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梅の実を使うとき、
気になることのひとつとして
虫食いがある。
一見して虫食いだとわからないものも
あるので注意したいところ。
梅の実を食べる虫は何種類かいるようですが
食害には二通りのパターンがあります。
そして梅を漬けるときの対処も二通り。
ひとつは、
気にしなくてもいいもの。
もうひとつは、
気にしておいたほうがいいもの。
今回はそんな梅の虫食いについて、
梅の実を食べる虫についてと、
食べられた梅の実の対処方法についてを
書いていきます。
ちなみに私は虫をあまり好まないので、
リアルな虫画像は載せないのでご安心を^^;
それではひとつずつ、行ってみましょ~。
梅の実につく虫の種類
梅の実を食す虫は数種類いるようですが、
その食害は二種類。
- 梅の実の汁を吸う虫
- 梅の実をかじる虫
そしてその虫によって、
梅を漬けるときの対処が変わります。
梅の実の汁を吸う虫については、
気にしなくていい。
梅の実をかじる虫については、
気にしておいたほうがいいでしょう。
梅の実の汁を吸う虫
- カメムシ
これは…全国どこにでもいますよね。
梅のみならず、いろいろな野菜などにも
付いて被害をもたらします。
カメムシは針を果実に挿し込み、
その汁を吸うもの。
吸われた部分は梅の果肉に空洞が生じます。
この梅を塩漬けにすると、
その空洞部分が硬くなる「しこり果」
と呼ばれる状態になります。
外見から針で刺した跡が分かることも
ありますが、わからないこともある。
加工すると見分けはつかなくなりますが、
梅干しの場合には、干すときにわかります。
そして食べたとき。
梅の果肉が一部だけ
硬い状態になっているのです。
この状態は、梅干しの商品としての質は
落ちるようですが、家で作って食べるには
なんら問題はないのです。
カメムシ自体は、
汁を吸ったらどこかへ行くので
その点は安心です。
梅の実を食べる虫
(1) 熟した梅を食べる
- ケシキスイ
ケシキスイという虫は、
特に幼虫が梅の実を食べる。
このケシキスイは、樹上から落下した梅に
付くという特徴があります。
ケシキスイの幼虫は土壌の中におり、
落下した梅の実を見つけて中に侵入。
あるいはケシキスイの成虫が、
梅の破れた皮の隙間から内部に侵入し
卵を産む。
こういった経緯があるので、
地面に落ちた梅を採取して使う場合には
注意が必要です。
気にせずそのまま使ってしまうと、
梅の中に幼虫や成虫が混入したまま…
ということになりかねないですよ。
(2) 青い梅を食べる
- なにかの幼虫
これは何の幼虫なのかわからないのですが…
小さくて青虫みたいな形の白い幼虫です。
時々青い梅に食いついているのを
見かけます。
まだ硬めの青い梅に付いていたと
記憶しているので、
樹上で育つ梅に付く虫なのでしょう。
この虫は梅の実を食べながら、
実の中に入っていることがあります。
なのでさきほどのケシキスイと同じく、
使う前に虫抜きをする必要があります。
近年では購入する梅に虫が付いている
ということは殆ど見なくなったのですが、
(出荷前に消毒している?)
