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「梅干しの土用干し」
梅干しを干すことを指して、よく使われます。
しかしこの「土用干し」とは一体何なのか。
そしてよく聞く「土用」とは。
今回はそんな土用干しの意味について調べていきます。
それではいってみましょ~。
土用とは何か
土用という言葉はよく聞きますよね。
特に知られているのは、「土用の丑の日」
この土用と、ここで書いている土用は同じものを指します。
さて、土用とはいったいなんでしょう。
ひとつずつ述べていきます。
土用の由来
土用の「土」というのは土(つち)のこと。
古代中国に「五行説」というものがあり、これによると、
森羅万象すべての物は「木・火・土・金・水」から成るとされる。
これを四季に当てはめ、その境目に「土用」を配しました。
◇ 春 = 木 = 2・3・4月
◇ 夏 = 火 = 5・6・7月
◇ 秋 = 金 = 8・9・10月
◇ 冬 = 水 = 11・12・1月
◆ 土用 = 土 = 4・7・10・1月(の末18~19日間)
つまり、土用は春夏秋冬、各季節の終わりに1回ずつ。
土用の期間は一年で4回あるのです。
土用という時期
土用の時期は、それぞれの季節の終わりに配置されています。
季節の変わり目というわけです。
季節の変わり目には、気温や湿度などが変動しやすいもの。
人の身体にも変調をきたしやすい時期なのです。
このことから、土用の期間は無理をせず養生をしましょう、ということになっているのです。
特に夏の土用には「う」の付く食べ物がよいとされ、鰻を食べるなどの習慣が今なお残っています。
「う」の付く食べ物なら、梅干しもよさそうですよね。
土用の意味
土用というのは、そもそも「土旺用事(どおうようじ)」という言葉。
これは、土の作用が活発になる時期ということ。
この言葉が短縮されて、土用といわれるようになったのです。
昔から土用の時期は、土を動かすこと全般を忌み避けていました。
土いじりをはじめ、土を耕す、穴を掘る、埋葬、基礎工事などなど。
土用の期間に、これらの作業を開始することはしないものとされ、
すでに作業に入り、途中で土用の時期を迎える場合には構わないようです。
土用干しとは何か
土用干しというのは、主に夏の土用の時期に、ものを干すことを言います。
その代表的なものがこちら。
・田んぼ
・書物や着物など
・梅干し
田んぼ
水路からの水をせき止め、田の水を抜いて土を乾かす。
これは根本を乾かすことと、稲の根を深く土中に根付かせる目的があるようです。
これを「中干し」という。
書物や着物など
本、着物、畳、などなど。
家屋は湿気がこもりやすいため、時折風に当てて湿気を逃します。
日陰で風通しをよくして乾かすことで、湿気やカビ、虫を避けるのです。
これを「虫干し」ともいう。
夏だけではなく、他の季節にも干します。
梅干し
塩漬けした梅を乾かし、保存性を高める。
梅干しの場合はやはり「土用干し」という。
土用干しではそれぞれ何を干すのかで違いはありますが、共通しているのは、乾かすこと。
そして細菌や虫などが付いて繁殖しないよう、抑制するという目的もあるのです。
梅干しの土用干し
梅干しの土用干しは、梅の旬からの季節の流れから、
梅干し作りにとても合っているのです。
梅の仕込みは梅雨時
梅干しを仕込むのは、梅雨時期。
地域にもよりますが、梅が色づく6月中旬~下旬ころにかけて、仕込むことが多い。
そして梅雨明けの時期は毎年ばらけますが、7月中旬~下旬くらいで明けることが多いですね。
梅は少なくとも、梅雨が明けるまでは塩漬けのままでおいておきます。
漬け込み期間と干す時期
梅の漬け込み期間は、やり方によってまちまちです。
ですがおおむね、約一ヶ月も漬け込めば充分。
梅雨明けが早いときには、すぐにでも梅を干したいところですが、ひと月に満たなければもう少しがまん。
梅雨明けが遅いときには、たとえ梅の漬け込み期間は充分であっても、梅雨が明けなければ梅を干すには向かない。
梅の様子を見つつ、梅雨が明けるのを待ちます。
梅を塩漬けにする時期が、早いか遅いかでも漬け込み期間は違ってきます。
漬け込み期間がどのくらいかと考えるよりは、土用に入ってから一斉に干す方が都合がいいでしょう。
土用に梅を干すのは、それなりの意味があるからです。
梅を干すのは梅雨が明けた土用の期間
梅雨明けの日は毎年バラバラ。
まれに7月上旬に明けることもありますが、7月中旬から下旬にかけて明けることが多いです。
梅を干すタイミングとしては、梅雨が明けたのち、カラッと晴れた日。
こんな日がくれば、土用を待たずして梅を干しても構いません。
ですが夏の土用に梅を干すのが最適とされるのは、理由があります。
夏の土用の時期は、梅雨が明けてのち一年で一番暑い日が続き、紫外線も多い時期。
それが梅を干すのに、うってつけなわけです。
ただし雨上がりの直後には、よく晴れていて干し日和だと思えても、地面から湿気が濃く立ち上ることもあります。
梅を干すときには、よく晴れているとともに湿度の低い日を選びましょう。
梅干しを干す意味
梅干しは本来保存食です。
通常、梅を塩漬けにした後に、天日に三日間干します。
梅を塩漬けにするだけでも長期の保存は出来ますが、天日で干すことによって更に保存性が増すのです。
先程も述べましたが、土用干しをするこの時期は、一年で一番暑い日が続き、同時に紫外線も一番強い時期でもあります。
特に殺菌作用のある紫外線、UV-Bについては7月8月がとても強いので、この時期に梅を干すのはとても理にかなっているのです。
天日に梅を干すことで梅の余分な水分を抜くとともに、紫外線による殺菌も同時に行えます。
塩漬けした梅を、天日に干して完成。
これでこそ、梅干しは保存食なのです。
後記
今回は、梅干しの土用干し。
その意味について書いてみました。
昔の人の知恵ってすごいものがありますよね。
梅の旬は、一年で一時期。この梅を一年間もたせる。
いや、一年どころではなく400年も腐らずに残っている梅干しがあるのですから、大したものです。
自分で作る分には、それほどの年月を保存させる必要はまったくないのですけど。
数年間は持つようには作りたいかなと思います。
ウチには十数年ものの梅酒はありますが、梅干しは数年で消費してしまいます。
なので、なかなか長年残すことが出来ていないのが現状。
今年は長期保存用に、少々多めに梅干しを漬けて置いているので、数年後が楽しみです。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
梅干しの土用干しは、意味があってのこと。
まだ梅を干したことがなかったら、ぜひ挑戦してみてくださいね~ヽ(´ー`)ノ