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梅干しを漬けるときに使う塩は、どんなものがいいの?
一般的には、しっとりした塩のほうがいいといわれます。
それはどうしてなのでしょう。
そもそも梅干しに使う塩の選び方なんてものがあるのでしょうか。
結論としては、ほとんどの一般的な塩で梅干しを作るのは可能です。
また、梅干し作りに慣れてくると、いろいろな塩で試してみたくもなりますよね。
ただ、あまりに変わり種の塩を使う場合には、ちょっと注意。
塩分量が少なすぎると失敗の原因になってしまいます。
梅干し作りに使う塩。
これは大丈夫かな~と不安に悩むのではなく、
どれにしようかな~これを使ってみようかな~と、
楽しく選んで使えるようになるといいですよね。
ということで今回は、
梅干しづくりに適した塩や、梅干しに使う塩について書いていきます。
それでは行ってみましょ~!
梅干し作りに適した塩とは
塩にはいろいろな種類があります。
スーパーなどで見ても沢山の塩が置かれていますよね。
見た目が似た塩、なにかが違う塩。
色の白い塩、色のついた塩。
産地も製法もさまざま。
梅干しを漬けようと塩を見てみても、どれを選べばいいのか迷います。
塩ならばなんでもいいわけではなく、梅干しに適した塩もあれば、適さないといわれる塩もあるのです。
適した塩とは、作り易さの面からいわれていること。
適さない塩とは、作りづらいく失敗しやすいということから。
適さないから梅干しが作れない、というわけでもないようです。
梅干しに適しているとされる塩
よく梅干しに向いているといわれるのは、「粗塩(あらじお)」と呼ばれるもの。
にがり成分を含み、塩の結晶が荒いもので、水分を保持しやすいためにしっとりとしています。
しかし塩の製品表示に「粗塩」と書かれているわけではなく。
塩の名称としては「塩」か「食塩」の表記で統一されています。
よくわからない場合は、一般的に売られている、しっとりとした塩を選べば大丈夫。
逆に向かないといわれるのが、「精製塩(せいせいしお)」。
精製塩は、食塩の中でも主成分である塩化ナトリウムの割合が高く、ミネラル分などの不純物が極力少ない塩。
水分を保持しにくいので、乾燥しサラサラとしています。
精製塩:塩化ナトリウム含有量99.5%以上
食塩:塩化ナトリウム含有量99%以上
塩化ナトリウムの含有量は、「食塩相当量(g)」として表示が義務付けられています。
ではこれらが梅干しに向く、向かないとされるのは何故でしょう。
漬けやすさ
梅干しを漬ける上で漬けやすい条件というのは次の通り。
・梅にくっつきやすい塩であること
・塩が溶けやすいこと
この条件は、梅から梅の汁(梅酢)を抽出するために必要なのです。
梅酢を早く沢山抽出させることで、梅にカビが付いたり腐敗するのを防げます。
つまり、次のような性質の塩が向いているのです。
・素材に馴染みやすい塩
・溶けやすい塩
これらの特徴をもつ塩が、しっとりしている塩。
一般的に「粗塩」と呼ばれているものです。
※粗塩についてはいろいろな見方があるようですが、ここでは省略します。
塩のタイプの違い
では粗塩とは、精製塩とはなんでしょう。
そのほかにも塩にはさまざまなタイプがあり、現在、日本には多くの種類の塩があります。
全てを一口に説明するのは難しいので、特にわかりやすい部分で大雑把に、簡単に説明していきます。
状態と性質
状態というのは、見た目の状態。
塩の状態を大雑把に分けてしまうと、サラサラのものやしっとりのもの、ふわさら(?)っとしたものなどがあります。
それはただの形でしょ~と思ってしまうけど、その塩の状態は梅干し作りにはちょっと大事なことなのです。
〔状態〕
・サラサラ
・しっとり
・ふわさら(粉状)
・ごろごろ
擬音語で失礼しますよ^^;
他にどう表現したものか迷ったので、イメージ的に書いてみました。
これらの状態がわかるでしょうか…。
(1) サラサラの塩
主に精製塩といわれる塩。
