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梅シロップを作るときに気になるのは、砂糖のこと。
使う砂糖は何がいいの。
氷砂糖がいいっていうけど、なんでなの。
他の砂糖ではだめなのかな。
まずは砂糖の種類に悩む。
結構使う砂糖って多いんだよね…。
減らしちゃだめかな。
種類の次は砂糖の量に悩む。
砂糖が溶けない。
溜まって固まってる…
さらに砂糖が溶けずに悩んじゃう。
はじめて漬けるときには、いろいろ不安。
悩みは尽きないですよね。
今回はそんな、梅シロップの砂糖にまつわることについて書いていきます。
それではいってみましょ~。
梅シロップに使う砂糖の種類
梅シロップに使う砂糖には、定番があります。
それはもちろん、氷砂糖。
その他にもいろいろな種類の砂糖を使うレシピが出回っているのですが、そのなかで多いのは、上白糖などでしょうか。
他にはグラニュー糖や三温糖、てんさい糖など、それぞれに好きな砂糖を使っているといった感じですよね。
では定番の氷砂糖とその他の砂糖とでは、どうちがうのでしょうか。
氷砂糖
梅シロップに定番の砂糖といえば、氷砂糖。
氷砂糖が一般的にいいとされ、よく使われています。
その理由はなんでしょう。
氷砂糖は大きな結晶になっている砂糖。
ゴツゴツとしていて、梅と接触するのは一部分。
氷砂糖は、じわじわゆっくり溶ける性質がある。
このゆっくり速度が、梅などの果実からエキスを抽出するのに丁度よく、果実酒を漬けるときにもよく用いられているのです。
これは梅シロップでも同様で、ゆっくりと梅のエキスを抽出するために向いているといわれています。
どのみち、初めて梅シロップを作る場合には、まずは定番の材料と分量で漬けてみるのがいいですよ。
アレンジはその次から。
さらさらの砂糖
では、普通のさらさらとした粒の細かい砂糖ではどうなのでしょう。
さらさらの粒の細かい砂糖は、沢山の梅の隙間にも入り込み、梅全体を覆ってまとわりつきます。
すると砂糖の浸透圧で、梅の水分を一気に奪ってしまうのです。
一見、早くシロップが出来上がるように思えますが、梅の成分はあまり抽出されず、風味の少ないシロップとなってしまうようです。
梅を食べるのが目的ならば、これでもいいでしょう。
しかし梅シロップは、シロップをドリンクとして使う目的で作ります。
シロップだけ使うというのなら、なんだかもったいないですよね。
早ければいいというものではない、ということなのでしょう。
しかしそれでも氷砂糖より、粒の細かい砂糖がいい、という理由もあるようです。
さらさら砂糖の利点?
さらさらの粒の細かい砂糖を使う利点。
それは、梅シロップが早くできるという点。
(梅エキスが出切っていないとしても)
他に利点を挙げるとすれば、発酵する前に早く仕上げてしまえば心配いらないよね、というところだと思います。
しかしさらさらの砂糖を使ったからといって、できあがるまでに発酵しないというわけではないので、条件が揃えばあっというまに発酵してしまいます。
砂糖にはそれぞれの特徴があり、風味なども違うので、単にいろいろ楽しみたいということなら好みの砂糖でいいでしょう。
グラニュー糖や白ザラメは、氷砂糖と同様に純度が高くクセがない。
上白糖はグラニュー糖より甘味が強い。
色のついた砂糖は、コクがあったり少々クセがあったりします。
ただ、梅シロップに使うと、シロップは黒くなります。
砂糖の量が足りないときには、別の種類の砂糖を追加してもいいし、ある程度自由に漬けてみても大丈夫です。
ただし、砂糖の全体量を極端に変えるなどはしないほうがいいでしょう。さいあくの場合は、梅が傷んでしまいます。
砂糖の量
砂糖の量については、一度は疑問を持つかもしれないですよね。
こんなに多いの…って。
半分にしちゃだめかなぁ…とかね。
私もそうでした。
適度な量
砂糖の適量はある程度決まっています。
それは、梅が腐らない程度の量は必要だということ。
一般的なレシピでは、梅の重さと砂糖の重さが1:1。
梅が1kgなら、砂糖も1kg
この量は、だれもが失敗しないための量だと思います。
砂糖漬けなどで、食品が腐らないための砂糖の量は、だいたい食品の重量の50%~65%くらい必要なようです。
なので、70~80%以上入れておくと安心ということです。
砂糖を少なめにするなら
砂糖を少しでも減らしたいのなら、酢を添加するなど代替のものを入れたほうがいいでしょう。
酢を入れると発酵もしないので、丁度いいかも。
ただ、当たり前ですが酸味が増します。
酢以外なら、焼酎(35度以上)を5%程度入れてもいいでしょう。
ちなみにウチで試したことがある分量は、次の通り。
・梅500g
・砂糖250g
