この記事を読むのに必要な時間は約 18 分です。
梅の季節になると、
スーパーなどで梅を見かけるでしょう。
今年こそ梅を漬けよう!
そう思い立ってスーパーに行ってはみても、
複数の梅が置いてあると
どれを選べばいいのかわからず
結局買わずじまいで帰ってきちゃった…
ということもあるでしょう。
しかし梅は梅なので、
あまりむずかしく考えなくてもいいし
初めからこだわらなくても大丈夫。
青い梅か黄色い梅か。
それは何を作るのに向いているのか。
まずは簡単に知るくらいでいいでしょう。
そしていざ、梅を購入して漬ける時になると
次は梅の状態が気になってくる。
梅に傷が多い場合、
どれなら使っていいものか、
どのくらいならいいのかな…
なんて悩んだりもするのですよ。
ということで今回は
そんな梅の選び方について
いろいろな視点から書いていくことにします。
梅の選び方~いい梅とは
梅にはいろいろな品種がありますが、
近所のお店で手に入るものはごく一部。
なぜなら、一部地域にしか無い品種
というのもよくありますからね。
なのでここでは品種を問わず、
「梅」自体の選び方について掘り下げます。
梅の選び方というと、よく
「傷がないものを選びましょう」
とあります。
ですがそれだけでは
よくわからないですよね。
そこで具体的にどんな梅がいいのか
調べてみました。
◇「いい梅」とは
- 艶があるもの
- 瑞々しく張りのあるもの
- 傷のないもの
- 未熟果(未熟な実)でないこと
艶があり瑞々しく張りのある梅
鮮度がいいのは言うまでもないですね。
鮮度のいい梅は張りがあってとてもきれい。
人でたとえるならば、
若い子の肌のような感じでしょうか(笑)
…変なたとえはさておき。
梅は数日経って鮮度がなくなってくると、
瑞々しさはなくなり、
輪郭も色も徐々にぼやけてきます。
乾燥と熟度が少しずつ進むからでしょうか。
実際に買ってからしばらく置いて
観察してみると、いつもそんな感じです。
傷のない梅
「傷のない梅」については主に、
見た目のことですね。
梅の「傷」はさまざまな種類があるので
これらについては後ほど記述します。
未熟果(未熟な実)でないこと
「未熟果」についてはその名の通り
未熟な梅の実のこと。
未熟果はよくないとされていますが
カリカリ梅を漬ける場合には
この未熟果が最適。
それ以外の用途に使う場合には、
梅酢が少ないこと、熟さないことなどから
他の加工には向かないといわれています。
未熟果の見分け方は難しいのですが、
未熟すぎるものは、おしりが尖っている
ような形をしています。
それより少々大きくなると、
未熟果であっても成熟した梅と
見分けがつかなくなっていくのです。
ただ、梅を割ってみると種が形成されて
いないので、未熟果だと判断できます。
未熟果を避けるには、梅の季節になって
出回り始めたばかりの梅には手を出さず、
しばらく様子をみてから購入するか
大きめサイズの梅を選ぶといいでしょう。
青梅と黄梅(熟した梅)
さきほどの「いい梅」の条件を前提として
次は、青梅と黄梅(熟した梅)
について見ていくことにします。
青梅
【青梅の選び方】
- 青々としていること
- 硬くて張りのあること
新鮮な青梅は、清々しい青りんごのような
香りがします。
とても爽やかでいい匂いなのです~^^
青梅で作るのに向いているとされるのは、
梅シロップ、梅サワー(梅の酢漬け)
梅味噌、梅醤油、梅エキス、梅の粕漬…
などなどなど。
まぁなんでも作れます。
なんなら梅干しでも作れますよ~。
(でもどうせなら梅干しは熟した梅でね)
黄梅(熟した梅)、完熟梅
【黄梅、完熟梅の選び方】
- 熟しすぎていないこと
- 柔らかくなりすぎていないこと
黄梅はまた、青梅とは違って
桃のようない~い香りがしますよ^^
しかし梅の熟しもほどほどに。
熟しすぎると柔らかくなりすぎて
しまいます。
実が柔らかくなりすぎてしまうと、
漬け込むときに皮が破れやすく
果肉が出てきてしまったりすることが
あります。
また、熟しすぎると腐りに近くなっていく
ので、常温で長く漬ける梅にとっては
あまりおすすめできないのですね。
なので柔らかすぎてぶよぶよの梅は
漬けることを避けましょう。
危ういものは炊いてジャムなどにすれば
問題ないです。
黄熟、完熟した梅で作るのに向いているのは
やはり梅干しですね。
梅エキスを作るには青梅でないといけない
ですが、じつは他の加工については
何でもいけます。
さきほども書いたように、
熟しすぎて柔らかいのはいけないですが
ほどほど熟して黄色く色づいた梅は
何に使ってもいいのですよ。
熟した梅でも硬さがある程度あれば、