食塩の主成分である塩化ナトリウムの量が多くを占めるため、苦汁成分を含まない。
食塩相当量(塩化ナトリウム)が99%以上の高純度の塩。
なお、精製塩は商品名でもあるが、塩化ナトリウムが高純度の塩を総じて精製塩ともいわれる。
苦汁成分を含まない塩は、水分を保持しにくいためにサラサラとしている。
サラサラとしているから、普段は使いやすいといわれる塩。
そのままでは梅干しには向かないので、コツが必要。
梅に塩をくっつけるように漬ければ、失敗は少ないでしょう。
(2) しっとりの塩
苦汁成分を含んでいる塩。
水分を吸収して保持しやすく、しっとりしている塩。
現在かなりの種類があり、製品によって含まれている成分や分量はさまざま。
そのため味なども個々で違いがあるようです。
近年は苦汁入りの塩を普段使いしている家も多い。
梅干しを漬けるときに使いやすいため、個人で漬ける場合にはよく利用されています。
梅干しを漬けるのが初めてなら、この塩を使うのがいいでしょう。
(3) ふわさら(粉状)の塩
パウダーのような粉状の粒子。
海水のミネラル成分が多く残っている塩。
湿気を吸いやすく固まりやすい。
粒子が細かいので、使い慣れないと扱いにくいかも。
通常の塩より塩分量が低めなので、減塩時には考慮すること。
梅干しを漬けるなら、ちょっとコツが要りそうですね。
(4) ごろごろの塩
わかりやすいのは、岩塩でしょうか。
ごろごろ、ゴツゴツとした塩です。
岩塩など長年かけて析出する塩は、とても硬く溶けにくい。
そのため、梅干しなどの漬物にはあまり向かないようです。
岩塩を原料とした塩でも、製造法によっては精製塩と変わらない性質になります。
この場合はサラサラ塩と同じように、コツさえ押さえれば梅干しを漬けられるでしょう。
とりあえず、塩の状態で性質分けするとこんなものでしょうか。
ちょっと変わり種の塩
普段から日常的に使う普通の塩以外にも、こんな塩があります。
・ 藻塩
・ 焼き塩
・ 水塩
・ フレーバー塩(フレーバーソルト)
・ あじ塩(ほぼ固有名詞ですけど…)
・ 減塩塩(カリウム塩)
などなど。
なんだか色々とあるのですが、これらは普通の塩とは少々違ったものです。
ここでは一つずつの詳細は省きます。
これらの変わり種の塩でも、梅干しを漬けることはできなくはないでしょう。
ただ、それぞれの性質やクせ、塩化ナトリウムの濃度を把握しておくことが大事。
それぞれ塩分量が一律ではないので、薄いと梅を傷ませてしまうことになるからです。
減塩塩について補足
減塩塩は、塩分を減らすために塩化ナトリウムの量を減らし、カリウムの量を増やし代用しています。
普通の塩とはバランスが大きく違うので、味もかなりの違いがあるようです。
減塩塩で梅干しを漬けたいと思えば、塩分量に気を付ける必要があります。
通常の塩は塩分濃度がだいたい90%くらいはありますが、減塩塩は50%も無いためです。
梅を漬けるには、塩分濃度が少なすぎると腐らせてしまいます。
減塩塩を使うことで充分減塩されるので、さらに減らそうとはしないようにしましょう。
また、身体の不調や心臓、腎臓疾患などを抱えている方は、
減塩塩の使用について差し支えないか、お医者さんに相談しましょう。
味の違い
塩の種類によって、感じる味は違います。
それは塩粒の大きさや形状、苦汁成分の違いによって変わるようです。
苦汁(にがり)はにがい
苦汁の主な成分は、マグネシウム(Mg)。
マグネシウムはとても苦いものだそうです。
しかし苦いとはいえ、マグネシウム含有量は塩化ナトリウムの量に比べるととても微量。
多くの塩では1%未満くらいが含まれている程度。
多いものでも3%くらい。
これがどの程度、味の差としてわかるものなのか…。
この微量な差がわかるかどうかというのは、これは個人差もありそうですよね。
塩を炒って使う
数十年前の梅干しの指南本に、こう書いてあります。
「塩を炒って使いましょう」
それはなぜかと言うと、塩を煎ることで味がまろやかになるそうです。
ちょっとした手間をかける余裕があれば、試してみるといいですね。
梅干しの味は変わる?