・酢50g
1:0.5:0.1ですね。
漬けて半年くらいは美味しく食べられます。
1年近く経つと、酸味が増して風味が落ちる…とメモしていました。
ちなみに冷暗所。
さらに時間を経ると、また風味は変わります。
しかし早めに使いきるのがいいでしょう。
砂糖を多めにするなら
砂糖を多くしたい場合は、お好みである程度入れてもいいのでは。
砂糖が多い分には、保存性については充分でしょう。
ただ、どのくらい保存が効くかは保存状態などにもよりますし、砂糖が多すぎる場合は発酵しやすいことも。
また、一度に入れると砂糖が溶けにくいため、分けて入れるほうがいいでしょう。
砂糖の糖度と甘味度
砂糖の甘さには、「糖度」と「甘味度」があります。
砂糖の糖度
砂糖でいう糖度とは、砂糖の主成分であるショ糖の純度についてのこと。
(果物でいう糖度とは違うもの)
つまり「糖度」が高いというと、ショ糖の純度が高いということ。
糖度が高い順はつぎのとおり。
グラニュー糖>氷砂糖>白ザラ糖>中ザラ糖>上白糖>三温糖>きび糖>黒糖
角砂糖・粉砂糖はグラニュー糖と同じ。
顆粒状糖はグラニュー糖と氷砂糖の間くらい。
なお、ケーキなどに使われる粉砂糖は、梅を漬けるには向かない。
砂糖の甘味度
甘味度とは、人の味覚での甘さを示したもの。
糖度とは比例せず、糖度が低いわりに甘味度が高いものがあります。
その理由は、転化糖とミネラル分によるもの。
・転化糖
転化糖とは、ショ糖から果糖とブドウ糖に分解したもの。
この果糖の甘味が強いため、転化糖はショ糖より甘く感じる。
・ミネラル分(灰分)
ミネラル分は多少苦味を含むようですが、これとショ糖の甘さとの対比から、より甘く感じるようです。
砂糖が溶けない
梅シロップを漬けるときによく経験すること。
それは、砂糖が容器の底に沈殿してしまい、溶けないということ。
梅シロップには、大量の砂糖を入れて作ります。
徐々に砂糖が溶け出して、梅を覆うほどのシロップが上がってくる。
それでも容器を揺らすなどして砂糖を溶かそうとするのですが、しばらくたっても砂糖が溶け切らない。
容器の底に溜まってしまうと、固まって溶けにくくなってしまうのですよね。
砂糖を溶かす方法はいくつかあります。
・しつこく揺らす
・天地を返す
・道具でかき回す
・火を入れて溶かす
・砂糖を分けて入れる
しつこく揺らす
容器ごと梅シロップを静かに揺らしてあげます。
ただなんとなく揺らすだけでは、底に溜まった砂糖はなかなか溶けてくれません。
容器を少し傾けて、容器の底のシロップまで動くように、充分回し揺らしてあげます。これをしつこく一日数回行います。
そのうち溶けてくれますよ。
天地を返す
天地を返すのは、しっかり蓋のできる容器の場合に行います。
蓋がちゃんと閉まっているのを確認して、上下を逆さにするのです。
これを時折やるだけ。
道具でかき回す
入れた砂糖がある程度溶けて、底に溜まって固まってしまい、これ以上は溶けないんだけど…と心配ならやります。
なぜなら、漬けている途中であまり蓋を開けたくないから。
(たいていはしつこく揺らしていれば溶けます)
使う道具は、菜箸や長いスプーンなど。
きれいに洗って乾いている道具を、アルコールで消毒。
容器の蓋を開けて、容器の底に固まった砂糖を、掘り返すように崩し、撹拌します。
終わったらきっちり蓋をすること。
強制的にかき回してしまうので、あっというまに溶け切ります。
火を入れて溶かす
梅シロップができて、殺菌のために火にかける場合。
火にかけると砂糖は溶けます。
最終的に火を入れる場合には、少々の溶け残りは心配いらない。
砂糖を分けて入れる
砂糖は一度に大量に入れると溶けにくい。
なかなか溶けにくい状態にあると、梅が発酵してしまうことがあようです。
そこで砂糖を溶けやすくするために、分量の砂糖を一度に入れるのではなく、いくつかに分けて順次追加するという方法があります。
分けるのは3~4回くらい。
この方法であっても、よく容器を揺らして溶かすようにすること。
後記
さて今回は、梅シロップを作るときの砂糖にまつわるあれこれについて書いてみました。
いろいろな砂糖で漬けるのもありですが、一番シンプルでスッキリした味わいなのはやはり、氷砂糖だけで漬けること。
さらさらの砂糖ならば、きび糖がおすすめでしょうか。
黒砂糖はちょっと独特のクセが…風味が強いし、きび糖よりもシロップが黒くなります。
(あたりまえか…)
1年に一時期だけの梅の時期。
一種のお祭りみたいなもの?なので、せっかくだから好きなように漬けてみましょうよね。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
あなた好みのレシピができるといいですね~ヽ(´ー`)ノ