梅シロップでも梅酒でも…
まぁたいがいは作れたりします。
青梅で作るより、味も丸くなりますよ。
柔らかくなってくると形が崩れやすかったり
皮が破れやすくなったりするので、
作るものによっては向かないものもあるよ
ということなのです。
梅の状態について
梅を選ぶときに気になるのは、
傷のことが多いと思います。
梅の傷と一口に言っても状態はさまざまで、
梅の実自体に支障のないものも多いのです。
梅の病気といわれている
皮の表面に出ている斑点などの症状も、
人が食すには問題ないというものも
多くあります。
しかし問題はなくとも、
見た目や歯ざわりが悪いということで
避けられてしまうのです。
梅の木が育つ環境はいろいろ。
人が手を入れる入れない関係なく、
傷やシミが出たり出なかったりするもの。
どうやら梅を取るタイミングなどでも
違ってくるようですね。
ウチには梅の木がないので
知人の受け売りになりますが、
自然の木に成っている以上は
多少の傷などは当たり前のもの。
私たち消費者側が気にしすぎるから、
育てる側は農薬などを使って
見た目をキレイキレイに育てていくしか
なくなるのです。
薬だらけの梅しか手に入らないのは
イヤですが…これが現状。
なんか偉そうなことを書いてみましたが、
私も以前はスーパーのきれいな梅ばかり
見ていたので、ソバカスいっぱいの梅を
初めて見たときはびっくりでした。
梅干し作りの教本などを見ても、
殆どがキレイな梅の写真ばかりですもんね。
ちょいと話はそれましたが、
そんなわけで多少の傷やシミなどは
平気なものが多いのです。
見慣れてみるとこわくないよ~^^
梅の状態の見分け方と使い方
梅の傷や斑点などは、見慣れないと
気味悪く感じるかもしれないけれど、
見慣れるとそうでもないもの。
もしそのまま使いたくないならば、
皮を剥いたりして使えばいいのです。
しかし皮をむいた梅を使うときには
少々の注意が必要です。
果肉がむき出しの状態になった梅は
生で漬け込む場合には傷みやすい。
まだ実が硬ければ梅干しにも使えるけれど、
実が柔らかめならば潰れやすいので
用途を考えて使いましょう。
梅味噌やジャムなどは、どのみち潰すので
柔らかめの梅を使ってもいいかな~。
ジャムなど火を通すレシピに
使ってしまえば手っ取り早いです。
さて次は、いろいろな梅の状態について
見ていきましょう。
黒い点
黒い点々が表面に出ているものは
黒星病というもの。
皮だけに現れる症状で、
人が食べるには害がないようです。
赤紫と黒の点
赤い点々が表面に出ていて、点は少し硬い。
かいよう病というもの。
これも人が食べるには問題ないようです。
点の部分が少々硬いので、
気になるようならそこだけ削いで
使ってもいいでしょう。
これが残っていると、食べるときに
歯ざわりがよくないという程度です。
シミ
煤けたような灰色のシミが
広がって付いているようなもの。
これはスス斑病というもので、
表面だけで全く果肉には問題のないもの。
ただ見た目が悪いというだけで、
もちろん人体に影響もないので
そのまま使ってもいいでしょう。
表面が白っぽいもの
白っぽくなるのはウドンコ病ですね。
ウドンコ病によるものは円状の白い病斑。
それとともにアザが見られる。
進行すると病斑が広がって、
アザに見える褐色の部分は
硬くヒビ割れが生じます。
あやしいと思えば廃棄してしまいましょう。
あと、おそらくウドンコ病かと思うのですが
私ではちょっとはっきりと判断できない
状態の梅に出会ったことがあります。
表面が白っぽくて、果肉の下(内側?)に
アザのようなものが見られるもの。
ひどいもの梅は水に浸けると浮いてきます。
このような梅は表面上からはわかりにくい
のですけど、梅の果肉がスカスカになって
ひどいものは種までの影響があります。
包丁で果肉を削いでみるとわかるのですが、
このような梅は廃棄しましょう。
ゼリー状のもの
梅からゼリー状のものが出ていたり、
ゼリー状のものを内包していたりする梅。
これはヤニ果と呼ばれるもので、
果肉にしこりが出来ているもの。
昔、母が漬けていた梅酒の実の中に、
稀に赤っぽいゼリー状の部分があったのを
覚えています。
当時はなんだろう?と思っていましたが、
コリコリした食感で嫌な感じはまったく
なかったです。
これも特に害はないようですよ。
子供の頃にも実食済み(笑)
しかしあまりにヤニがひどいものは
ヤニが滲み出てきたりするので
内部に溜まっている可能性もあります。
このような場合は
外したほうがいいでしょう。
カサブタ
梅も怪我をします。
雨風で擦れたり枝が当たったり…