塩の種類によって塩化ナトリウムの割合が違い、苦汁成分も違う。
しかしそれはもう微々たるもの。
それが味の違いとして梅干しに出るのか!?
これはとても気になるところです。
塩の微妙な味の差は、直接塩だけを味見すればわかるかもしれない。
ですが梅干しのように、梅の水分を浸出するために使う場合にはどうでしょう。
塩の粒が残らず溶けてしまうので、その味の差はどのくらいわかるものか?
極端に成分の違う塩で漬け比べてみるとわかりやすいかも?
しかし似たり寄ったりの塩ではなかなか難しそうです。
私自身、塩による差をあまり比べてみたことがないので、いづれ試してみたいと思います。
気になることは、やはりやってみないとね。
梅干しに、どの塩を使うか
どの塩がいいのか、というのはやはり、まずは日頃使っている塩でしょうか。
味に慣れていて違和感がないかな~と思います。
とはいえ、日頃サラサラ塩を使っているのなら、漬けやすさを考えれば粗塩にするのがいいでしょう。
粗塩は種類も色々ありますが、地元で手に入るお手頃なものでいいと思います。
前述したように、味の違いというのは塩粒ではわかるかもしれないけど、溶けてしまうと殆どわからないといいます。
実際に差が出るとしても、どれほどのものかは漬けてみないことにはわからないもの。
塩辛さの程度が気になるなら、塩の種類を変えてみるより塩の量で調整することもできます。
塩に拘ってみるのなら、同じ条件で塩だけ変えて漬けてみるといいでしょう。
そうしてあれこれ試せるのも、自家製で梅干しを作る楽みでもあります。
しかしいろいろな塩を試すときに、注意するのは塩分量の違い。
塩化ナトリウム含有量の少ない塩を使うときには注意が必要です。
あまりに減塩して梅を漬けると、梅酢が上がらないなどの状態になり、梅を傷ませてしまうことがあります。
変わった塩で梅を漬けるときには、減塩は程々にして漬け比べてみるといいでしょう。
塩のかさばり
塩は結晶化しており、塩の種類によって結晶の形や大きさが異なります。
つまり結晶の大きさによってかさばり具合が違うのです。
すると、こんなことがおきます。
◇ 小さじ1杯の塩
・小さい結晶:しっかり入る
・大きい結晶:あまり入らない
結果、同じように測ったのに
・小さい結晶の方は塩っ辛い
・大きい結晶の方は塩が薄い
こんなことになるのです。
梅干しのような漬物でこれをやってしまうと大変。
一度に使う塩の量が多いので、結果的に大きく量が違ってくることになります。
現在はいろんな種類の塩があり、粒の形や大きさが違います。
塩は目分量や容量ではかるのでははなく、重さではかるといいでしょう。
後記
塩について調べてみると、混乱してしまうほど沢山の種類があります。
スーパーの陳列棚を見ても、それなりの種類がある。
ネットで見るとそれはもう沢山あり過ぎて、何がどれやらややこしいくらい。
全国規模の塩、地方で売っている塩、変わった塩などさまざまです。
まぁ~沢山ありますね。
梅干しを漬ける時、いろいろな種類の塩を選んで漬けてみるのは面白そう。
ですが、あまりお値段高めだとしんどいので、やはりお手頃な塩を使うのが一番いいですね。
梅を沢山漬ければ漬けるほど、沢山の塩が要ることですし。
まぁいづれ…ということで。
試すことができたら、またどこかで報告したいと思います。
では今回はこのへんで。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます。
あなたに合うお塩と、うまく出会えますように~ヽ(´ー`)ノ