして作る味
はじめから塩の量を減らして作る場合。
個人的には、減塩梅干しを作る際には
この方法が一番いいかなと思います。
ただ欠点としては、保存性が少し心配。
これはまぁ減塩全般に言えることですけど。
しかしちゃんと加工すれば、1年は大丈夫。
味についてはさきほども書いたとおり、
塩の量にもよるけれど、減塩梅干しの味は
塩味よりも酸味が強く感じられるので、
どちらかといえば酸っぱい感じになります。
塩抜きして作る味
これはまず、通常の塩分量で梅干しを作り、
使うときに塩抜きをして減塩にする場合。
塩抜きは、水に浸して塩分を抜きます。
浸す時間で塩が抜ける程度が変わりますが、
塩とともに梅の成分まで抜けてしまいます。
つまりこの方法で作った減塩梅干しは、
全体に味が抜けてしまう。
そのため塩味も酸味も薄くなります。
味がぼやけてしまうんですよね。
酸っぱくも塩っぱくもなく…
水っぽいだけのぼやけた味。
そして梅干しに別の味を加える場合には、
この状態で別の味付けをほどこします。
これについては次で説明します。
塩と別の調味料で作る味
塩以外に他の調味料などで漬ける、
通常の梅干しとは別の味付けをする場合。
この場合は大きく分けて
二通りの作り方があります。
どちらも塩以外の調味料を使うので、
酸っぱい、塩っぱい以外の味が付けられる。
・ はじめから他の調味料で漬けて作る
・ 塩抜き梅干しを他の調味料で漬ける
市販の梅干しについては、
近年では前者の製法で作られているであろう
ものも見かるようになりましたが、
後者での製法もやはり多くあるようです。
市販ではどちらも名称としては
「梅干し」ではなく、
「調味梅干し」という部類になります。
はじめから他の調味料で漬けて作る味
少量の塩と他の調味料で漬けて作る。
あるいは、
塩以外の調味料だけで漬けて作る。
この場合は、梅の成分をそのままに
塩以外の調味料などを加えて作ります。
梅の本来の酸味に、塩味、甘味など好みで
調合して漬けるわけです。
なのでその材料次第の味になりますね。
塩抜き梅干しを他の調味料で漬ける味
さきほど減塩梅干しの項でも書きましたが
通常の塩分で作った梅干しから塩分を抜き、
味を薄めた梅干しを使います。
塩分(と梅の成分)の抜き具合によっては、
酸っぱいとか塩っぱいという味がすっかり
抜け出てしまいます。
このように塩抜きした梅干しに、
調合した調味料(調味液)を加えて
味を付けます。
どのような味になるのかは調合次第。
自家で漬けるのならば
いろいろな楽しみ方があるでしょう。
市販の調味梅干しの味
市販の「調味梅干し」の味はどうでしょう。
本来の梅の味が残る漬け方ならばともかく
塩抜きをして調味液に漬ける方法の場合、
単純に酸っぱいか塩っぱいか、という
本来の梅干しの味の範疇ではすでにない
ものが多いです。
市販の調味梅干しにおいては、
味付けに通常の調味料の味ではなく、
科学的に調合されたものが使われている
ことも多い。
塩抜きについてはすでに書いたとおり、
塩抜きをすると梅の成分も抜け出てしまう。
それを補うために、梅の風味や味を
再現するような物質を加えて
調整したりするわけです。
その梅干しを食べて
風味や酸味を感じたとしても、
それは本来の梅干しのものではなく
なんともいえない味がします。
ただ、近年では特殊な機械を使って
塩抜きができると聞いたことがあります。
従来どおり水につけて塩抜きをするのでない
場合には、その味付け方法も変わってくる
のでしょう。
市販の梅干しも年々変わって来ている
ようですが、
さて、どうなっていくのでしょうね。
後記
さて今回は、
「梅干しって酸っぱいの?塩っぱいの?」
ということで書いてみました。
結論としては、
梅干しは酸っぱかったり塩っぱかったり。
味付けによってはいろいろですよ~。
今は作り方もいろいろですからね。
梅干しの好みは人それぞれ。
なので、梅干しの味の表現としても
どのようでもいいのではないでしょうか。
塩っぱいのや酸っぱいのがだめな人は、
甘く味付けした梅干しがいいでしょう。
それもわかります。
塩っぱい酸っぱい梅干しは、
ご飯と共にでなくては食べにくいもの。
お茶請けとしてちょっとつまんで食べるには
塩っぱくて酸っぱすぎる。
そんな梅干しを番茶に入れて飲んで
食べたりもしますけどね。
甘酸っぱい梅干しや甘塩っぱい梅干しも
自家で作ることができるので、
ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。
梅干しの味覚は人それぞれ。
酸いも甘いも、塩っぱいのでも、
表現方法は自由でしょ~ヽ(´ー`)ノ