そんな擦り傷や切り傷から実を守るために、
梅にもカサブタのようなものができるのです。
カサブタ部分はコルク状でちょっと硬い。
気になるならカサブタ部分を
爪楊枝や包丁などでこそげ取ってみると
いいでしょう。
カサブタを取ると、下はキレイなものです。
カサブタになった部分は、
普通に漬けても少々食感が悪いくらいなので
とくに気にすることはないでしょう。
黒い部分、茶色い部分
明らかに実の黒い部分や、
茶色くてブヨブヨしている部分は
取り除きましょう。
果肉の芯から傷んでいるようなものは
廃棄してしまいましょう。
表面が少々茶色いくらいなら
ただの打ち身かも。
腐りならば外し、
果肉に問題ないものは支障ないでしょう。
用途によってそのまま使ってもよし。
気になれば取り除いて使ってもよし。
虫食い
穴が空いている梅は
虫が入っている可能性があります。
梅を漬けたり加工する前に水に漬けるのは、
虫を抜く目的もあるのです。
私の場合は、気になるようなら
包丁でえぐってしまいます。
中にお虫が居たら…
そっと外してしまいましょう…(((;゚_゚)ヽ
漬け方(作り方)で梅を選ぶ
梅の使い方によっても
梅の選び方が少々あります。
なんでもありで作ってみれば面白いの
ですけど、目安として書いておきます。
梅干し
梅干しに使う梅にはたいてい
以下のような梅が推奨されます。
- 傷のないもの
- 熟しているもの
これは初めて梅を漬ける場合に、
この方が失敗が少ないよ~
ということだと思います。
そして好みですね。
柔らかくて傷のない梅干しを
確実に漬けたいのなら、
その選び方がいいでしょう。
熟した梅がいいとしても、
柔らかすぎる梅は避けたほうが無難です。
触ってみて、まだ実の硬さが残る
くらいの梅が丁度いい。
実際に梅干しを漬けようと思えば、
青梅でも作ることができます。
漬け方でも仕上がりが随分変わりますよ。
熟した梅での梅干し作りに慣れてきたら、
青梅で挑戦してみるのも面白いものです。
梅酒、梅シロップ…その他の加工
梅酒、梅シロップ、砂糖漬け、味噌漬け、
酢漬け、梅サワー、醤油漬け、梅肉エキス
…などなどなど。
ほぼ全部と言ってもいいくらい、
梅干しやジャム以外は
基本的には青梅がいいとされます。
それは青梅の持つ栄養素や果肉の硬さ、
味や風味、防腐効果が強いなどの
さまざまな理由があります。
じゃあ青梅でないといけないのか、
というとそうでもないのです。
たとえば、梅シロップや梅酒なども
黄梅で作ることは可能です。
黄梅で漬けるととてもいい香りがしたり、
また違った味わいになるので
試してみるといいでしょう。
ただ、あまり柔らかくなった梅を
使ってしまうと、液体に濁りが出たり
傷みやすくなるなどのこともあるので、
少々硬めの黄梅を選ぶといいでしょう。
青梅と黄梅の使い分けは、
次のように考えると
わかりやすいでしょうか。
- 漬け上がりの梅が柔らかくていいものは
黄梅でいい
- 漬け上がりの梅が硬くてもいいもの、
または実が崩れない方がいいものは
青梅で漬ける
なにごとも初めて作る場合には
基本通りのレシピでやり、
慣れてきたらアレンジするなど
いろいろとやってみるといいですよ。
ジャム
ジャムの場合はだいたい
熟したもののほうがよさそうですが、
何でもいいです。
青くても黄色くても、
ブヨブヨ限界の熟しでも、
傷があっても大丈夫。
なんでもござれですね。
ウチでは傷ものの梅や
柔らかくなりすぎた梅などを
まとめてジャムにしたりしています。
あ、傷んだ部分はしっかり取り除いて
使いましょうね~。
梅エキス
梅エキスについては、
硬い青梅が推奨されています。
これだけは動かせないですね。
まとめ
さて今回は、梅の選び方について
いろいろな視点から書いてみました。
◇ 梅の選び方の基本
- 艶があって瑞々しく張りのある梅
- 傷がなく未熟果でないこと
そして、
- 青梅は青く硬いもの
- 黄梅、完熟梅は熟しすぎず
柔らかくなりすぎていないもの
◇ 梅の状態を見分ける
- 梅の傷は表面だけのものは大丈夫
- 実の深部まで傷んでいるものは避ける
◇ 漬け方、作り方で梅を選ぶ
- 梅干しの基本は黄色く熟した梅
- 他の加工の場合はほとんど青梅を使う
しかしじつはどちらでもよく、お好みで。
初めは基本通りに作ってみて、
慣れてきたらいろいろと挑戦してみると
楽しいですよ~。
毎年梅を漬ける醍醐味は
そんなところにもあるのです。
それでは今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。
それでは、とことん梅ちゃんを
見据えちゃってくださいな~ヽ(´ー`)ノvv