自然に栽培されているものには
付いていることもあるでしょう。
虫食いの見分け方
虫食いのわかりやすいものは、
虫が食べた痕跡があります。
- 虫刺され痕がある
- 虫食い痕がある
梅の実に傷があって、そこから入ることも。
わかりにくい侵入口は、実とヘタの隙間。
ちょっとした隙間を狙って
入り込んでいたりしますよ。
よくよく見たところで、うまく侵入
していれば見つけることができない。
そんなときにはやはり
虫抜きをしておくのが一番でしょう。
虫抜き方法
梅の中に侵入する虫は、
主にケシキスイの幼虫が多いそうです。
その他の虫もまれに見ますが、
対処は同じでいいでしょう。
梅の中に入った幼虫を出す方法はひとつ。
それは、梅を水に浸けること。
梅の中に虫が居た場合、
水面に虫が浮いて出てきます。
これは昔から使われている手法ですが、
実験もされています。
「ウメ果実に食入するアカマダラケシキスイの物理的防除」
和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場/農研機構
上記の実験では、梅を水に浸けている時間は
30~45分が望ましいとのこと。
しかしできれば、
45分以上浸けおいたほうがいいようです。
ただ、熟した梅の場合はあまり長く
水に浸けると傷んでしまうことも。
ときどき梅の状態を見ながら行いましょう。
しかしこの虫抜き方法でも
100%虫が離脱するものではないので、
そもそも梅に虫が入らないように
することが肝心。
特に地面に落ちた梅を使うときには
注意が必要です。
市販の梅干しに幼虫混入
数年前のことでしょうか。
市販の梅干しに幼虫が混入したという
苦情が多発した時期があったようです。
梅干しは柔らかいほうが商品価値が高い。
そのため樹上完熟して落下した梅を
材料として漬けるという方法が
広く用いられました。
青梅などはアク抜きのため、
水に一定時間浸けます。
しかし完熟梅はアク抜きが不要な上、
水に長く漬けると傷んでしまいます。
そのため当時は、水に漬けず梅干しに加工
していた業者さんも多かったようです。
つまり完熟落下した梅に
アカマダラケシキスイの幼虫が入り、
そのまま虫抜きすること無く梅干しが作られ
出荷されて…苦情が多発したもの。
現在では、ケシキスイの混入を防ぐために、
以下のような対策が取られているようです。
- 梅が落下して地面に着かないよう
網を張って収穫 - 水に漬けて虫抜きを必ず行う
普段から虫を見ることが
あまりなくなった日本人が増える中、
梅干し業者さんも大変です。
しかしまぁ、虫が混入した梅干しは誰もが
あまり食べたいものではないですよね。
虫食い梅はどうする
虫食いの梅が見つかったらどうするのか。
そもそも虫食いだとわかるものと
わからないものがあります。
状態を見てひどいものは省きますが、
そうでなければ使えます。
虫食いだとわからない梅
わざわざ虫食いかと疑う必要もなく、
いつも通りに梅の下ごしらえをする中で
虫抜きをします。
- 水にしばらく浸けておく
- 虫が水面に上がってきたら虫を取り除く
虫がどの梅に居たとかはわからないので、
気にせず使います。
虫食いだとわかる梅
虫食いが外見でわかるものは、
梅に穴が空いていたりする場合。
それと、梅に小さなフンらしきものが
付いていることも。
気にならないなら前述したとおり、
そのまま下ごしらえを行います。
気になるなら、丸ごと外すか、
虫食い跡を削って使います。
ただ、削った梅はそのまま浸け込む加工は
あまり向かないものです。
理由は次の通り。
- 梅の実が崩れる
- 漬け液が濁る
梅の実が硬ければまだいいのですが、
柔らかいと崩れてグズグズになって
しまうことも。
このような梅は、実が崩れてもいいような
ジャムなどの加工にするといいでしょう。
梅を漬けた後に虫が出てきた
しっかり梅の実を確認して
ちゃんと虫抜きをして…
そうして漬け込んだのに。
梅を漬けて数日が経った頃。
梅シロップや梅酒の液体の上部に、
ぷかっと小さな幼虫が浮いている…。
そんなこともありますよ。
そんなときには、清潔な菜箸などで
そっと取り除きましょう。
とくに害はないものなので、
そのあとに何か処理する必要もないのです。
まあ、このお虫も毒ではないですし…
食べる文化のお国などもあるわけですし…
もし食べちゃっても大丈夫です。
気持ち的にいやですけどね^^;
後記
今回は、梅の実の虫食いについて
書いてみました。
いやぁ…今回は調べるのキツかったっす…
虫害などの症例写真とかも見たくて
調べたりしてたのですけど。
あまり見たいものじゃぁないなと。
当分見たくないかな…。
実際には見たくないですね。
だから、梅は漬込む前にはしっかり見るし、
虫抜きもしっかりやります。
まだ漬け込む前の、
生の梅に付いている虫を見るほうが
加工後に見るよりよほどいい。
生梅は青果物。
加工後は食べ物として見るわけなので、
加工後にはなるたけ出会いたくないのですよね。
なので、私は梅の下ごしらえと
漬け込み作業は丁寧に行います。
ほんとこれだけは手を抜きませんよ~。
てことで、今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいまして
ありがとうございます。
梅の虫食いチェックと虫抜きは
しっかりやりましょうね~ヽ(´ー`)ノ